【禅便り】vol.8　〜相利共生（そうりきょうせい）〜

「当たり前への感謝」を日々実感できていますか？

『相利共生』
お互いのことを考え、行動し、
共に手を取りあって生きていこう

人は目の前のことに必死に懸命に生きていればこそ、この気持ちを見失いがちですが、禅の世界では当たり前を「あるべきものが、あるべきところに、あるべきように、ある」状態であると定義します。

ぼくも、あなたも、間違いなく、この教えを頭では理解しているのです。

しかしそこに、やるべきことが次から次へと湧き出してきたり、家族や職場の人間関係でストレスを感じたり、様々な形で”日常”が入り込んでくるとどうしても、「なんでこんなことばっかり面倒くさい」と、今あるゆたかさに意識が向かなくなってしまいます。

そこで今日は、この言葉を贈らせてください。

「ぼくたちは、歴史という莫大な遺産の相続人」

蛇口をひねれば水が出ることも
道路や線路があって目的地に安全に向かえることも
生産者の耕作地があって流通の仕組みがあって
毎日食事がいただけることも。

もう少し踏み込んでみると、
地方自治体があって暮らしをサポートしてもらえることも
税金という仕組みがあってインフラを整備したり
治安を維持してもらえることも
医療が受けられて年金制度があって生活保護制度があることも。

暮らしの中に当たり前にあるすべてのモノは、
「何もなかったところからどこかのだれかが後世を想ってつくってくれた遺産」なのです。

ぼくたちが暮らす世界は、すべからく「おかげさま」で成り立っていると考えると、少し印象が違って見えてきませんか？

世界中の一人ひとりとの繋がりを実感して感謝せよとまでは言いませんが、『相利共生』が生きることの本質であり原点であることは、間違いありません。

毎日の今に必死になる時期があることは仕方のないことです。

しかし、視野が狭くなったり力みすぎていたり感謝を忘れてしまっている時は、ぜひ今日の言葉を思い出してください。　

それが今この瞬間を「生かされて生きていること」に気付くキッカケになりますように。

合掌

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