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第3話 ツイストフォーク

深い地底に広がる地下都市OTOYK(オトイク)。その中でもエリアLTは特別な場所として知られている。エリアLTにはタイムマシーンEMIT EFILL(エミットエフィル)号が厳重に保管され、その場所に入るためには特殊な合鍵が必要だった。この合鍵を持つ者は限られており、形状は農民が大地を耕すときに使用していた4 Claws Twisted Fork(4爪ツイストフォーク)に似せて作られていた。このデザインにより、複数の偽の合鍵が紛れ込んでいても、本物を見分けることが困難となっていた。

現在、エリアLTには新たに特別区域が設けられ、この新しい区域に入るためにも同じ合鍵が必要とされている。特別区域には一体何があるのか、そしてなぜ再びこの合鍵が必要とされるのか、地下都市オトイクの住民たちは疑問と興味を抱いていた。

エリアLT

エリアLTの入り口には厚い鉄の扉がそびえ立ち、その前には常に数名の警備兵が立っていた。彼らは毎日、合鍵を持つ者が通るのを確認し、その人物の身元を厳しく確認する役目を担っていた。今日は特別な日だった。新たに選ばれた科学者の一団が、新区域の調査を開始するために到着していた。

科学者たちのリーダーであるシラッパは、慎重に合鍵を取り出し、警備兵に見せた。合鍵は農民の4爪ツイストフォークと見分けがつかないほど巧妙に作られていたが、警備兵は専門の機器を使ってそれが本物であることを確認した。調査チームは扉を通り抜け、エリアLTの奥深くへと進んで行った。

未知の領域へ

調査チームがエリアLTの鉄の扉を通り抜けると、冷たい空気が彼らを包み込んだ。巨大な洞窟の中に広がる特別区域は、青白い光で照らされ、地上の世界とは全く異なる風景が広がっていた。シラッパをはじめとする科学者たちは慎重に進みながらも、その先に待ち受ける未知の発見に心を躍らせていた。

特別区域の中心部に到達すると、彼らは巨大な機械装置を目にした。これはエリアLTの目玉であり、都市オトイクの伝説とも言えるタイムマシーン、エミットエフィル号だった。その堂々たる姿は、年月を感じさせる一方で、未だにその機能を維持しているかのような輝きを放っていた。シラッパは、その威容に一瞬息を呑んだ。

未来への扉

シラッパは合鍵を手に持ち、装置のメインパネルに近づいた。パネルには複雑な符号が刻まれており、まるで古代の象形文字のようだった。シラッパの指示により、チームは機械の各部を詳細に調べ、データを収集するための準備を始めた。機械工学の専門家チームは、装置の外観を細かくチェックし、耐久性や構造についてのメモを取り始めた。一方、エネルギーシステムの専門家チームは、装置のエネルギー源を探り、その動力源が何であるかを調査していた。その解析によると、エミットエフィル号は未知のエネルギーを利用しており、それは地上の科学では説明できないものだった。シラッパは装置の中央部に設置された制御パネルを見つめ、そこに合鍵を挿入した。

合鍵を回すと装置が激しく揺れ始めた。シラッパは冷静に制御パネルを操作し続けた。揺れが収まり、装置が静止すると、パネルに新たな情報が表示された。それは未来の世界への座標だった。シラッパはその情報を解析し、未来への扉が開かれたことを確認した。

新たな冒険の始まり

シラッパの指示に全員が頷き、タイムマシーンに乗り込んだ。制御パネルの操作を終えると、装置が再び振動し始め、青白い光が一層強くなった。瞬く間に光が彼らを包み込み、次の瞬間には彼らの姿は消えていた。

彼らが目を覚ますと、そこは見たこともない未来の世界だった。高層ビルが立ち並び、空には奇妙な飛行物体が飛び交っていた。地上には、人間と見間違うほど精巧なロボットたちが行き交い、都市はまるで生きているかのような活気に満ちていた。シラッパはその光景に圧倒されながらも、興奮を隠せなかった。未来の世界で何を発見し、どのような知識を得るのか、彼らの冒険はここから始まるのだ。

※ この物語はフィクションです。


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