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逆タイムカプセル 過去の自分へ

もしも過去の自分に、今の自分の思い出や感情を伝えることができるなら、たくさんの思い出や感情を伝えたいと思う。過去の自分にメッセージを送っても、現在に影響を与えることはできないかもしれない。しかし、自分とは異なる人生を選ぶ自分が並行世界にいるとしたら、嬉しい。

せめて、別の世界線の自分には、自分と同じ後悔や反省をさせたくない。より良い人生を歩んでほしい。些細な変化でもいい。あの時、あの人に声をかけていれば悲しみは和らいだはずだった。あの時、あの子に全ての事情を正直に話し、謝罪してから、それでも君と友達でいたいと伝えてみれば良かった。取り返しのつかないことでも、取り返しのつかないことだからこそ、考えてしまう自分がいる。

卒業式が間近に迫った大学生の自分ならば、意味を理解できるだろう。中学や高校時代の自分では、きっと無駄だっただろう。卒業式の前に思う、入学式の頃の後悔と反省もあるが、それを全部やり直していくのは、未来が未知の領域に飛び込むことになる。大学を卒業する前の方がいい。そこなら、致命的なミスをいくつか回避する時間的な余裕がある

どうか、どうか、あの日の自分に届いて欲しい。避けられなくても、諦めずに頑張ってほしい。

学生の特権を活かしておけ

突然、知らない未来の記憶が飛んできて混乱しているとは思う。
だけど落ち着いて理解してほしい。これは本当に重要な話だ。

親父が自己破産することになる。

破産を避けることは難しいだろう。そこへ至るウンコみたいな父の選択を止めるのは無理かもしれない。だからこそ、お前自身とその先の未来のためにクレジットカードを作っておけ。大学生は審査が通るそうだ。

叶うなら、父親にリボ払いをさせるな。早めに債務整理をさせておけ。
自己破産へ至るまでに借り換えだの何だのと散財する。
お前の姉貴がいらん商売に手を出してしまう。どうやったって儲からないのに高いものを買ってしまう。兄貴の勤めている洋菓子屋も破産する。破産して再就職した先が転職前の洋菓子屋よりブラックオブブラックで倒れる。気をつけろ。そこに至るまでに父は長男に借金を繰り返すが、それは返済のためでもなんでもなく、金にならない夢のために使って、兄が激昂する。あと姉貴のこさえた借金の一部を父と兄が面倒見るけど、そのあと債務整理しやがるぞ。そんでもってまたおかしな生活になる。お前の姉の旦那は金回りと労働に関してはハイパーダメ人間だ。振り回されるぞ。

多くを羅列したが、これらの回避をおまえひとりでやるのは無理だ。たぶんすべて避けられない。でもせめて、お前はクレカをもっておけ。救いの手を差し出すことはしなくていい。
やるべきことはひとつ。母の通院のためにタクシー配車アプリを使うことになるので、そのときにクレカがあるだけでクーポンが使えるらしいぞ。
使えるだけでめちゃくちゃありがたいことが起こる。他にもあればいいのにと思う場面が腐るほどある。リボ払いの恐怖はもともとあっただろうが、親父のことを通して得た感情を届けたぞ。
くれぐれもお前自身はしくじるな。お前だけが頼りだ。あと母の嗅覚と聴力がすごく落ちる。足腰も弱くなるから。

他の後悔も、さっきナレーションベースで流した各種後悔や反省も別日に送る。まずはふたつだけ覚えておいてくれ。

お前の父は自己破産する。
大学生の間ならお前自身のクレカの審査はおそらく通る。作っておけ。社会的信用を稼いでおけ。

問題は、父や姉の生活苦に流されて、お前が破産しないように生きられるか。だ。だが、この後悔と恐怖と、それに付随する知人離れの絶望を理解したお前ならばやってのけてくれるはずだ。

健闘を祈る。

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