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リーダーシップ関連の書籍を大量に読んだので共通要素をまとめてみた

今日、EQをベースにしたリーダーシップに関してのEラーニング講座の撮影をおこなった。一本10分~15分ほどの講座だが、エッセンスに絞って解説をしてコンパクトなコンテンツになっている。ぼくがこのnoteを書いている書斎は今、撮影用のグリーンバックに覆われている。

ここのところ、リーダーシップに関連するEラーニング講座を立て続けに開発をしている。そして、講座開発と並行して数多くのリーダーシップ関連の書籍をインプットしてきた。数えると10数冊にものぼっていた。興味深いことに、1980年代に書かれたリーダーシップ論は現代に適用できるものも多い。逆に、最新であると言われているリーダーシップ論は、すでに過去に語りつくされている要素がたくさんあることに気づく。つまり、最新であると言いながら、表現方法だけ変えているだけの、内容の本質に新しさがないようなものもある。たとえば、心理的安全性は比較的あたらしいキーワードであると思われているが、その重要性はすでに1960年代にエドガー・シャインとウォレン・ベニスによって知られていた。それは、つまりこうとも言える。昔のリーダーシップ論が現代でも通用すると言えるとともに、このリーダーシップという領域は遅々として発展していないのではないか、と。

であるならば、ぼくがこの数か月で読んできたリーダーシップ本の共通要素をまとめるのもいくばくが意義があることのように思う。つまり、数あるリーダーシップ論の共通要素を抽出し、一般化することで、いいとこどりをすることができるということだ。とはいえ、読者には先に断っておかねばならないことがある。このあとに書かれている内容は恐ろしく凡庸なものである。きっと、読者もこれまでに何度も聞いたことのある内容だろう。でも、ぼくが伝えたいことはこの凡庸で、聞き飽きた、リーダーシップというものを”発揮することがどれだけ難しい”か、ということである。リーダーシップを発揮するのに重要なのは、その概念の目新しさではない。いかに実践し、機能させるか、ということである。

人材開発や組織開発は、概念の目新しさばかりに目を奪われ、その実践をないがしろにしてきた経緯があるのではないかと思っている。ぼくが、以前にティール組織について書いた記事についても同様である。結局、ぼくが危惧したようにティール組織は一過性の流行で終わってしまった。

流行が終われば、地道に実践を続ける組織はもはやほとんどなくなってしまうのである。心理的安全性にしても、1on1、OKRにしても、その本質はほとんど昔から変わっていない。もう流行に踊らされて、その都度、飛びつくのはやめようではないか。人材開発や組織開発は地道な実践だけが求められている。

それでは、凡庸すぎるくらいに凡庸なリーダーシップ論の共通項を確認していこう。文末の文献もぜひ参考にしてほしい。

ビジョンを掲げる

メンバーを引っ張るために必要なのがビジョンであるという。メンバーが心躍る将来像を掲げ、動機づけ、組織の求心力を高めるというものである。逆に、危機感をあおることでメンバーを動機づけるという手法もある。ビジョンと危機感のどちらか一方でも、両方使ってもよいが、昨今ではビジョンというポジティブな手法だけのほうが現場からは喜ばれるのではないか、と思う。とにかく、昨今は”ポジティブ大好き”な言説ばかりである。

コミュニケーションをとおして説得する

どんなに魅力的なビジョンであっても、その意味合いを丁寧に説明し、説得する必要がある。ビジョンは少なくとも中期的な目標であるから、都度、コミュニケーションをとることが欠かせない。そして、コミュニケーションが多ければ多いほどよい。ぼくたちの時間が許す限り。

自分の信念に従って行動する

ビジョンを説明するにしても、そこに矜持が垣間見えることが重要だ。言葉はときに、驚くほど空虚である。心の底から出る言葉でなければ相手を説得することはできない。だからこそ、ぼくたちは自らの信念や価値観を確立させる必要がある。

セルフマネジメントによって信頼を醸成する

加えて、信念は首尾一貫していること、それを行動で体現しつづけることが重要である。メンバーはぼくたちの言動の一挙手一投足に目を見張り、影響を受けている。ぼくたちが首尾一貫性を欠けば、メンバーは混乱してしまうだろう。

職務を遂行する

上記を前提として、リーダーは組織の職務を推進することが必須である。職務が進捗していることそのものが、メンバーの動機につながるとする主張もある。(下記、『マネジャーの最も大切な仕事』参照)

メンバーをケアする

ビジョン実現に障害はつきものだ。組織もアップダウンを繰り返しながら日々の営みを遂行する。リーダーは率先してメンバーをケアし、動機づけ、鼓舞する必要がある。メンバーがいなくては、リーダーは何もできないのだ。

参考文献


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