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コロナ前、最後の海外旅行

旅した時間:2020/01/20-21
旅した場所:中国浙江省舟山市
旅した仲間:一人旅

中国の大学院へ入学し4ヶ月たった頃、久しぶりに一人旅をしようと思った。

それまで旅へ行こうとは考える余裕もないほど忙しい日々を送っていたので、冬休みに入って時間の余裕ができ、ふとそんな考えが浮かんだ。場所は決まっていた。浙江省舟山市。ずっと私が行きたかった場所。あまり時間のとれる旅ではなかったので、私の住む場所からバスで4時間程で着き、距離的にもちょうど良かった。

なぜ私が舟山へ行きたかったのかというと、私が購読しているマレーシアの雑誌「Musotrees」が中国では舟山にある本屋でだけ置いているという情報を手にしたからだった。ちょうどその頃新刊が発売されたばかりだったので、早速行ってみようと思った。

前夜に舟山行きを決め、朝、日が登る前に家を出た。少しでも早く出発し、舟山に長く滞在したかった。杭州市から長距離バスに乗ったのだが、世間ではもうすぐ春節が始まることをすっかり忘れていた。バスターミナルは帰省する客でいっぱいだった。他の記事でも書いたが、この日はちょうど新型コロナウイルスで武漢がロックダウンする3日前のことだった。しかし、この時まだ浙江省でコロナウイルスは騒がれておらず、誰もマスクをしていない。バスターミナルの混雑具合を収めたスマホの動画を今見返すと、こんな人混みの中に自分も紛れていたのかと、恐ろしさを感じるほどだ。(今思えば)幸い、舟山行きのバスには私を含め数人しか乗客はいなかった。二人分の座席を贅沢に一人で使い、三時間超のバス旅も快適に過ごすことができた。

8時過ぎにバスは出発したが、舟山のバスターミナルには正午を超えてから到着した。
ここはとても長閑なところだった。上海と比べればとてものんびりと過ごせる杭州での時間がとても早く感じられるほどに舟山は穏やかだった。

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とりあえず荷物を置いてから行動を始めようと、私も周りの雰囲気に合わせるように、のんびりと予約しておいた民宿へ向かった。住宅街を彷徨いながら、今日泊まるであろう建物を見つけた。中に入ると、フロント(といってもオフィスデスクのようなものが置いてあるだけ)には、おばあさんが一人座っていた。普通話(中国語の標準語)が上手く話せないそのおばあさんと、普通話しか話せない私。でもお互い言わんとしていることは大体わかって、とりあえずここに座って待っててくれと指示された(ように感じた)。

しばらく待っていると民宿の(孫と思われる)管理人がやってきて、無事に鍵を受けとった。その後は、ただただひたすら私は一人で舟山の街を堪能した。それまで大学の試験に追われ図書館やカフェに缶詰だった私は、自由に時間を気にすることなく過ごせる時間がとても幸せに感じた。

この旅の一番の目的であった本屋へはなかなか辿り着けなかった。何度も小さな路地へと入り、右へ曲がったり左へ曲がったりしながら苦労してやっと場所を突きとめた。ずっとここへ来ることに焦がれていた私は、その瞬間を噛み締めるようにとてもゆっくりと店に入った。そして、その小さな店内にぎっしりと並べられた雑誌をみて、私は小さな子供のように目を輝かせた。

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世界中から集められた色とりどりの雑誌たちに目移りしてしまった。とりあえず店内を一周、どんな雑誌が置いているのか見てまわった。その後、カフェラテを一杯頼み、窓際の椅子で午後の強い日差しを浴びながら時間をかけてピックアップした雑誌を読んでいった。店主の男性にもたくさんの雑誌を紹介してもらい、気の済むまで読んでいってくださいと言われるがまま、5時間ほど読み漁り気づけば夜になっていた。

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私はお目当ての雑誌以外にも何冊か雑誌を購入し、大満足で店をでた。せっかく舟山まで来たのだから、何か美味しいものを食べに行けば良かったのだが、既に本屋で満足していた私は近くの食堂で、いつも大学内の学食で食べているものと変わらないような食事を取り、宿へ戻ったのだった。

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