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【往復書簡14通目】食前酒は庭のテーブルでモヒートを

いがらしさんへ

関西は例年より3週間早い梅雨入りになったけど、晴れた日はやっぱり5月らしい爽やかな気候で、札幌の夏みたいだな、と思う日々です。雨の日は憂鬱になるけれど、雨が降るたびに、庭のハーブも、雑草も(!)、ぐいっと伸びるのを眺めていると、これが「恵みの雨」か、とようやく実感を伴って感じるようになりました。

先日は「とちおとめと生ハムのタルティーヌ」ごちそうさま。気持ちも華やぐ、美しい色あいのオープンサンド!キンキンに冷やした、ちょっと発泡感のあるロゼと合わせて、ピクニックしているイメージが浮かびます。

いがらしさんの保存食プロジェクト、順調に進んでいるようでなりより。美味しいいちごは、そのまま食べるだけでも十分に幸せだけど、それを使って何かをつくってみようと思えるのは、たっぷり手元にあるからこそだよね。もちろん、お金があれば、どこにいても、どれだけでも買える時代かもしれないけど、新鮮さと、品種や生産者の多様さ、そして圧倒的な量は、一大産地ならではの豊かさ。その「うわぁ!」という豊かさの感覚全体を、そのままジャムの瓶に閉じ込めて、届けられたなら、それはもう単なる保存食というよりは、作品みたいなものだよね。いつか私も味わいたい。

産地とのつながりと言えば、私がいつも買い物に行くのは、兵庫六甲というJAのかなり大きな直売所なんだけど、そこは、野菜や果物そのもの以外に、切り花や苗、稲わら、もみ殻のくん炭など、農業生産の過程で生まれるさまざまな副産物も売っているんだよね。この前買ったのは人参の花。お花屋さんで買う観賞用の花とはまた違った美しさがあるし、あの人参にはこんな花が咲くのか、と食材ではなく、植物としての姿も見える。稲わらやもみ殻くん炭も「食べられる庭」の土づくりのために、買う日がやってきそう。都市のそばに農地がある、都市農業ならではの接点だなと思います。引っ越してくるまでは、これからは農業から離れた都市で暮らすのか、と思い込んでいたけれど、予想外に近かったのは、嬉しい誤算でした。

そうそう、我が家の「食べられる庭」計画のほうは、カタツムリみたいな速度だけど、進んでいるよ。キッチンガーデンをつくるために、物干し台を移動してみたら、狭い路地庭に、テーブルを置く場所ができた!食べられる「もの」は、まだほとんどないけれど、食べられる「場所」に、なりました(笑)。

いがらしさんが、関西にやってきたら、まずはこの庭の食卓で乾杯したいな。今年植えたハーブはまだ小さくて、摘むのも遠慮がちだけど、もともと植わっていたミントはどんどん増えているので、まずはそのミントを使った食前酒で。

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「食べられる庭のミントのモヒート」

それではどうぞ召し上がれ。

みやう

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