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【藤田一照仏教塾】道元からライフデザインへ(19/06)学習ノート④

(ここまでの6月一照塾)
6月塾のオープニング「early bird talk」の模様は、学習ノート①にて。
5月一照塾からのhomework「坐禅の功徳を表現する」をシェアするグループワークの模様は、学習ノート②にて。
一照さんによる「弁道話講話 (十八問答のうち問答1~9)」の模様は、学習ノート③をご覧ください。

この「学習ノート④」では、「身体のオリエンテーション」をテーマにしたソマティックワークについて振り返っていきます。

1. Somatic talk「汗の内攻」

いま体調悪い人いる?
私は実はいま体調があまりよくなくて。8割から9割くらいは戻ってきていますが。
咳が出やすくて…この咳のタイプからすると、「汗の内攻」といわれているものだと思います。汗の内攻って、あまり聞いたことないでしょう?
これからソマティックワークをするので、"ソマティックな話題"ということで「汗の内攻」の話をしたいと思います。

汗が出たら、拭き取らないと、汗が出そうとしていた毒を身体がもう一度吸い込んでしまうのです。

梅雨時の今ごろの時期は湿気が多いので、汗を出して排毒するために腎臓が一生懸命はたらいているのです。それで腎臓が疲れている。それが背景になって様々な症状が出ます。ある人は腰が痛くなるかもしれないし。

初夏から梅雨にかけての"季節の養生法"的なことでは、蒸しタオルを後頭部のいわゆる「盆の窪」に8分間当てます。それで、出た汗をきれいに拭き取って、終わり。「8分以上はやらない」というのが大事だそうです。

「お風呂に長く入り過ぎない」というのも大事です。
普通の温度のお風呂にサッと入って、出ている間にを湯温を1℃だけ上げていって、上がりきったらもう一度サッと入って出る…というのを、整体の先生に教えてもらいました。

汗の問題というのはなかなか難しい。
今日この会場に来るまでの電車で、冷房の冷たい風がそよそよ吹いていたので、カーディガンを着て乗っていましたけれど、ああいうのは最悪らしいですね。
「冬は、前から吹いてくる風で体調を崩す」
「初夏から梅雨にかけては、後ろから吹いてくる風で体調を崩す」

気をつける風の向きも、季節によって違うのだそうです。

2. 身体のオリエンテーション

きょうのソマティックワークでは、テキスト「感じる力でからだが変わる - 新しい姿勢のルール」(メアリー・ボンド(著)、椎名亜希子(訳)、春秋社刊)の第3部「身体のオリエンテーション」を学びます。

前回までに取り組んだ「身体のアウェアネス」「身体のスタビリティ」は、どちらかというと"内向き"な、「自分の身体をベースキャンプにする」という方向性だとすると、今回と次回で学ぶ「身体のオリエンテーション」と「身体のムーブメント」は、外へ向かって世界と関わっていく身体の探究ということになります。
オリエンテーション(orientation)は、「方向性、志向、定位」という意味の言葉です。

「身体の使い方を整理する」というのはとても大事で、私もこの本を読んだことで、坐禅を指導する場面で「坐禅のボキャブラリー」が増えたような感じがしています。

身体の使い方の整理という点で、この本では「身体の6つの"姿勢ゾーン"」が示されていますので、覚えておくとよいと思います。

「6つの姿勢ゾーン」(テキストp.32)
呼吸筋、腹部、骨盤底:身体を安定させる「コア」を含む構造
手、足、頭:環境の中で定位をうながし、世界との関わりを助ける

メアリー・ボンドさんがこの本の様々なエクササイズを教える時には必ず、「インナーコルセットを意識して」とか「骨盤底のダイヤモンド(5月一照塾ノート⑤を参照)をゆるめて」と言いますね。

きょうのソマティックワークで取り組む「身体のオリエンテーション」で使うのは、手や足や頭です。手を伸ばして物を取ったり、足を使って行きたい場所へ行ったり、頭を振り向けてどこかを見たり…私たちは自らを世界に向かって定位していく。

坐禅の時は、手や足は組んで動かさないし、頭もキョロキョロしたりしないのですが、手や足や頭を正しい仕方でorientできる力をもっている上で、それをおさめている…というようにしないと、手や足や頭のオリエンテーションがうまくない状態で坐っても、坐禅の質は上がらないと思います。

この本は、坐禅のような静止的な(staticな)姿勢の「新しいルール」を考えよとしているのではなくて、最終的に"ムーブメント"で終わる章立てになっているように、「動きの中で捉えられる姿勢」を目指しています。

アウェアネス:正しい気づきと、
スタビリティ:正しい支えに基づいて、
オリエンテーション:正しい方向づけをもって、
ムーブメント:動く

この原理が坐相の中で活かされていれば、坐禅はきちんと坐れるようになっていると思います。この本は、坐禅を考える時にも役に立つことがたくさん書かれていると思います。

一日のどこかで何かを強く握ることはあるでしょう。マウスや車のハンドル、電話、ショッピングカート、それに暴れている子供とか。もしかすると、つかんだまま離せなくなっている感情や思考もあるかもしれません。
コントロールを維持しようとするときはいつだって、握る手に力が入るものです。状況をコントロールしたいという衝動が、手や腕、肩の慢性的な緊張につながっていることは珍しくありません。
身体を安定させようとして、本来は交流や関係性を築くためのパーツを使ってしまっているのです。
(テキストp.206~207)

「手と身体のコアをつなぐのは肩ですから」と書いてありますから、きょうはまず「肩」をテーマに探究していきましょう。

3. 「肩甲骨がおうちへ帰る」ワーク(じゅんこさん指導)

一照さん、右腕を上げてみてください。普段の感じで。そして下ろしてみてください。
私が問題だと思っているのは、鎖骨・肩甲骨・上腕骨が出会うところが「詰まっている」ことです。

そうしたら、私が一照さんの肩甲骨のところに手を当てますから、それでもう一度先ほどのように腕を上げてみてください。

「肩甲骨が大して動いていない」のが分かりますか?

これから一定の段取りを経ながら進めていきます。

2人組になって、ひとりは背中側にまわって、相手の右の肩甲骨を左手で触れます。この時、触れている手の平の反対の「手の甲」を意識してください。「触れている手で何とかしてあげよう」という気持ちは全然必要ありません。

まず、吸う息とともに、腕を肩の高さまで前に上げます。親指を天井へ向けます。
この時、ひじは"抜いて"おきます。「ピン!」と張っていると、肩に力が直結してしまって、肩が余計に詰まってしまうので。「抜いているのだけれど、伸ばす」。腕の中にスッと気が通るようにひじを抜いておきます。

それから、吐く息とともに腕を横に開いてから、ゆっくり上に上げていきます。腕を横に開く時に肩が上がってきてしまいますから、注意してください。

腕が上がるから肩甲骨も上がらなければいけないのに、肩甲骨が癒着して動いていない。背中側の人は肩甲骨に触れて「あなたは上に行きますよ」と教えてあげてください。他の人に触れてもらわないと、肩甲骨は自分がどこにいるのか分からないので。


私たちが「腕を上げよう」と思う時は、「自分の所有物である腕に命令を出して」一生懸命上げようとしてしまいます。こういう上げ方では、身体が本来持っている伸びやかさが生かせません。

背中側の人は、右腕のひじの先端のとがったところを、中指の腹で触ってあげてください。「腕を上げる」というより、ひじのとんがりがスーッと上がっていく。

右腕が上へ上がる時には、「中指と薬指」が気の通り道になるので、ここを通してスーッと上へ伸びていきます。
背中側から右腕のひじに触れている人も、中指と薬指を意識して上へ伸ばすと、"2馬力"になるので、側腹部が伸びて、肋骨がスーッと、とにかく上がっていきます。

中指と薬指を通して上へスーッと伸びる感じが終わったら、ゆっくりと腕を下におろしていきます。

腕が下りる時に問題なのは、

「肩甲骨が、自分のおうちに帰っていない」のですよ。

肩甲骨がおうちへ帰る時には、「路上駐車」みたいになぜか途中で止まるくせがあるので、腕が下りきる時に、肩甲骨をほんの少し内側へ寄せてあげます。

片側のワークが終わった時に、両腕を肩からぶらんとぶら下げて、左右の感じを見てあげてください。
梅雨時の今ごろの季節は湿度が高いので、ワークした側の肩の周辺の空気の感じの違いが分かると思います。ワークした側だけ、「除湿がかかった」ような、風通しの良い感じがあると思います。
腕が上がるとともに側腹部も伸びているので、体側のスッとした感じもあると思います。
ワークしていない側は、ぼやぼやっとした感じが残っています。

4. 「鎖骨の水平線」ワーク(じゅんこさん指導)

2人組になって、ひとりは相手の背中側にまわります。
相手の左右の鎖骨を、真ん中の胸鎖関節から外へ外へと、指の腹で触れて、なでてあげてください。
鎖骨の真ん中よりやや外側の位置を、中指の腹で触れます。
中指が鎖骨に触れたまま、親指は肩をまたいで肩甲骨の上側に触れます。

鎖骨を触れられている人は、海の水平線がずーっと横へ横へ伸びるように、鎖骨が横に水平に伸びて開く意識を持ちます。そうすると、結果的に肩甲骨が内側へ寄ってきます。

肩甲骨が横へ横へ開いていくと、鳩尾も緩んで、肋骨の間の感じも変わってきます。肋骨の間にスーッと風が吹いてくる感じ。

肩甲骨が自然に内側へ寄ってくると、背骨の構造に伴ってあごが上がってきます。お腹側の伸びも見てあげてください。あごが適切な位置に来ると、恥骨から上へ、身体の前面がつながってきます。
背中側も、尾骶骨から頭蓋までつながった感じが出ます。

最後に仕上げで、背骨を払っておきます。
両耳の真ん中から頭の後ろ側へたどっていって出会うところに、頸椎2番があります。
後ろ側の人は、頸椎2番、盆の窪のところに右手を下にして手首を当てて手を重ねて、仙骨まで背骨を3回払います。払い終わったら、背中の風通しがよくなった感じも見ておいてください。

5. "肩甲骨のおうち"、そして前鋸筋について

■ 肩甲骨の位置と上腕の外旋
いま、じゅんこさんが指導してくれたワークの中で、肩甲骨が元の位置に戻り切らないで「路上駐車」みたいになると表現してくれましたが、このテキストにも、肩甲骨の位置に関してこのような記述があることを指摘しておきたいと思います。

肩甲骨が下がるとき、右の鎖骨が広がること、上腕骨がやや外旋することに気づきましょう。
(テキストp.211)

坐禅の時の手や腕も実はそれが大事で、先ほど話したように「身体が内斜視状態」になっていると、意識も内向きになってくるので、これは一度リセットしなければ、世界へ開いていく坐禅のかたちにはなりません。

私が坐禅を指導する場面でよくやるのは、両肩を上まで持ち上げておいてから、肩を後ろに回して「ストン」と落として、落としたあとに肩甲骨が元の位置にゆっくり戻る時間を与えておいてから、上腕の外旋を保ったまま、前腕を前に持ってきて「法界定印」を結ぶ…というやりかたです。
テキストに書いてあるような「左右の鎖骨の広がりと、上腕骨の外旋」を、坐禅の時の手のかたちの目安として、覚えておくといいと思います。

■ 前鋸筋
身体の後ろと前をつなぐ「間(あわい)の筋肉」が前鋸筋で、テキストには、

健康的な姿勢にとって、僧帽筋よりもさらに重要なのが前鋸筋です。
前鋸筋は胸郭と肩甲骨の内側に挟まれたところにある筋肉で、肩甲骨の内側縁から始まって脇の下を通り、後ろから前へと胸郭を包んでいます。
(テキストp.213)

…と書いてあります。

先ほどのじゅんこさんのワークでは、腕を伸ばすときの小指の意識づけをしていましたが、テキストには、「手の小指側から肩甲骨の内側縁(前鋸筋が付着する場所)をつなぐ筋膜のルートもあり(テキストp.214)」とも書いてあり、腕の小指の側のラインを意識することが大事です。

6. 「壁の手形」ワーク

次は、壁を使うワークを2人一組で行ないます。
ひとりは壁を向いて坐ってください。

(一照さんinstruction)
正しい姿勢で坐り、骨盤底のダイヤモンドを開いて、インナーコルセットを使って呼吸してください。肋骨と骨盤の間にあって横向きに走っている筋肉(腹横筋)を意識します。下部肋骨が横や後ろへ動いた呼吸になっていますか?
手の付け根が脇の高さにくるよう、ひじが少し曲がるようにして、両手で壁を触ります。パートナーの人は、壁についた手の高さを見てあげてください。

手の平で軽く壁を押し、手と前腕が壁からぶら下がっているような感覚を目指します。ひじの重さを感じてください。
肩に与える影響に注目しながら、指の腹が壁に沈んでいく感覚を皮膚で味わいます。手の感覚に対するアウェアネスを深めてください。ひじの緊張は手放します。
次に、指の関節と関節の間のふくらんでいる部分で優しく押してみましょう。指が壁に吸い付いている感じですね。
それから、指と手の平の皮膚が均等に壁に触れるように押します。

手を沈めるように、手が壁の中に埋まっていくような感覚で壁を押すことで前鋸筋が活性化しだすと、両肩に小さな変化が起こります。左右差に気をつけて、コーディネーションがよくないほうの手と肩に注意します。

前鋸筋をさらに活性化させるために、薬指と小指が伸びてきて、手の外側(小指と薬指の下の部分)の皮膚が伸ばされるイメージを持ちます。広がった皮膚で、やや上向きに壁を押してみましょう。脇の下を通って肩甲骨につながる感覚、背中の上部がわずかに広がる感覚があると思います。
この姿勢のまま、呼吸を何度か繰り返します。背中が広がったことで、胸郭の背中側にも呼吸が入るスペースがあることに気づきます。

壁からゆっくりと手を離して、ゆっくり立ち上がります。
自分の姿勢にどんな変化が起きているか、周囲の世界に対する知覚の変化を観察してみてください。パートナーの人は、ワークをした人の印象がどう変わったか注目してみましょう。
(参考:テキストp.215~216)


7. 「ウォール・トラクション」ワーク(宿題!)

(一照さんinstruction)
つま先を壁から10cmくらい離して立ち、足幅は股関節の幅に広げます。
坐る時だけではなく立つ時にも骨盤底を緩めることが大切です。
胸骨の下の方で壁に寄りかかり(必要なら乳房を持ち上げて)、額を壁につけます(鼻の頭が少しつぶれるかもしれません)。
手の平を広げて耳の横あたりで壁を触りましょう。肘は下にたらします。下部肋骨で安定した呼吸をしてください。

前腕は壁に触れたまま、楽な範囲で肘を伸ばしてください。
無理なく上げられるいちばん高いところまで行ったら、手の平と指の皮膚を壁に押し付けます。指を浮かさないで、壁にぴったりつけてください。脇の下の後ろ側(前鋸筋)を前に引き寄せましょう。引き寄せる意識を持つだけですね。こうすると腕が少し上へ伸びるはずです。こうやってストレッチしたまま、ゆっくり静かに3回呼吸します。

3回呼吸したら、腕をゆっくりと壁から降ろします。
腕を降ろしたら後ろに下がって、身体に起きた変化を感じてください。
背が高くなり、上から下まで胴体がよりオープンになった感じがするかもしれません。今感じているのが、あなたが少しずつ取り戻そうとしている健康的な姿勢の感覚です。この感覚は、味わえば味わうほど馴染んで身体に統合されていきます。
オープンな感覚を意識したまま歩いてみてください。腕の振り具合はどう変化しましたか?(参考:テキストp.223~224)


8. マウスアーム、スキンインテリジェンス

仕事でパソコンを使う人は、マウスを手にしていることが多いと思いますが、マウスをつかんだ手の緊張について、テキストにこう書いてあります。

次のクリックに命がかかっている、とばかりにマウスを固く握りしめていることは珍しくありません。(中略) マウスをつかんだ手の緊張は、筋肉や筋膜を通して腕や首にまで届きます。そこへモニターにくぎ付けになった目の緊張が加わるのです。トラックボールを使っている場合でも、いつでもポインタを動かしたりクリックしたりできるように、腕と肩は緊張しています。(テキストp.226)

このような手や肩の緊張を、このテキストでは「マウスアーム」と呼んでいるようですが、ここでも壁を使って、壁に手を触れて腕をぶら下げるだけでも「マウスアーム」を緩めるのに効果がある、と書かれています。

(マウスアームの応急処置:テキストp.228)


手のオリエンテーションに関連して、メアリー・ボンドさんはこの本で「スキンインテリジェンス(手の知能)」という造語を作って説明しています。

皮膚と脳は同種の胚組織から発生します。ですから皮膚が脳の一部であるというのは、理にかなった考え方といえるでしょう。(中略) あなたの触覚、つまり皮膚が持つ知能は、全身のコーディネーションに影響を与えます。(テキストp.230)

皮膚をセンサーにして使うことで、身体の使い方がずいぶん変わってくる、というようなことがテキストには書かれています。

私の周りにも、「タッチセラピー」を実践している人が何人かいるのですが、皮膚に関しては、山口創先生(桜美林大学教授)が、たくさんの本を書いています。


9. 足のワーク

ここまで、肩と手のワークを実修してきて、テキストの次の章は「足」について書かれています。
人間は二足で立つように進化してきたので、足をどのように使っているか、あるいは足をどのくらいアウェアネスの中に置いているかというのが、とても大事になります。
足の使い方について、テキストでは、

足の使い方は、安定した呼吸、コアの保護、骨盤の可動性と同じくらい、姿勢の健康にとってきわめて重要です。(テキストp.241)

と書かれています。

きょうは、足の骨格模型を持ってきました。

まずこの模型を見てわかるのは、「足の指は長い」ということですね。
普段見えている部分は短いですが、皮と肉を剥いでみると、こんなに長い指があるということです。
それから、足の甲は「足根骨」という7つのピースが組み合わさってできています。また、踵の骨はかなり大きい。

現代人は、身体の重心がどんどん後ろにシフトしているのだそうです。
このままでいくと、重心が足の後ろへはみ出て、立てなくなるのではないかといわれています。
"足博士"といわれている平沢彌一郎先生は、「足の裏は語る」という本でそのことについて警鐘を鳴らしています。

いまの人は、足の指が地面についていない「浮き指」で、足の指が効いていない状態で立って歩いている人が多いといわれていて、平澤先生の"予言"は、着々と現実のものになりつつあるということになります。

■ 足のアーチとスタンスフット/ウォーキングフット
足には、3つのアーチがあります。
① 足の外側、小指から踵までのアーチ。
これは、歩く時に最初に着地する部分で、「スタンスフット」と呼ばれることがあります。
② 足の内側、親指から踵の中心を結ぶ、土踏まずのところにあるアーチ。
これは、歩く時に体重を前に送り出すはたらきをする「ウォーキングフット」と呼ばれます。
③ 3つ目のアーチは、足指の付け根を横切るアーチです。

ところが、蹴りだす時に外側のスタンスフットのラインが使われたり、足が着地するときに内側のラインが使われたりなど、本来の機能とは反対の側のラインが使われたりすると、外反母趾や膝痛などの問題が出てくることがあり、スタンスフットとウォーキングフットを正しく使い分けることが重要だと、テキストには書かれています。

■ 足のワーク

(一照さんinstruction)
では、立って足の3つのアーチを確認してみましょう。
かかとを支点にして、足の指を浮かせて足を床に接地します。
足先を床へゆっくり下ろして、親指の付け根を接地します。
そこから、隣の指、また隣の指へと体重を移していって、小指まで接地していきます。
足の外側のラインを伝って、かかとまで体重を移していきます。
反対側の足も、同様に行ないます。

3つのアーチを確認したら、まずは右のかかとを上げて、親指の付け根と小指の付け根だけで体重を支えます。小指側から指を一本ずつ隣へ意識しながら、親指側まで体重を移していきます。反対方向へも行ないます。
小指側の「スタンスフット」に体重が乗ったら、まるで"ねんざになる寸前"のように、足首の外側を伸ばしていきます。
今度は逆に、足の外側のラインを浮かせて、内側の「ウォーキングフット」で体重を支えて、足首の内側を伸ばしていきます。

今度は、かかとを上げてできるだけ身体に近づけていきます。
親指の付け根を支点にして、足を内側へ90度ターンします。
足の角度90度をキープしたまま身体を起こして正面を向きます。
すねから大腿部の外側に、ねじれているテンションが伝わっているのを感じます。

今度は、かかとを支点にして、足を外側へ90度開きます。
開いた角度を保ったまま、身体を起こして正面を向きます。
足の内側にねじれのテンションを気持ちよく通していってください。
左足も、同じように行なってください。


10. 瞑想・坐禅

(一照さんinstruction)
脚が組めない人は、膝から下の部分を前後に並べて置いてください。
この状態で両ひざが床につくことが大事です。
体重のかかり具合は、両ひざに4割・坐骨に6割という配分です。
床からの支えを受けて、骨盤底のダイヤモンドが締まっているのを緩めます。

息を吸いながら両肩を持ち上げて、肩甲骨を少し後ろへ回しながら"ストン"と落とします。肩甲骨が元の位置に戻ったら、鎖骨が水平に少し広がって、上腕骨がほんの少し外旋します。外旋した状態のまま、前腕を前に持ってきて、手をひざの上に置きます。

軽く眼を閉じて…ものを「はっきり見たい」という欲望を、一旦カッコの中に入れて、脇に置いておきます。これで脳に入ってくる情報が少なくなって、脳を休めることができます。

脳が休まっている分、"皮膚のセンサー"を使います。
坐骨から下に向かって意識を向けます。頭頂部から上に向かって意識を向けます。その間の皮膚からは、四方八方に水平に、レーダーの電波が発せられているように、外へ気持ちを広げていきます。
指先の緊張は緩めます。

下部肋骨に注意を向けて、息が入るとともに前や横や後ろに少しずつふくらんでいくことに気づきます。

(一照さんinstruction)
きょうは「太鼓のアイデンティティ」という話をしましたけれども…いま坐っている中で起きている経験というのは、「小さな私」の周りから様々な刺激が与えられて起きているのではなくて、「この経験ぐるみが私」ということです。体験の受け止め方を変えることを試みてください。

ものをよく見ようという欲望が低い状態のままで、眼をゆっくり開いてください。心も感覚器官なので、自分から何か積極的に良いアイデアを生み出してやろうとはしない。ただどこからともなくやって来る思考を、良いも悪いもなくキャッチしているだけです。


7月一照塾へ向けてのhomework

① きょう講読した「問答1~問答9」の中で、いちばん共感できる問いを1つ選び、さらに道元に食い下がる問いをつくる。
② ウォール・トラクション(1日2回、1回につき8呼吸)
まっさらな気持ちで取り組んだ時の「なるほど」という気づきを大切に。
③ 瞑想(1日10分)
呼吸瞑想やヴィパッサナー、坐禅、阿字観など、普段取り組んでいる方法で。


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