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書評”脳はバカ、腸はかしこい” ~腸内環境の改善で心身共に健康に パート1~

 今回の投稿は書評です。腸内の環境を正常化させることで、健康になれるとのこと。トンデモ理論ではなく、実は腸内に住む細菌が食物の消化や脳内物質であるセロトニンやドーパミンの生産に非常に重要な役割を果たしているということが知られるようになりました。本書は東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎先生が長年の自らの体を以て得た知見から書かれた本で、化学的な知見も交えながら説得力高く書かれております。

【今回ご紹介の本】藤田絋一郎 著「脳はバカ、腸はかしこい」三笠書房

 本のタイトルから「??」となる方もいらっしゃるかと思います。なぜならば脳で人は考え、体の動きを制御しているため、脳のほうがかしこいと考えられるからだと思います。しかし、本書によると腸にも神経細胞があり、自らの判断で便秘や下痢を引き起こす判断をするらしいのです。これらの興味深い内容、読み解いてまいりましょう!

【現代の日本人は頭で考えすぎている】

 冒頭、著者の藤田先生は日本の少子化を取り上げ、日本人が結婚をしないこと、そしてセックスをほとんどしないことに言及をします。これが原因で日本は少子化になっているというのです。事実として、日本人の結婚に求める条件は「収入」という面がほかの国よりも重視されており、「性的魅力の保持」という項目では欧米諸国の人々と比べ物にならないくらい軽視されているということでした。欧米諸国では、普段の生活で最も重要な者を「セックス」と回答した人たちの割合が30%代だったのに対して、日本ではその比率が7%だったそうです。日本人は「友達との時間」や「睡眠」を最重要視しているそうです。つまり、日本人は頭で考えすぎていて、原始的な欲求をほとんど示さないことがわかります。

【セックスの代わりに食事に走る】

 脳は様々な刺激により快楽を得られるようになっておりますが、セックス、食事、飲酒がその好例でしょう。しかし食事を多くとりすぎると性欲が減少するらしいです。本書によると、脳内の「食欲」と「性欲」の中枢が隣り合わせであり、食べ過ぎると性欲が無くなり、性欲が抑え込まれると異常に食欲がわいてしまうとのことです。カリフォルニア大学サンフランシスコ校で行われたショウジョウバエを使った実験では、交尾を断られたオスのショウジョウバエがアルコールを含む餌を多く消費し、それ以降メスを交尾に誘うことが無くなったそうです。このオスからは、神経伝達物質「ニューロペプチドF」が減少していたというのですが、人間の脳にも同様の「ニューロペプチドY」という物質が存在しているらしく、過剰に食事をとることで、このニューロペプチドYが減少し、性欲が減衰することにつながっているというのです。つまり、頭で考えすぎること、そして食事をとりすぎていることが、少子化の一因になっている可能性が示唆されているということです。
 食事を過剰に行うことは性欲減退だけではなく、うつ病を引き起こす可能性があるそうです。それらの原因を次に詳しく見ていきましょう。なお、のちに述べますが、これらの過剰な食事を指示するのは「脳」なのです。
 ここまでの話で、脳を優先的に動かすと、人間の動物本来の欲求や行動が大きく制限されてしまい、まるで家畜のような生活を送ることになることが強く示唆されます。
 今回はここまでとします。次回、続き腸がうつ病の改善に欠かせないという項目をご紹介し、腸と脳の対比がされているパートをご紹介します。

【ここまでの感想】

 「食事を過剰にとる」、「仕事で疲れてほかに何もやれない」、「結婚は収入で決める」、「セックスは汚い」現代の日本人が多く抱える悩みが実は腸と脳の働きのバランスが崩れていることによって起こっているのではないかという問題提起を本書にしてもらいました。人間も生物であることを考えれば、生物本来の行動である生殖や運動を盛んにするべきですが、現代の日本人はこのような欲求や衝動は確かに減っているように感じます。
 社畜とはよく言ったもので、仕事に忙殺されるあまり、食事に気を遣わず、インスタント食品、外食などで食事もさっと済ませ、恋愛もない生活を送る人生ほど無味乾燥なものはないはずですが、これらを積極的にやっているのが事実なのでしょう。
 動物本来の衝動を取り戻すには腸内環境を整えるのが一番であると、著者の藤田先生は述べております。次回はこの続きをご紹介します。腸を鍛えることがなぜ生物としての人間に必要なのか、読み進めてまいります。一緒に勉強していきましょう。

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