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パピチャ 未来へのランウェイ

先日、オンライン試写会に当選した。10月30日公開のアルジェリア映画『パピチャ 未来へのランウェイ』という作品だ。

アルジェリア暗黒の10年と言われている1990年代の首都アルジェの街を舞台に、ファッションデザイナーを夢見るネジュマの青春と絶望を描いている。

アルジェリアに関する知識といえば元フランス領であること、イスラム教国であることくらいしか知らなかったが、映画を観る限り想像以上に人々(特に女性)の生活は縛られていた。

この“暗黒の10年”はアルジェリアが独立した直後、フランス式の生活様式を一切排除しイスラム教国らしさを取り戻そうとする過激派と、それに反対する勢力の衝突によるものらしい。

オンライン試写会のため私はパソコンで視聴したが、大きなスクリーンではないにもかかわらず恐ろしくて震えてしまうシーンもあった。これは映画館で観たらものすごい迫力だろう。

私は1990年代の生まれなので、自分がまだ物心ついてない時代に世界ではとんでもないことが起きていたことに衝撃を受けた。

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“暗黒の10年”を時代背景としながら、ファッションへの憧れと情熱を捨てないネジュマの姿に勇気づけられる。「つらいときこそ、ファッションは常に大胆である」というエルザ・スキャパレリの言葉や、「ファッションは毎日を生き抜くための鎧である」というビル・カニングの言葉を思い出さずにはいられない。

タイトルのパピチャはアルジェリアのスラングで「愉快で魅力的で常識にとらわれない自由な女性」という意味らしい。様々な抑圧に抵抗しながらも、ユーモアを忘れずにいる彼女らはまさにパピチャだ。

アルジェリア本国では公開中止となった美しき問題作。ぜひ多くの人に届いてほしい。


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