【LIFULL×滋賀県米原市】地域おこし協力隊採用サポート 〜おためし体験ツアー開催で地域のファンを作る〜
滋賀県唯一の新幹線停車駅「米原駅」を有する市として、名古屋や大阪、東京など大都市へのアクセスに優れた滋賀県米原市。市内には250を超える湧水や滝があるほか、名水百選にも選ばれた名水をもつ「水源の里」としても知られています。
そんな米原市が、今回空き家バンクの担い手を求めて、「空家再生みらいつくり隊員」という名の地域おこし協力隊を募集。5期目となる今回の採用活動は、過去の苦い経験も踏まえ、LIFULLによる採用サポート活用に踏み切ったといいます。
そして2022年4月には、2名の地域おこし協力隊が「空家再生みらいつくり隊員」に着任。無事、採用活動は成功に至ります。
今回は、米原市職員の鹿取顕崇(かとり・あきたか)さんと採用サポートを担当したLIFULL地方創生推進部の後藤大夢(ごとう・ひろむ)さんに地域おこし協力隊の募集業務や採用に至るまでのエピソードをうかがいました。
雇用形態は「個人事業主」 起業も目指せる空き家バンクの担い手を募集
—まずは今回、米原市が地域おこし協力隊を募集した背景を教えてください。
鹿取:米原市では空き家を活用した移住に力を入れているのですが、移住者が年々増加傾向にあるものの、実際にご紹介できる空き家の数はかなり限られています。市内には1,100戸を超える空き家がありますが、ご紹介できる物件は70戸ほどでしょうか。空き家を利活用するには空き家バンクへの登録に向けて、空き家所有者への働きかけが必要になります。しかし、これまでの体制では手が回っていなかったため、その状況を改善したいと考えました。同時に、移住者への相談業務もずっと米原市に住んでいる職員が担当していたので、移住者目線で相談にのっていただける人材が欲しいというところで、地域おこし協力隊を募集したのがきっかけです。
—「空家再生みらいつくり隊員」という形での募集でしたが、活動の特徴などありましたら教えてください。
鹿取:基本的には空き家バンクの業務を行っていただくのですが、これらの基本活動と並行して、「みらい活動」という空き家を活用した地域活性化や生業(なりわい)づくりにも取り組んでいただきます。週5日間のうち4日間は基本活動を行い、残り1日はみらい活動として空き家を活用した生業づくりに挑戦していただくという活動内容になっています。
後藤:これまでさまざまな地域で地域おこし協力隊の採用サポートを行なってきましたが、地域おこし協力隊の一般的な採用形態である「会計年度任用職員」ではなく、「個人事業主」として採用されているのは、米原市さんならではの特徴だなと感じていました。鹿取さんの方で、今回個人事業主として採用されたのにはどんな背景があったのでしょうか?
鹿取:実は歴代メンバーはすべて個人事業主として採用しています。というのも、地域おこし協力隊の任期終了後にどうやって生業をつくって地域に定着していくかを考えると、任期中も副業ができて、今後の生業を見つけられる環境が大切かなと。今回の募集も、任期終了後に空き家バンクの仕事以外でちゃんと食べていけるよう準備をしてもらうという点に重きを置いて募集を行いました。
過去には募集チラシを手配りしたことも…集客に苦労した苦い経験
—そもそも今回LIFULLの採用サポートを活用しようと思ったきっかけは、どのようなものだったのでしょうか?
鹿取:これまでも地域おこし協力隊の募集業務には携わってきましたが、募集活動を行なってもなかなか人が集まらず、必要な人に情報を届けることへの難しさを感じていました。そういった経験もあって、再度募集をかけることに踏み切れない気持ちもありました。そんなとき、たまたまJOIN(一般社団法人 移住・交流推進機構)からの配信メールでLIFULLさんの採用サポートを知りました。採用業務をまるっとやりますよと書かれていて、「やってもらえるんならありがたい」という思いで問い合わせをしたのがきっかけです。LIFULLさんに関しては、全国版空き家バンクを運営されているということで知名度も高く、信頼してお任せできるなと思い、正式にお願いすることにしました。
後藤:4期の募集活動は鹿取さんがご自身でやられたということで、その大変さが身に沁みていらっしゃったのが、とても印象的でした(笑)。
鹿取:そうですね……。昔ながらのやり方で、チラシを作って配るみたいなことをしていたのですが、応募したいと思っているような方にはなかなか出会えなくて。それが一番しんどかったですね(笑)。ネットもうまく活用できず、記事を作成して発信していたものの、あくまでも受身の状態でした。今回の採用活動ではLIFULLさんから200近いスカウトメールをお送りいただいたり、オンラインイベントを開催していただいたりとネットをうまく活用されていたのが印象的です。当初は3、4名の応募があれば成功かなと思っていたのが、最終的には11名もの応募があって、これまでとはまったく異なる成果を実感しました。
二人三脚で始まった採用活動 スムーズな受け入れを目指して取り組んだこと
—募集業務を始めるにあたり、移住者の受け入れについては、地域の方々とどのように進められたのでしょうか?
鹿取:「空家再生みらいつくり隊員」のミッションは、空き家バンクで活動してもらうのが主な業務になってくるので、活動先となる「まいばら空き家対策研究会」(以下、空き家研究会)のメンバーとなじんでもらえるのはどんな人物なのかということを考えつつ、どういう人物に来てもらいたいかの人物像を軸に採用ビジョンを描いていきました。空き家研究会のメンバーも年配の方が多く、SNSやインターネットの活用が苦手なため、そのあたりを補える人がいいよねという話を空き家研究会のメンバーと共有しながら、かつLIFULLさんにも話し合いに入っていただいて、みんなで会話をしながら人物像を作っていった経緯があります。
後藤:空き家研究会の方々はかなり上の世代の方が多くて、正直、僕のような若輩者など相手にされないのではと最初は心配していました(笑)。でも実際に話をさせていただくと、すごく真面目に業務をされていらっしゃるからこそ、逆に受け入れに対して慎重にお考えなのだなと感じました。その辺りを皆さんとしっかりすり合わせできたのは、すごくよかったと思います。
—今回の募集は、LIFULLが運営する『LOCAL MATCH』以外にも『SMOUT』や『JOIN』 といったマッチングサービスを活用されたとのことですが、募集用の記事にはどのような内容を盛り込んだのでしょうか?
後藤:「お仕事を通じて何を得られるのか」「任期終了後にはどういう風になってもらいたいか」といった点は、鹿取さんにはしっかり書いていただいた印象です。あとは、先ほどもお伝えしましたが、空き家対策研究会の方は年配の方が多いので、その点で敬遠されないように「面白い人待ってるぜ」という感じのコメントをいただいて、ライトな感覚で入っていけるような見せ方を意識しました。
—オンラインイベントも開催されたとか?
鹿取:そうですね。全国で空き家活用を積極的に取り組まれている方々のお話を聞きつつ、自然に米原市の話題に持っていき、興味づけを行なっていただきました。
後藤:任期終了後の生業づくりを考えるにあたっても、ロールモデルとなり得るような方々にお話をしていただくのは絶対必要だなと考えていたので、空き家活用を通してビジネス展開されている方にさまざま登壇いただきました。結果として、空き家に関心のある方々に参加いただくことにもつながったと思います。
2泊3日の現地体験ツアーを開催 地域との絆が生まれた特別な時間に
—さらに今回の募集にあたって、2泊3日の「おためし地域おこし協力隊」を開催したそうですね?
後藤:はい。鹿取さんから急きょご相談いただきまして……(笑)。
鹿取:当初は米原市だけで企画実施しようかと考えていたのですが、募集業務と一体化して開催できたら、米原市のことも知っていただけるし、今後のことを考えてもプラスになると思い、急きょ相談させていただきました(笑)。初めての試みではあったのですが、特別交付税措置の対象ということで、それなら一度やってみようかなと。面接だけでは応募者についてわからない面も多いですし、2泊3日を共に過ごすことで、応募者の人物像を深く知れるんじゃないかという思いもあって、企画させていただきました。
後藤:鹿取さんがおっしゃる通り、応募者の人物像をより深く知れるという点もありますし、応募者も地域の方に実際に会っていただける機会になるので、すごく意味があることだなと思いました。参加いただいた方々も、それぞれがライバル関係にありながらも良い関係を築き、2泊3日を過ごしていただいた印象でした。そのことも米原市の関係人口化にもつながったかなと感じています。
鹿取: そうですね。当初は定員4組(1組2名まで)で募集していたのですが、最終的に参加されたのが5名。うち3名が空家再生みらいつくり隊員に応募し、3名とも最終面接まで進んだ結果、その中の1名を採用する流れとなりました。今回おためし地域おこし協力隊をやってよかったとつくづく思ったのは、実際に来てもらったことで、地域に愛着を持ってもらえたことですね。実は選考途中、最終面接まで進んだ7名のうち、3名の方がほかの地域に流れてしまうということが起きました。そんな状況の中でも、おためし地域おこし協力隊に参加された3名に関しては米原市が第一希望ということで応募していただけたようです。残念ながら不合格となられた方についても、その後東京から遊びに来ていただいたり……。体験ツアー自体は採用活動の一環として行なったのですが、米原市のファンになってもらうことや関係人口の創出という点も含めて、やってよかったなと思っています。
地域で活躍できる人材獲得につながった勝因とは?
—今回の採用活動を振り返り、「ここは重要だったな」という点を教えてください。
後藤:書類選考の前に実施する「事前面談」をLIFULL側で担当するのですが、あくまで面談であって面接ではないので、ざっくばらんに「米原市って新幹線が止まる駅だけど、そもそも降りたことないよね?」みたいな軽い会話を挟んだりして、応募者の方とは気軽に何でも話せるような空気感を作ることを重要視していましたね。そうすることで応募者の本音の部分を引き出すことができたかなと思います。あとは、採用活動で一番大切なのは、応募された方が地域で暮らしていけるかどうかという点なので、大変な部分もちゃんとお伝えしたり、初めて移住をされる方にはそもそも移住の心構えみたいなものもインプットしたりすることを意識しました。やはり第三者だからこそ、魅力だけはなく現実もお伝えしていくというのは重要だと思います。
鹿取:そうですね。LIFULLさんが事前に面談をしていただいていたので、そこで出た話を深掘りできたのはよかったです。面接に関しても特に意識していたのは、僕ら自身も面接をされているという気持ちで臨むようにしていたことです。「担当者がどんな人物なのか」「米原市としてどんなサポート体制があるのか」といった点で、場合によっては辞退される可能性もあるので、面接というような上から目線ではなく、一緒に話を聞きながら、かつ米原市のPRをしながら面接をさせていただいた感じです。
—応募者と目線を合わせるというのは大切なことかもしれませんね。活動先である空き家研究会の方ともしっかり目線を合わせ、うまく連携が図れるよう努力されたのではないでしょうか。
後藤:そうですね。もちろん空き家研究会との連携も重要なのですが、それ以外に連携できる地域の方をご紹介いただけたことはすごく良かったです。たとえば古民家を再生されていらっしゃる事業者の方や地域おこし協力隊のOBOGなど、地域で面白いことをされている方のなかでも、よき相談相手になっていただけるような方を見つけて、つなげるということも意識して進めていました。
鹿取:おっしゃる通り、空き家研究会との連携は重要業務でもありました。結果としてうまく連携できましたが、当初は採用に関してはかなり慎重になられていて、反対の声も少なからずあがっていました。ですが、(地域おこし協力隊を)採用するとこんなことができるといったことを1年くらいじっくり話し合って、ようやくこの4月を迎えたという感じです。その間に空き家研究会の方々には隊員を受け入れる機運を高めていただき、結果、就任後には隊員の方と仲良く協調しながら業務を進めていただけている状況です。なので、市側が隊員の募集を勝手に決めるのではなく、受け入れ先ともしっかり話し合って決めていく、一緒に決めていくという姿勢が重要じゃないかなと思います。
—応募者、地域の方どちらともしっかりコミュニケーションを図っていくというのが重要ということですね。鹿取さん、後藤さん、本日は貴重なお話をありがとうございました!
(終わり) インタビュー時期:2022年5月
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