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18日目:しめ縄作りのために縄綯えができるようになるまで

12月21日月曜日。

もう今年もあと数日。
クリスマスが終わると、どこもかしこも来年の準備を始めますね。

大保木では、しめ縄作りが行われました。

公民館の木工室に顔を出すと、そこでは藁を打ち付ける作業が行われておりました。

この藁は今月の中頃、大保木の方が来月の行事『とうどさん』と、このしめ縄作りのために持ってきたもの。

…でも、以前に銀納義民祭の記事で大保木の土地柄にも触れたけれども、大保木ではほとんどお米の栽培ができません。
つまり、この藁は他の土地からいただいてきたものになります。

丸太の上に藁の先端の方を乗せ、藁を木槌(藁打ち)でパンパンパンと打ち付けていきます。

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なぜ打ち付ける作業をするのかというと、藁を柔らかくして、しめ縄を作りやすくするためだそう。

この藁の束は、真ん中より下のところで縛ってあり、それより先端側を主に叩くのだけど、縛っているところより末端寄りの部分もちょっと叩いておきます。

藁に少し水をつけ、ねじりながら叩くと一層効果的だとのこと。

私も何束か叩いて隣の講堂へ行くと、そこでは黙々と藁をしめる皆さんの姿が。

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私も早速やってみよう、というわけでやり方を尋ねたのだけど……あれ、難しい。

こうやってね、こうやって…と地元の方が教えてくださるのだけど、私は、え、え?という具合で手が動かない。なぜって、この手つきが真似できない。

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縄綯え(なわなえ)の動きが。
しめ縄は、藁(縄)を綯う(より合わせる)ことで作られる。つまり、藁同士がねじれている状態をつくるわけだけども、それを縄綯えというのです。

え、なに、どうなってんの? どういう動き…?? え、むずくない? 
こんな感じ…?

ひとまず、練習ということで2本と2本の藁をより合わせるところから。

そうしてできた藁の作品がこちらです。

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綯えてなくない…?

全然ねじれてないんですけど。(爆笑)
あの、しめ縄特有のねじれはどこにいった。
もはや藁の芯にもう片方の藁の束をぐるぐる巻きつけているだけやんけ(笑)
笑えるわ。藁だけに。わら。

…え、こんなんで、本当にしめ縄できるの……??

完成まで気が遠くなった。。。

え、どうしよう、どうしたらいいですか?

私は誰よりも早いペースでしめ縄を作る平野さんのところへ。

平野さんといえば、この記事だ。

平野さんはこういう手先を使ったモノ作りがすごくよくできるお方。
速くて丁寧で、きちんとした作品が作れる、手先の器用な人なのです。

早速平野先生にすがりついた私は(笑)、お力をお借りして試しに一本作ってみました。

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しめ縄だ…。
ちゃんと形になってる…。
間に紐までちゃんとくっついてるよ…。

ほぼ10割、平野さんが作りました。(おい)

ひとまずこれはお家に持って帰る用ということにして、このままではさすがに帰れないので私も縄綯えを黙々と練習です。

「こうやってな、手のひらで一束、指先の方に一束おいてな、手のひらを横に滑るように動かして、そのときに藁をねじっていくんじゃ」

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大保木の方に教えてもらいながら私は何度も挑戦。

え、どういうこと、できない…、滑らないんですけど…、手の腹の方でならなんとか…、

あれこれぼやきながら藁を手のひらで、しゃわしゃわといじっているだけで何にも形にならん。(笑)次第には地元の皆さんから笑われる始末。(笑)
「こりゃあ、今日中にしめ縄はできんかもしれんのう」

私もそう思う。


そうして何度も何度も何度も何度もねじねじねじねじ…手のひらで藁を触り続けて、ようやく、ガサガサ…という藁のねじれる音が…

お…?これは…

やりながら藁の方を見ると、手の下側から出てきた藁が、しっかりねじれた束に…!

おお、これはできているのでは…!?!

そうして出来上がったものを地元の方に見せると、
「おお、形になっとるなっとる。綯えるようになっとるなあ」

おお、ついに!できたのか!縄!

私の縄が綯えるようになるまでの作品がこちらです。

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左から徐々に成長していっているのがお分かりいただけるだろうか?

…一番左のものはもう、出来栄えうんぬんではない。底辺すぎる。論評する気にもならねえ。
ただの藁だ。

2つ目くらいから形になってきて、最後の5つ目はきちんと形になっているのではないか。たった数十分、いやもしかしたら1時間くらいはやっていたかもしれないが、それにしても最初とは比べられないくらいに成長するものですな。

一時は神様に怒られる、と思って慌てたしめ縄作りだったけれど、これならきちんと神様をお出迎えする作品ができそうな気がします。

ちなみに、とある方の完成したしめ縄がこちら。

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立派すぎや…。

あ、みかんと葉は別の方が後から付けたものです。でもその向こうの、本体の、しめ縄が…!

何あのねじれ。こんなぶっといのどうやって綯うん。しかも大きさが途中から変わるという高度な技。しかもしめ縄の下から上、さらに下を通って飾りまでついとるやん。

わしの作ったもんは、この紐の部分だったってことか…。

スーパーで買えば通常1000円近くするこんな飾りを参加費300円で作ってしまうのか。

やっぱり田舎にすむ高齢の皆さんの持ってる知識や技術ってすごいなと感心させられる。

「来年になっても縄綯えの仕方、覚えとってよ」

やり方を聞いた地域の方に一言言われました。

…多分、忘れてると思います。

講堂のステージの上で、私のことをじっと見ていたカカシサンタが、覚えていてくれてるかしら。

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以上、今日のこめ氏でした!
来年こそは自分で立派なしめ縄を作るぞ、と思った人より

広報活動や事業づくりなど、これからの大保木を盛り上げるために使っていきます。