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「子どもの水辺の事故」を3つに分けて考える。

 この夏、縁のある方々のおかげでたくさんの方と繋がりで、水辺の事故や「ライフジャケット」のことについて議論し、考えることができました。

 その中で、これまでは整理されていなかったことがスッキリと整理できたことがあります。それは、「『子どもの水辺の事故』を3つに分けて考える。」ということです。その3つとは、以下の3つです。

①子どもだけで水辺に近づいて起こる事故。
②保護者と水辺にいて起こる事故。
③子どもが参加した水辺での行事やイベントなどで起こる事故。

 これから、それぞれについて、詳しくまとめていきたいと思います。

①子どもたちだけで水辺に近づいて起こる事故。

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これは例えば、ちょっと川に遊びに行く、釣りに行くなど、子どもたちだけで、水辺に近づいて起こる事故です。よくあるのは以下の3つです。

①ちょっと足をつけて遊んでいたら、深いところに入ってしまって溺れてしまう。
②サンダル、ボールなど、水に落としてしまったものを取ろうとして、落水して溺れてしまう。
③川岸などで足を滑らせて、落水して溺れてしまう。

 事故を防ぐための対策として、一番効果的なのは「ライフジャケット」を着けることです。「ライフジャケット」を着ていれば、何も起こらないことがほとんどだし、何かがあっても浮いているので、すぐに助けることができます。おそらく、ほとんどの事故を防ぐことができるはずです。

 あとは、子どもたちに事前にしっかりと伝えておくことと、「ライフジャケット」を準備しておくことだと思います。春以降、暖かくなってくると子どもたちは水辺に近づき始めるので、暑い夏のシーズンになってからではなく、それまでにぜひご家庭で、学校で、「よいこのみずべのおやくそく・かっぱの『お・さ・ら』」などを活用して、子どもたちに話して聞かせてあげていただきたいと思っています。

②保護者と水辺にいて起こる事故。

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 これは、家族で遊びにいくシーン。おそらく、3つのうちで最も多い事故になると思います。この事故が多くなるのは週末。よくあるのは、以下の3つです。

①近くで見守っていたのにも関わらず、姿が見えなくなり、気がついたら溺れてしまっている。
②浅い場所で遊ばせていて、少し場を離れている間に深いところに入ってしまって溺れてしまう。
③目の前で落水したり、海の離岸流や川の流れなどに流されて、溺れてしまう。

 事故を防ぐための対策として、一番効果的なのは「ライフジャケット」を着けることです。「ライフジャケット」を着ていれば、何も起こらないことがほとんどだし、何かがあっても浮いているので、すぐに助けることができます。おそらく、ほとんどの事故を防ぐことができるはずです。

 そして、当然ですが「目を離さないこと」です。だけど、人間の身体は沈んでしまうことがあるので、水辺では「一瞬で静かに溺れる」ってことが起こり得ます。しかも、水が濁っていたりしたら、一瞬で消えてしまうように溺れてしまうことがあるのです。おそらく、ずっと見守っている…ということは、できそうでできないものと考えておいた方がいいと思います。

 また、何家族かで遊びに行った時など、たくさんの人数で見守っている場合は、注意が必要です。たくさんで見ているからってことで、「誰かが見てくれている…」という心理が働き、たくさんで見ているからこそ、逆にちゃんと見守ることができないってことが起こり得ます。あえて「子どもを見守る係」を作るなど、ちょっと工夫しておくことがオススメです。

 「ライフジャケット」を子どもにつけさせていても、水辺では何が起こるか分かりません。何かあった時に対処できるように、子どもだけでなく、大人もしっかりと「ライフジャケット」を準備し、着用して見守ってください。

子どもが参加した水辺での行事やイベントで起こる事故。

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 これは、子どもが行事やイベント、ツアーなどで水辺で遊ぶというシーンです。

 この3つ目の事故については、前の2つのとはちょっと違います。何が違うか…というと、子どもを預かって水辺の活動をする場合、「ライフジャケット」を準備して着用させることは「義務」だということです。

 これは、2012年保育園のお泊り保育に参加していた吉川慎之介くん(当時5才)が増水した川に流されて亡くなってしまう・・・という事故があり、この事故について2018年に終結した裁判で「『ライフジャケット』を準備して着用させる義務があった」という過失責任が認定されており、しっかり判例があります。

 3つに分けた事故のうち、「子どもだけで水辺に近づいて起こる事故。」と「保護者と水辺にいて起こる事故。」については、子どもたちを見守る責任があるのは保護者です。「ライフジャケット」を着けることは努力目標で、着けるかどうかを判断するのも、準備するかどうかを判断するのも保護者の責任になります。

 しかし、この3つ目の「子どもが参加した水辺での行事やイベントで起こる事故。」については、「ライフジャケット」を着けさせるのは「義務」です。絶対に着けさせる必要があるのです。

 正直、「ライフジャケット」を着けていれば、絶対カンペキ!ってことではありませんが、安全性は飛躍的に向上します。着けていなかったら起こってしまっていたかもしれない事故も、ほとんどは防ぐことができます。

 「ライフジャケット」を子どもに着けさせていても、水辺では何が起こるか分かりません。何かあった時に対処できるように、子どもだけでなく、大人もしっかりと「ライフジャケット」を準備し、着用して見守ってください。

「ライフジャケット」をどうやって準備するの?

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 ちょっと考えてみてください。例えば、あなたが地域の子ども会の役員になって、毎年恒例の行事として、子どもたちを近くの川に連れていく行事があったとします。その場合、引率する役員であるあなたには「『ライフジャケット』を準備して着用させる”義務”」があるということになるのです。つまり、もし「ライフジャケット」を準備していなくて事故が起こってしまったら、あなたは責任を問われることになるのです。

 責任の話を先にしてしまいましたが、「ライフジャケット」を着けさせていれば、事故が起こるリスクは確実に下がり、命を守ることにつながります。子どもたちの命を守ること、これが最も大切なことです。つまり、役員であるあなたは「ライフジャケット」を準備しなくてはいけないのです。

 仮に、子どもたちが20人いるとします。さて、どうやって「ライフジャケット」を準備するでしょうか?おそらく、方法は以下の3つになると思います。

①毎年のことなので、子ども会で「ライフジャケット」を購入する。
②民間のレンタル会社や、知り合いから「ライフジャケット」をレンタルする。
③お住まいの地域の行政から「ライフジャケット」をレンタルする。

 想像しただけでも、ちょっと大変なことではないでしょうか?特に①とか②の場合は段取りもしなくてはいけないし、費用もかかります。

 「ライフジャケット」を着けさせることが「義務」である以上、保育園、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、子ども会などで水辺の活動をすることがあれば、本来であれば行政が「ライフジャケット」を準備しておくことが求められます。もしも、準備できないのであれば、どうすれば「ライフジャケット」が借りられるかを提示しておいたり、予算を準備したりしておくことが必要になります。

 このことは、以前まとめたものがあるので、リンクの記事を読んでいただければ…と思います。もしよかったら、お住まいの行政の方や議員さんなどに印刷して渡していただければ…と思います。おっしゃっていただければ、できる範囲になりますが、zoom等で対応させていただきます。

 香川では、地元企業さんの寄贈によって、香川県が学校や園、子ども会などで活用できる「ライフジャケット・レンタルステーション」をスタートさせています。この動き、6月末の開設初日に県内の学校からレンタルの申し込みが殺到し、8月末までの予定が全て埋まってしまったそうです。

 これは、週末の行事だけでなく、学校の水泳授業での「ライフジャケット着用体験」にたくさん活用されているそうです。レンタルをすることで、週末を中心とした行事等での安全のための活用と、水辺の安全について学び、事故を予防するための学習のための活用が一気に広がりました。レンタルのニーズの高さに、担当の指導主事さんが驚いておられました。ぜひ、みなさんのお住まいの地域でも、スタートさせていただければ…と思います。

レンタルの充実が「ライフジャケット」を当たり前にする第一歩

 先日、ある方と話をしていた時に、「『ライフジャケット』がみんなの当たり前になるまでには、まだ10年はかかるだろうね。」と言われたことがあります。そんなことはない!と否定したかったけど、明確に否定することができませんでした。でも、今、3つに分けて考えられるようになって、だいぶ整理ができました。

 今ならハッキリ言えます。3つに分けたうちの、3つ目の「子どもが参加した水辺での行事やイベントで起こる事故。」を防ぐための「ライフジャケット」については「10年もかけてはいけない。」と。

 繰り返しになりますが、3つに分けた事故のうち、「子どもだけで水辺に近づいて起こる事故。」と「保護者と水辺にいて起こる事故。」の2つは努力目標で、保護者の責任です。事故を防ぎ、子どもたちの命を守るためには、この2つも早く当たり前にしていきたいところですが、時間はかかるかも知れません。

 ただ、3つ目の「子どもが参加した水辺での行事やイベントで起こる事故。」については、「ライフジャケット」を着けさせるのは「義務」なんです。絶対に着けさせる必要があるのです。その「義務」を果たそうにも、今は着けさせる「ライフジャケット」がないことがほとんど。だから、すぐにでも「ライフジャケット」を着けさせるための準備をする必要があるのです。

 できることから動いて、少しずつでも準備をし始めることが必要だと思うのです。学校や園、子ども会などで活用したい時に活用できるシステムづくりが「ライフジャケット」をみんなの当たり前にする第一歩だと思っています。

 これを読んでいただいた方で、お住まいの地域で動いてみようと思う方がおられたら、連絡いただければ全力で応援します。一緒にがんばりましょう。


思いはただ1つ…子どもたちの命を守ること。

「子どもたちにライジャケを!」
http://www.lifejacket-santa.com/




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