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EMIT EFIL

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地下都市「OTOYK」で発見されたタイムマシーン「EMIT EFIL号」の物語。 ▼EMIT EFIL Instagram https://www.instagram.com/… もっと読む
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記事一覧

第6話 ザナフィ

タバルは、モロッコの高アトラス山脈の村に住む若き織物職人であった。彼の家族はみな、ザナフィラグを織り続けてきたが、タバルは特にその伝統を深く愛し、継承することに誇りを持っていた。ある日、彼は父親から受け継いだ古い箱を開けると、何かのありかを示すメモが入っていた。 光の扉好奇心旺盛なタバルは、メモに書かれた場所に行ってみることにした。そこには「EMIT EFIL(エミットエフィル)号」と書かれた機体が隠されるように置いてあった。草木を掻き分け、機体の小さなボタンを押すと、まば

第5話 スモックグロース

地下都市OTOYK(オトイク)のエリアLTは、静かで穏やかな、まるで未来の楽園のような場所だ。エリアLTの住民たちは、知識欲に溢れ、互いに尊敬し合いながら生活している。労働という概念がなく、好きなことを追求できる自由がここにはあった。 文化人類学者ノドノルもまた、その自由を存分に享受し、過去の文化や歴史を探求することに生きがいを感じていた。ノドノルは、タイムマシーン「EMIT EFIL(エミットエフィル)号」で2024年から戻ってきたばかりで、手に入れたばかりのSMOCK

第4話 コールスカットル

2500年ごろ、地球の資源は500年前に比べて著しく変化していた。かつて採掘されていた天然ガスや石油、石炭などの化石燃料はもはや主流ではなかった。新しいエネルギー源が開発され、旧時代の技術や道具は博物館やコレクターの手に渡っていた。 ドレイフェスはそんな時代に生きる鉄職人だった。彼の情熱は、かつての製鉄技術に注がれていた。特に、かつて石炭を溶炉に流し込むために使われていた石炭バケツ「Coal Scuttle(コールスカットル)」に強い憧れを抱いていた。 旧技術への情熱ドレ

第3話 ツイストフォーク

深い地底に広がる地下都市OTOYK(オトイク)。その中でもエリアLTは特別な場所として知られている。エリアLTにはタイムマシーンEMIT EFILL(エミットエフィル)号が厳重に保管され、その場所に入るためには特殊な合鍵が必要だった。この合鍵を持つ者は限られており、形状は農民が大地を耕すときに使用していた4 Claws Twisted Fork(4爪ツイストフォーク)に似せて作られていた。このデザインにより、複数の偽の合鍵が紛れ込んでいても、本物を見分けることが困難となってい

第2話 メッツァルーナ

西暦5000年ごろ。テクノロジーは発展の極みに達し、人々は再び自然と調和する生活に戻っていた。そんな時代に「Mezzaluna Herb Chopper(メツァルーナ・ハーブチョッパー)」という調理器具が、世界中で信仰される神具として存在していた。かつては古臭く使い勝手が悪い調理器具というイメージだったこの道具も、未来では神が宿るとされ、持つ者に不思議な力を与えると言われるようになっていた。しかし、その真実を知る者は誰もいなかった。 クロイウェンは若き探検家であり、歴史学者

第1話 ローディーハット

3024年。科学技術の飛躍的な進歩により、時間旅行が現実のものとなっていた。タイムマシーンは一般市民にも利用可能となり、その存在は日常生活の一部となっていた。しかし、その使用には厳格なルールが設けられており、歴史の流れを変えることは厳禁とされていた。 そんな中、音楽を愛する若者、オイコットは未来の最新の音楽技法を学び、その技術を歴史に影響を与えない範囲で過去の音楽家に伝えたいと強く願っていた。オイコットは音楽技法の進化が人類にどれほどの影響を与えるかを確かめたかったのだ。そ

第0話 時間旅行

2003年、世紀の大発見があった。この地球上に地下都市が存在することが確認されたのだ。地質学者や歴史学者たちが驚きを隠せない中、発見の詳細が徐々に明らかになっていった。 この発見のきっかけとなったのは、ある古代の秘蔵文献だった。長い間解読不能とされていたその文献が、ついに解読されたのだ。文献には「OTOYK(オトイク)」と呼ばれる地下都市の存在が記されており、その詳細な位置や構造が描かれていた。この都市には、驚くべきことにタイムマシーンが存在していたという記述も含まれていた