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計画通りにはいかないインド旅 【Agra篇】

Rishikeshから夜行バスで向かったAgraへの旅は、まさに波乱の連続だった。

夜行バスに揺られること9時間。朝5時、まだ真っ暗で霧が立ち込める中、私たちは降ろされた。眠気にまどろみながら目をこすり、周りを見渡すと、なんとそこは高速道路の真っ只中だった。

「こんな場所にタクシーなんて来ないよ」と言いながら近寄ってきたのは、狡猾なTuk Tukのおじさんだった。彼は高い料金をふっかけてきたが、タクシーも通らず、Uberも呼べない状況では、私たちに選択肢はなかった。

同じ境遇にいたイスラエルの旅人と共に、他の交通手段を模索したが、早朝の高速道路では何も見つからなかった。寒さが身に染みる中、最終的におじさんも観念し、通常料金でTaj Mahalへ連れて行くことになった。

Tuk Tukに乗って10分ほどで一般道に出た。そこにはタクシーが走っていたのを見て驚いたが、霧で何も見えなかったのだから仕方がない。

Taj Mahal付近に着いたのは朝6時。イスラエルの旅人に別れを告げ、近くの喫茶店で暖を取ることにした。客は私たちだけで、インド風のバナナパンケーキと4杯のチャイを楽しんだ。しかし、喫茶店の店員に「この季節は12時ごろまで霧で何も見えない」と言われ、少し落胆した。

インド最終日、余った時間を利用してAgra FortとTaj Mahalを訪れたが、ここから不運の連鎖が始まった。10時ごろAgra Fortに向かい、思ったよりも長居してしまったため、急いでTaj Mahalへ。観光地化が進んでいるTaj Mahalは、期待とは裏腹に1時間も経たずに後にした。

15時発のDelhi行き列車に間に合うよう、14時ごろにレストランへ行ったが、料理がなかなか出てこない。結局、持ち帰りにしてもらう羽目になった。列車に間に合ったと思ったのも束の間、掲示板に予約した列車の番号が見当たらない。カフェの店員に尋ねると、「2時間遅れてるよ。もっと遅れるかもね」と笑われた。

フライトは23時発。列車が17時発なら間に合うが、それ以上遅れると危うい。考え抜いた末、チケットを買い直すよりも、新たな交通手段を探すことにした。タクシーでDelhiに向かうことを決意し、Uberを呼んだ。

タクシーに乗り込むと、5時間の車旅が始まった。渋滞やガソリン代の問題で運転手の手持ちが尽き、私たちも手持ち現金がゼロだったため、下道を進むことになった。

前日の夜行バスもあり、疲れはピークに達していた。休憩を挟みつつ、目的地の空港に到着すると、2時間のフライト遅延のお知らせが。愕然としながらも、心の中で叫ぶのを堪えた。

チェックインカウンター近くの椅子には既に多くの人が座っており、搭乗口付近にはさらに多くの椅子があった。早く荷物検査を終えて横になりたいと願いつつ、2時間待った後、さらに10時間の遅延が告げられた。

何とかチェックインして横になりたいとスタッフを探すと、お怒りのインド人集団がスタッフに詰め寄っていた。ヒンドゥー語はわからないが、状況を観察していると、スタッフが近くのホテルを手配してくれることになった。既に午前2時を過ぎていたが、シャワーを浴びて横になれるだけでもありがたかった。

ホテルに向かうバスを待ち、チェックインに時間がかかり、部屋に入れたのは4時近くだった。魂が抜けたような状態でシャワーを浴び、短い眠りに就いた。6時過ぎ、けたたましい電話の音に起こされ、「バスが来た!早く乗れ!」と言われた。

再び空港に戻り、スムーズにチェックインを終えて中に入ると、飛行機は満席だった。ホテルに同行したのは30人ほどだったが、皆どこで待っていたのだろう。

帰りの飛行機では、隣に座ったインド人の少年が話しかけてきた。「インドで遊んでたの?インドは10点満点中、何点?」と。困惑しながらも、「一番気に入ったRishikeshは10点満点だった」と答えた。

DelhiとAgraでは散々な思いをしたが、一度来たら十分だった。Agraではインド旅といえば必ず行くと言っても構わない、Taj MahalやAgra Fortに行ったが、写真はほとんど残っていない。スマホに残った写真の枚数が、その場所に対するお気に入り度を物語っている気がする。

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