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ASD的バーンアウト

先月、USで開かれる2日間の会合に参加した。日中は、さまざまな分野の人が一堂に介し会話・議論を行い、夜はディナーに出かける。このようなケースにおける(ASD傾向を持つ)私の典型的振る舞いとしては、1日目に活発に会話しつながりを広げていくが、1日目の夜以降は猛烈な疲れに襲われて、その後は閉じ籠り気味になる、というものだ。

このような振る舞いは、大小の差こそあれ、皆共通に発生するものかと思っていた。が、どうやらそうでもないらしい、むしろASDの人に限っておおよそ共通する傾向であると知ったことは、ここ最近の大きな発見だった。つまり、初日に猛烈にマスキング(=通常の人のように見えるよう努力すること)して会話することで精神的に疲弊してしまい、そこから回復することができない、というのがASDという観点で起こっていたことだった。

先月更に分かったことは、会合が終わった後も、(単に精神的疲弊が続くといったことに限らない)影響があり得ることである。普段の私は、マスキングをしながらコミュニケーションを行うことで、対人関係を円滑に行なっている。一方、会合から帰国した後、人と会話する気力が回復した後にも起こったのは、このマスキングが機能しなくなる、ということだった。より具体的には、コミュニケーションの仕方に大きな問題があり、オフィス内の人間関係にトラブルを生じさせてしまった。なお、コミュニケーションが難しくなっていることを気づいた後も、その能力を復活させるのに2週間ほどの期間を要した。

このような現象は、'Autistic Burnout'と呼ばれる現象の一部のようだ。適切な訳語がわからないので、タイトルには「ASD的バーンアウト」としておいた。ASD的バーンアウトから復活するには、対人関係を限定的にし回復を待つ、という方法以外に効果的なものはなさそうだ。

どちらかといえば、バーンアウトしないように予防するのが効果的かもしれない。上記の会合の例であれば、1日目に自分自身がいかにダメージを食らっているかに自覚的になり、意図的にダメージを避けるよう行動するなど。ASDでありながら、社会との関わりを続けていくには、無意識で起こる現象を意識できるようにすることが必要であるように思える。


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