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キャリアから考える、自分が持つスキル〜デュアルライフ&起業編

2015年以降、僕は都会と田舎のデュアルライフを行うことになるのですが、移行するまでの過渡期に学んだことや実践したことをまとめたいと思います。


デュアルライフの最大の課題は仕事をどうするか

北海道に来てなんとなく大都会札幌に住んでいましたが、様々な人との出会いの中で、島牧村という当時人口1500人の村と出会いました。秘境とも言えるくらい辺鄙な場所で、札幌から車で3時間半という距離にありましたが、それがまた小旅行感があっていいと感じました。

田んぼの開墾などを通して島牧村にもコミュニティが出来始めたのも1つの要因ではありました。そんなこんなで、ここにも拠点を持ちたいと考えたのです。しかし、問題は仕事です。

これまでの仕事はほとんど札幌もしくは東京を中心にしたものでした。リモートで受注していた東京の仕事はネット環境があればなんとかなるのですが、島牧に来ている時は札幌の仕事はできないのは明白。デュアルライフ(2拠点生活)の最大の課題は仕事をどうするか、でした。


仕事がないなら作ってしまえばいいじゃん

田舎というものは買い物も遠くまで行かなきゃいけないし、必要なものもすぐに手に入らない、相当な不便とともに暮らすことになるのだと覚悟を決めていました。

ところが、周囲の住民を見ていると、そこまで不便そうに見えない。その理由を探っていくと、あるものでなんとかする、なければ作るというマインドが根付いていることに気づきました。

そうか、なきゃないでなんとかすればいいんだ、と気づいた僕は、仕事も「田舎に仕事がなければ作ればいいじゃん」という発想に行き着きます。

田舎で最も安定している仕事は何か。それは役場職員や消防署などの公務員です。さらに視野を広げてみると、役場からの公共事業をもらっている土建業者なども安定した仕事を得られていました。

僕は復興支援活動の経験を経て、公官庁からの仕事の取り方を学んでいましたのでそれを生かすことにしました。もちろん、自分だけじゃなんともならないので色んな人を巻き込むことになります。

【学んだスキルや教訓】
●過去の経験は使える
●ないものを嘆くくらいなら発想次第でなんとかしたほうが楽しい
●仕事を作るには人を巻き込むこと


地域を動かすには政治の力が重要

田舎で仕事を作るのは並大抵ではありません。なぜなら、田舎は小さいパイ(公共事業)を分け合って生きているからです。そこに新参者が強引に参入しようものなら徹底的に叩かれます。つまり、今の仕事を奪う形ではダメなのです。

さらに、新しい事業を提案しようとしても、田舎の自治体はそもそも予算が少ないので基本断られます。つまり、新しい事業を提案しようと思ったら、予算ごと自治体に引っ張ってくる必要があるのです。

僕が村に提案したものは「地域おこし協力隊」でした。様々な自治体で採用されていたにもかかわらず、島牧村ではまだ導入がされていなかったのです。予算は国が持ちます。村は年度末まで仮払いをする必要があるだけ。これを地元の友人の協力を得て村長に会いにいきプレゼンしました。

しかし海千山千の村長は、移住は大歓迎だよとのらりくらりかわすだけ。この村はトップダウンではなんともならないんだと悟ったので、議会を動かすことにしました。かねてより交友のあった村議は協力隊導入に賛成してくれ、議会に発案してくれると言ってくれたのですが、現状では採決される見込みは薄いとのこと。

そこでプレゼン資料を作って議長にも会いに行き、熱い思いを語りました。議長も仲間の議員に話してくれると言ってくれました。

協力隊の採択に当たっては村長及び企画課長にプレゼンする際に、地域でこの制度の統括をしていて詳しい振興局の方に来てもらってプレゼンのサポートをしてもらいました。他地域での導入実績など先行事例を知ると自治体は採択しやすいからです。

また、かねてから交友のあった参議院議員が役場で打ち合わせをしていたときにたまたま挨拶に来てくれたのも幸運でした。国会議員の方からも「応援してる」と一言プッシュしてもらえたので、村長や役場職員の見る目が一気に変わったことを覚えています。

さて、こうした地道な根回しのおかげで村議会ではギリギリ賛成多数で採決に至りました。担当課の職員と応募について話し合い、募集されたのちに改めて応募し、協力隊員に任命されたのでした。

【学んだスキルや教訓】
●地域を動かすためには根回しが重要
●首長なのか、議会なのか、パワーバランスを見極める
●外部のキーパーソンを招くことで強力なプッシュができる


制度は自分でクリエイト

協力隊導入に際して、制度の中身については相当勉強しました。役場の担当職員よりも詳しかったはずです。そのため、協力隊のマネジメントシステムを協議して作りました。

提出する資料のフォーマットは自分でたたき台を作って提案。正直、役場の人も既存の仕事があるので新しいことはあまりやりたくないのですよ。めんどくさいところは全部こちらで整えますよって言っちゃうのも新しい制度を導入するためのポイントです。

これはこちらの都合に合わせて調整して提案できちゃうというメリットがあるので、役場担当者も利用者もウィンウィンのやり方です。多くの自治体では役場や団体に雇われるという形で協力隊を受け入れるのが主ですが、僕は勤務時間など縛られたくなかったので業務委託という形で契約をしました。

【学んだスキルや教訓】
●行政との仕事のやり方
●制度を作るポジションは強い


協力隊を卒業して起業

地域おこし協力隊という制度は、同一人物と3年まで延長して契約を更新することが可能です。しかし、僕は1年半で辞めました。

費用を出してもらっている手前、やっぱりどこか飼われている感覚が抜けなくて縛られていることに不自由さを感じていました。なので、「レールは作れたので卒業します。次新しい人と交代します」と申し出ました。

協力隊の規定の中に、地元に残って起業する際には100万円の準備資金(用途はある程度限定される)を提供するというものがあったのでそれを活用し合同会社を設立しました。これも当初の計画通りです。

3年の猶予があるからとズルズルと居座らず、タイミングが来たらスパッと切り替える。誰かのタイミングじゃなく自分のタイミングで動くこと、重要です。

【学んだスキルや教訓】
●使えるものは活用する
●自分のタイミングで決める


デュアルライフ&起業編まとめ

地域の動かし方というものを学んだタイミングでした。小さい自治体は小回りが利く代わりに人間関係が特に重要になってきます。外から来た人間が強引に突破して行くのではなく、丁寧に障害を取り除きながら進めていったことに結果がついてきたのだと思います。

これはアイディアを持っているだけではダメで、説得であったり、戦略をきちんと練れるといったスキルが必要なのだと感じます。自分1人でできなかったら協力者を募る、人を巻き込むということが必要なのだと学びました。

そして起業するなら自分の意思が重要です。周りの状況を見てとかは全く関係なく、自分でやると決めて舞台を整えて起業する、これしかありません。

ありがとうございます!これを励みに執筆活動頑張ります!