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日経新聞のMuji USAのチャプター11に関するリーク記事はインサイダー情報か?

この記事は、メルマガ「週刊 Life is beautiful」7月14日号に掲載された記事を抜粋したものです。このメルマガは、米国に暮らす技術者・起業家の目線で技術・起業・キャリアについて語るメルマガで、毎週火曜日朝に発信しています。

下の日本経済新聞による記事ですが、記事そのものに違法性の香ばしさがタップリとあるので紹介します。記事の内容は非常に短く、以下の通りです。

(14時55分、コード7453)良品計画が急落している。日本経済新聞電子版によると、雑貨店「無印良品」を運営する良品計画の米子会社が日本の民事再生法に当たるチャプター11(米連邦破産法11条)を申請したことが10日、分かった。報道を嫌気した売りが膨らんでいる。良品計画が急落 「米子会社がチャプター11申請」と伝わる

実際にこの日(7月10日)の良品計画(無印良品ブランドの商品を売っている会社)の株価の動きを見ると、(株式市場の)引け間際に大きく下げています。

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同日、良品計画は、引け後に「MUJI U.S.A. Limited によるチャプター11 に基づく再生手続の申請に関するお知らせ」というプレスリリースを出しています。

上場企業が、この手の「業績に大きな影響を与える情報」をアナウンスする場合、公平を期するために株式市場の引け後にアナウンスすることが慣習になっています。そうすることにより、全ての株主が同時に情報を得て、公平な条件で次の日の株価を市場原理で決めることが出来るからです。

この手の情報を、公式なアナウンスがある前に入手し、その情報を利用して株を売買することは、インサイダー取引と呼ばれ、法律で禁止されており、この法律を犯した人は、「5年以下の懲役又は500万円以下の罰金、もしくはその両方」を科せられることになっています。

引け前の5分前にネットで公開された日経の記事は、入手経路はなんであれ「インサイダー情報」そのものであり、実際にその情報に基づいて株を売却した人たちの行動は「インサイダー取引」なのです。そして、既存株主全員が、この「インサイダー取引」の被害者です。

さらに悪質なのは、日経は、この「インサイダー情報」を使って「日本経済新聞電子版」に読者を誘導しようとしている点です。つまり、この記事は「日本経済新聞電子版のサブスクライバーになれば、インサイダー情報を得ることが出来るよ!」と宣伝しているのです。

私が証券取引等監視委員会のメンバーであれば、以下の行動を即時にとります。

・日本経済新聞電子版の営業一時停止
・この記事を書いた記者の承認尋問、情報入手経路の特定
・この記事が出てから株を売却した人のリストの入手

情報の入手経路次第では、日経新聞社および、この記事を書いた記者に対する厳しい懲罰を課すべきだと思います。特にインサイダー情報を利用して会員を増やそうとした日本経済新聞電子版に関しては、恒久的な営業停止も考慮すべきでしょう。

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