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埼玉県吉見町に移住した中村絢さんのLOCAL MATCH STORY〜スタイリストと地域おこし協力隊の二足のわらじで歩む2拠点生活〜

今回ご紹介するのは、2022年4月に埼玉県吉見町の地域おこし協力隊に着任したばかりの中村絢(なかむら・あや)さんです。

美術大学を卒業後、スタイリストとしてドラマや映画などさまざまな現場でキャリアを積んできた中村さん。東京と埼玉県吉見町を行き来する2拠点生活への一歩を踏み出し、スタイリストとしての活動を続けながら、今後は埼玉県吉見町にまつわる発信や空き家問題の解決などに取り組んでいく予定です。

“東京”という街で好きな仕事をかなえた彼女が2拠点生活にたどり着いたきっかけとは? 「やってみたい」を実現するまでの移住エピソードをうかがいました。

一つの仕事、一つの場所に縛られない生き方を求めて

—まずは2拠点生活に至るまでの経緯やきっかけを教えてください。

中村さん(以下、中村):わかりやすいきっかけは、新型コロナウイルスの感染拡大です。これまでスタイリストとして必死に走り続けてきたのが、コロナ禍によって仕事が止まった時期がありました。そのときは、「休めるから休もう」くらいの気持ちでしたが、いざ仕事が再開すると、「あの生活にまた戻るのか……」と。ガツガツ仕事を取りに行って、再び多忙な生活に戻るには、身も心もどこか追いつかないような気がしてしまいました。

—そのときに、「スローライフ」じゃないですけど、田舎暮らしへのイメージがふくらんだのでしょうか?

中村:いえ、確かに東京では「やることはやったかな」という達成感はあったけれど、スローライフにはまだ早いかなという思いはありました。ただ、環境を変えたいという気持ちはあったと思います。最初は別荘という選択肢も思いついたけれど、そんな優雅に生活する段階でもないなと、リアリティが感じられず断念しました。とはいえ、コロナ禍により旅行という形で心身のリセットができなくなったことで、自然のなかで過ごすことを渇望するようになっていたと思います。

—そこから2拠点生活にどうつながるのでしょうか?

中村:コロナ禍で仕事が止まったあとは、再び仕事が戻り、それなりに忙しくしているうちに1〜2年が過ぎていきました。ただ、フリーのスタイリストという職業柄、忙しい時期と落ち着く時期の差がすごく激しい面があります。仕事の契約も続くことがあれば、パタっとなくなることもある。不安定な仕事ながら長年続けてきたので慣れていたものの、そのときにふと、今の仕事だけにしがみついて続けていくのは、なんだか窮屈だなって思ったんです。

これまではスタイリストとしてがむしゃらに仕事をしてきたけれど、別の生き方や仕事の選択肢を持つことでもう少し楽に生きられるのかもしれないと。二つの仕事、二つの生活基準で考えていった方が仕事に対しても考え方が変わるんじゃないかと思いました。

片道1時間の距離で見つけた第2の生活拠点。埼玉県吉見町との出会い

埼玉県のほぼ中央部に位置する吉見町は、東京駅まで1時間半強の“通える田舎”。
農業が盛んで、特に「いちごの里」として有名です。

—そこからLOCAL MACTHを見つけて、埼玉県吉見町の地域おこし協力隊という仕事を選ぶことになるまでにどんな経緯があったのでしょうか?

中村:以前、「地方で働く」というキーワードで色々なサイトを調べるなかで、LOCAL MACTHを知り、とりあえず登録していました。メールで随時、募集内容が配信されるので、たまに求人内容チェックするくらいで、今回の埼玉県吉見町の募集にもどうやってたどり着いたか、正直覚えていなくて……(笑)。

—そうだったんですね(笑)。ちなみに今回の募集内容で特に興味をひかれたポイントを教えてください。

中村:やはり東京にある自宅から片道1時間くらいで行ける距離感でしょうか。これまで移住先として四国や北陸などもすごくいいなと思ってはいたのですが、東京の生活をすべてやめて行くのは決断できないなと。やはり仕事をやめるというのが一番のネックだったので、そのときに自宅から片道1時間くらいの距離にある埼玉県吉見町の募集が目にとまり、さらに「副業OK&2拠点OK」という募集内容は、条件にも合っていました。

—地域おこし協力隊としての活動内容は、スタイリストの仕事とはかなり違いますよね?

中村:そうですね。ただ、スタイリストの仕事もふわっと始まって続いてきたので、きっとまた新しいことも出来るんじゃないかと思いました。それに古民家の再利用というものにもともと興味があったので、空き家活用の一環として何か面白いことができるかもしれないと興味を惹かれました。

何にもないから何でもできる…等身大の「私」が活躍できる場所

広大な平野と荒川・市野川の豊かな水に恵まれた吉見町には、肥沃な穀倉地帯が広がっています。

—一次面接の前に実際に現地を訪れたとのことですが、吉見町の印象はいかがでしたか?

中村:LIFULLの担当者さんから「一次面接の前に吉見町について知っておいた方が色々話せるよ」とアドバイスをいただいて、現地に足を運んでみることにしました。車で行ったのですが、「急に何もない……」みたいな場所でしたね(笑)。本当にまっさらというか。でも逆に東京だと何でもあり過ぎるから、吉見町は「何もないから何でもできる」という感じがしました。

—実際に現地を訪れてみるというのは、中村さんにとって大きな一歩になったのかもしれませんね。あらためて2拠点生活に向けて、気持ちを固めていったエピソードなどがあれば教えてください。

中村:今回は、吉見町にとって地域おこし協力隊の一期生になるということもあり、これから共に作り上げていくという自由度が感じられました。今後挑戦したいことなど、私自身が思っていることをそのまま伝えてみると、「新しいことをどんどんやってほしい」「私たちに思いつかないようなことを発信してほしい」と言われたんです。それまでは正直、漠然としか考えていなかったものが、吉見町の方との面接を通して、2拠点生活に向けての本格的なプランを考えるきっかけにもなりました。

—ちなみにスタイリストの仕事は波が激しいということですが、両立についての不安はなかったのでしょうか?

中村:そうなんですよね……(笑)。吉見町の方にも、仕事の波がありますよとお伝えしたら、1ヶ月くらい東京の仕事に費やしても大丈夫ですよとおっしゃられて——。先方は半々でやっていってほしいぐらいの感覚なので、逆に私としてはスタイリストの仕事をこれからもやり続けるのかなと思う面もあり、だからちゃんと半々やらなきゃみたいな気持ちになりました(笑)。

吉見町役場にて、就任式の様子。宮﨑町長から委嘱状を受け取る中村さん。

—良い意味でゆるやかに、うまく両立しながら自由な活動が期待できそうですね。

中村:そうですね。ただ、私は町おこしのプロでも発信のプロでもないですし、スタイリストという不規則な仕事柄、どんな生活になるかはまだわからないですと、かなり率直にお伝えしてきました。それでも古民家の改修や街の特色づくりに興味を持っていて、この街でやってみたいことを自分なりの温度感で伝えたことで、今回地域おこし協力隊としてご縁をいただきました。せっかくいただいた縁をつないで、今後はこの土地を訪れてみたいと思えるような何かを作っていけたらと思っています。

「現実的な選択肢をいかに見つけるか」が移住の近道に!

宮﨑町長(中央)と今回地域おこし協力隊に就任した2名。
宮堂友佑(みやどう・ゆうすけ)さん(左)と中村さん(右)

—最後に、これから移住や2拠点生活をお考えの方々に何かメッセージをお願いします。

中村:正直、2拠点生活を実現するのは難しい面もあると思います。仕事のことを考えるとなかなか決断できない方も多いですよね。それでも動き出すきっかけになるのは「今の生活に満足しているか」という点になるかと思います。私の場合は、「このままじゃいられない」という思いに突き動かされました。もちろん思い描く理想通りにはいかないけれど、少しでも現実的な選択肢を見つけることで移住や2拠点生活に向けて本格的に動き出せると思います。

—確かに理想をどう現実に落とし込んでいくかが、鍵になりますね。中村さん、本日はありがとうございました。

(終わり) インタビュー時期:2022年4月

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