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食雑記

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日々の食卓、食卓での会話、食材やレストラン、食に関する本や映画、イベントなど、食にまつわることだけ書く日記のような「食雑記」。節気毎に更新。
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#関西

何度目かわからない、お好み焼き考

お好み焼きはだんだん好きになってきた。ただ、いまだ、お好み焼き定食には抵抗がある。 お好み焼き自体の理由ではない。お好み焼きは一品料理で主食と主菜を兼ねている料理という認識なので、そこにさらに主食がくるのは受け入れられない。ラーメン定食(ラーメンとチャーハン)、そば定食(そばと五目ご飯とかいなり寿司)も同じだ。 昨日の夕飯、お好み焼きにしようとなった。私は今、食事コントロールをしていて、たんぱく質をきちんと摂ることは、常に課題だ。夕食がお好み焼きでは、なかなか必要量までい

世界の家庭料理を食べられるお店ーカフェ・サパナ

半年に1回、大阪豊中のクリニックに通っている。この年になると、通わないといけない病院はいくつもあって、うんざりすることしかないのだけど、豊中のクリニックだけは違う。なぜなら、セットで通っている大好きなお店があるから。 お店の名前は「カフェ・サパナ」。地域に暮らすいろいろな国の人が、日替わりでランチを提供している。国際交流の会とよなかというNPOさんの運営。素晴らしい。豊中に行くときは、まずはFBページで公開されているカフェ・サパナのカレンダーを確認して、食べたい国の料理の日

お好み焼きの断崖

昨晩、関西に引っ越してきて初めて、お好み焼きを焼いた。もちろん、もう数えきれないほど食べてはいる。ただ、基本お好み焼きは、つくるのも焼くのも、恋人の担当になっていたので、私は座って食べるだけだった。 でも、昨日は恋人の腰痛がひどくて、立ってるのが辛いと言うので、焼くところからは私がやることになったのだ。なるべく細かく言語化してもらいながら、彼の言う通りに焼いていく。 お好み焼き初心者の私なりに、ポイントだなと思ったのは、フライパンに一気に種をのせて山にしたら、崩してならし

運命の無花果と出会う

ついに出会ってしまった。食べられる庭に植えたい無花果に。 8月以来、無花果にどれだけ気持ちとお金を費やしただろう。毎週買い出しに行く、兵庫六甲JAのファーマーズマーケットには、朝採れの無花果が並ぶ。今年は収穫量が少ないらしく、ちょっと出足が遅れると、もう棚が空っぽだったりするけど、とにかく、そこにあれば買う。見たことない種類があれば、それを優先して買う。そうやって、この夏、無花果を食べ続け、保存し続けてきた。 そして今日。昨日は快晴、今日も晴れ。いい無花果が必ず出てるはず

うるめいわしの梅煮

スーパーで、ずいぶん丸々としたいわしがいると思ったら、島根産のうるめいわしだった。残念ながら、頭と腹は落としてあって、うるんだ目は見られなかった。 いわしは大好きで、よく食べる魚のひとつだけれど、北海道でも、東京でも、生のうるめいわしは見たことがない。調べると、やはり暖かい海で回遊するという。また、いわしの中でも鮮度が落ちやすいので、鮮魚ではあまり出回らないらしい。 和食で食べたかったので、梅煮にしてみる。今年は梅干しを自家製したので、量を気にせずジャンジャン使える。

鯖のきずし

1月に3週連続、鯖のきずしをつくった。きずしとは関西の言葉で、関東でいうなら、しめ鯖だ。 毎週買い出しに行く伊丹の公設市場に魚屋があって、まるまるとした鯖が安く売っていた。値札に「きずしできます」と書いてあったので、恋人とふたりで顔を見合わせ、やってみようか、と買ったのが始まりだった。 店長さんに、きずしにチャレンジしようと思って、と言ったら、じゃあ3枚に下ろして、塩までしときます?と言われたので、言われるがままにそうしてもらう。家に帰って、レシピを探す。塩を落として、砂

きつねうどんのしくみ

とにかく甘めの味付けの料理が苦手だ。母は料理に砂糖をあまり使わなかったから、甘味の薄い家庭で育ったというのもあるし、実家を出たあとに出会って夢中になったイタリア料理も砂糖を使わないので、単純に好みということもあるのかもしれない。 先日、恋人が昼食にきつねうどんをつくってくれた。人生で数えるほどしか食べたことがない料理。もっと甘くしてもよかったかな、と言っていたお揚げさんは、それでも私には甘かった。ただ、関西の食文化の典型みたいなものを苦手と思ってしまうと、ただただ苦手なもの

マナガツオの煮付け

先日、古い友人から悲しい知らせが入って暗い顔をしていたら、少しでも気持ちが晴れるようにと、恋人が小ぶりのマナガツオを買ってきてくれた。彼は、こういうささやかな贈り物がとても上手だ。マナガツオのかわいらしい顔に、少しだけ心がほぐれる。 マナガツオを料理するのも、食べるのも初めて。ちょっと調べてみて、醤油で煮付けにする。煮ても形は崩れず美しいけれど(最後にちょっと触ってしまって、額がはげたのはご愛嬌)、箸を入れると身はやわらかくきめ細かい。上品な魚だ。美味しいのはもっと大きいサ

大阪此花と「お好み」焼き

先日、恋人に誘われて、大阪の此花区を自転車でめぐる街歩きに参加した。ライターのスズキナオさんが、妹尾豊孝さんの写真集 「大阪環状線 海まわり」に写っている場所を、写真と見比べながらめぐりたい、とTwitterでつぶやいたことがきっかけで、実現することになったらしい。 そもそも大阪自体、よく知らない中での、此花。行きの電車でグーグルマップとウィキペディアで予習をする。伝法という古からの漁港があること、樽廻船発祥の地であるが、その後、新しい川が掘られたことで、港湾としての地位は