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高齢者リハビリのココロエ35 そんなリハビリのイメージは捨てちゃいな

 「はい、〇〇さん、歩きますよ~」と施設に勤務する療法士(リハビリ専門職:作業療法士や理学療法士)。歩く距離は施設フロア内50m程度。普段は車いす。歩く頻度は週三回。みなさんがもし、高齢者施設でリハビリを受けるとしたら納得されるでしょうか?歩く距離は一週間で150mということになりますよね。そこに筋トレやストレッチ、自転車こぎなどがはいりますが…。でもですよ、みなさんがイメージするリハビリを、だれが見ても「あ、リハビリしてるんだね」というリハビリをこの療法士さんはされているわけです。つまり周囲の期待と合致するリハビリが行われているわけです。そういった意味では何も問題はないのかもしれません。
 では、効果は期待できそうですか?一週間に150m歩く、週三回15分程度、療法士と身体を動かすことはいいのですが、あとの時間は座っているか横になっている。全体の何割かには効果が期待できますが専門職でなくとも経験から冷静に考えれば良くなるはずはありません。そういった意味で、高齢者のリハビリは『一般的なリハビリのイメージ』に当てはまらないのかもしれません。さらに『リハビリ』という言葉には『身体をよくする』『元通りになる』という潜在的イメージも含まれているのではないでしょうか。
 ではどうしたらよいのか?捨て去りましょう、従来のリハビリのイメージを。これは療法士もです。うすうす感じているはずです「今していることは本当に効果が少ないかもしれない」と。わたしの知り合いの理学療法士も「どうせ要介護高齢者の身体は良くなるわけではないんだから」と暴言を吐いていました。だったら、なぜこの仕事をしているのか?不思議に思ったことがあります。余談でしたが療法士がこの従来のリハビリイメージを捨てたら『リハビリの手段がなくなってしまう』という不安が出てきます。ご利用者も『あのリハビリをしてくれなきゃ困る』となります。でもそこで療法士が立ち止まっていたらそれこそ介護保険分野のリハビリサービスは縮小していくと考えます。
 そのうち、みんな気づいてくるはずです。「老化してるんだから元に戻らないし、身体も若いころのようにはならない。うまく老いと付き合うべき」と。そんな老いとうまく付き合うリハビリの方法・手段がもっとひろまることがわたしの最大のミッションです。

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