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あなたのその仕事、本当に天職?~書評 科学的な適職 最高の職業の選び方~ その1

 皆さんは今の仕事に満足していますでしょうか?「これだ!」と思う職に就いている方はなかなか少ないと思います。それもそのはずです。人類が職業選択の自由を勝ち取ったのは人類生誕から長い年月を経た、つい最近のことだからです!我々は自分に合った職業選択をするのがとても苦手な存在だといえるのです。仕事選びの失敗原因は、“視野狭窄”、つまり”仕事選を一つの視点からしか選んでいない”ことにあるといいます。「好きなことを仕事にしたい!」「高い給料が欲しい!」「グローバルに活躍したい!」そんな願望は、それぞれが大切な仕事選びの軸です。ただし、1つの軸だけを頼りに仕事を選ぶと、仕事選びに失敗するリスクが上がることが統計的に明らかだそうです。

 自分が満足する適職を、より多角的な価値観から、より科学的に判断するための手法があるそうです!この記事では、鈴木祐 著「科学的な適職 最高の職業の選び方」の読解を通して、自分の適職を、感情や世間の目などの曖昧な軸に頼らずに“科学的に”探す方法を解説します。就活中の方、転職活動中の方、自分の仕事にしっくり来ていない方、そして本件興味のある方は最後まで読んでみてください。

今回ご紹介の本

鈴木祐 著「科学的な適職 最高の職業の選び方」 クロスメディア・パブリッシング

こんな人におススメです

・自分の仕事に違和感を持っている方
・就職活動中の方
・転職活動中の方

この本からわかること

 まずお伝えしたいことは、本書は著者である鈴木祐氏が今までに読了した10万報以上のキャリアに関する論文、600人を超える医師や学者に実施したインタビューをもとに執筆されているということです。さらにダメ押しで国内外問わず心理学、経済学関連の論文を数千報集め、人間の幸福、意思決定に詳しいエキスパート50人にインタビューを重ねて得られた知識までもが一冊に凝縮されています。
現段階において仕事を通して人生を幸福にするためのバイブルであり、キャリア構築のハウツー本としては最高傑作であるといえるのではないでしょうか?
ざっくり要約すると、次のようなことがわかります。
1. 人間は仕事選びが苦手
2. 仕事選びの失敗は、狭い視野で選ぶことによって引き起こされる
3. “人生”を幸福にするべく、仕事を選ぶべきである
4. 憧れの仕事(やりたい仕事、高給、ステータス)についても”人生”が幸福になるとは限らない
5. 適職は“AWAKE”という5つのステップで見つけることができる

 自分に適した仕事は闇雲に探しても見つからないのです。見つけ方を知る必要があります。適職の見つけ方は、科学的な手段を用いて探すべきなのです。本書を通して、その科学的な手段を身に付ければ、自分に合った職、つまり人生を幸福にしてくれる仕事に出会える可能性が高くなるはずです。

 この記事では、本書記載の5つのステップに沿って、読解を進めていきます。的確な読解を心掛けておりますが、本書の魅力を知り、より正確な手法の理解をするには、やはり本書を実際に読んでいただきたいと思います!自分に合った仕事を探している方は、本記事を最後まで読んでみてください。そして興味がわきましたら是非、本書も読んでみてください!

それでは、読解始めます!

正しい職業選択のステップその1 幻想から目覚める

このステップでは世間で聞くキャリアアドバイスの真偽が検討されています。「好きを仕事にしよう!」などの謳い文句が本当に正しいのかを検証しています。

仕事選びにおける7つの大罪とは!?

 仕事を選ぶときに、最初に何を考えますか?多くの人は「自分の好きなことを仕事にしたい」と考えるのではないでしょうか?しかし、好きなことを仕事にすると高い確率で失敗するらしいのです。仕事で大成功を収めた人たちも、好きなことで成功しているとは限らないのです。例えばスティーブジョブズはスピリチュアルが好きだったそうです。でも、彼の仕事は実業家でした。もしジョブズが“好きを仕事に”していれば、アップルの創業者ではなく、スピリチュアルの指導者になっていたはずなのです。ほかにもゴッホは聖職者、ココ・シャネルは売れない歌手、ナポレオンは無名の小説家だったかもしれません。“好きを仕事に”しても幸せになれるとも、成功できるとも限らないのです。
 ”好きを仕事に”する以外にも、たくさんの仕事選びで陥りやすい間違った考え方があります。著者はそのような間違った考え方のことをまとめて「仕事選びにおける7つの大罪」としてまとめています。それらは以下の通りです。

1.好きを仕事にする
2.給料の多さで選ぶ
3.業界や職種で選ぶ
4.仕事の楽さで選ぶ
5.性格テストで選ぶ
6.直感で選ぶ
7.適性に合った仕事を求める

 これらの指標は、キャリアアドバイザーや転職エージェントがよくするアドバイスだと思います。しかし、これに基づく仕事の選び方は大間違いなのだそうです。短期的には満足。でも長期的には人生の満足度にはマイナスになってしまうそうです。「仕事選びにおける7つの大罪」これらがなぜそういわれるのか、それぞれを詳しく見ていきましょう。

大罪1. 好きを仕事にする

 今の日本人が仕事にやる気を持っている割合はわずか6%なのだそうです。そして70%以上が「仕事にやる気がない」と答えているそうです。そんな現状であれば、”好きを仕事に”したくなるのももっともですよね。しかし、自分の好きを仕事にしてもしなくても人生の幸福感は変わらないそうです。働く人には次の2種類の人がいるそうです。

1. 適合派:好きを仕事にしたい人。好きなことであれば薄給でもいいと考える。
2. 成長派:仕事は続けるうちに好きになるものと考える人。仕事は楽しくなくても、給料が欲しいと考える。
結果として2. の成長派のほうが幸福度が高いそうです。これはなぜでしょうか?

好きな仕事においてもやりたくないことがあるから。

 どれだけ好きな仕事でも、面倒な仕事や人間関係が必ず存在するのです。適合派は、この面倒な仕事や人間関係に直面すると、自分の理想とのギャップを強く感じてしまい、つらく感じてしまうのです。一方で成長派は最初から期待していない分、面倒な仕事も受け入れてしまうのだそうです。
 驚くべきことに、好きを仕事にするとスキルも伸びないのだそうです。オックスフォード大学の研究で次の3タイプの労働者を継続して調査しました。
・好きを仕事に派:自分はこの仕事が好きと感じながら仕事するタイプ
・情熱派:この仕事で社会貢献するのだと思いながら仕事するタイプ
・割り切り派:仕事は仕事と割り切って働くタイプ

労働者を追跡して、それぞれのスキルと継続率を調査した結果、最も優秀だったのは「割り切り派」だったそうです。
 理由は同様です。好きを仕事に派は、業務上やりたくない仕事をこなさざるを得ないとき、「この仕事が好きではないのかもしれない」と感じるのです。これでモチベーションが上下してしまうのです。

 この話を受けて「でも、仕事ができる人は往々にして情熱をもって仕事をしているじゃないか!」という意見も出てくるでしょう。確かに”情熱大陸”や”プロフェッショナル仕事の流儀”などを見ていると情熱をもって仕事をしている人たちばかりが取り上げられています。いい仕事をするには、やはり仕事に情熱、熱意を持っているべきなのです。“好きを仕事に”するなと言いながら、何か矛盾しているように聞こえます。実は“仕事に対する情熱”は、“仕事が好き”なことと関係ないそうです。では仕事の情熱は何と関係しているのか?
 仕事への情熱は自分が注いだリソースの量に比例するのだそうです。
これはロイファナ大学が実施したアンケート結果から明らかになったそうです。アンケートの結論としては次がわかりました。

・今の仕事に対する情熱の量は、その前の週に注いだ努力の量に比例していた
・過去に注いできた努力の量が多くなるほど、現時点での情熱の量も増加した

 被験者の中で自分の仕事を天職だと最初から思っていた人がほぼいなかったそうです。これはとても興味深い事実ですね。
 「量が質を生む」という言葉がありますが、このアンケートの結果と相関があると思いませんか?量をこなすことはリソースを注ぐことだと思います。そして、こなすうちに仕事に情熱を持ち始め、結果質が上がってくるのかもしれませんね。質が上がれば、仕事が楽しくなってもっとやりたくなるでしょうから、好循環が生まれるのでしょう。こうやって、努力の結果、徐々にその仕事が自分の天職になっていくのかもしれませんね。

 長くなるのでパートを切ります。次回は2つ目の大罪、“給料の多さで選ぶ”を解説します。次回もぜひ読んでみてください!

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