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子育てなんてできませんよって話。

我が家には子どもが3人います。
どうやら私はお母さんらしい。
お母さんをしばらくやってきて、「子育て頑張ってるね」と言われるたびにそれが私に向けられた言葉だと気づくのに5秒くらいかかります。違和感。

8歳、5歳、3歳の子どもたちそれぞれに個性があって、どうしてこんなとこ似ちゃったかなーと思うようなところもたくさんあるし、私とのりさん(夫)のDNAどこいった?と思うところもそれぞれに持っているみたい。
お母さんになってもうすぐ9年。とりあえず現時点での感想は「子育てなんて無理」ってこと。や、育児放棄とかそういう意味ではなくて。

起きなさーいとかごはん全部食べてちょうだいとかシャンプーちゃんと流しなさいよーとか、もちろん毎日毎日そりゃあいろいろ言ってますが、親って社会のルールと家庭のルールくらいしか教えることないんですよね。親切な同居人として。
今のところ小2の息子も宿題を見てくれとかほとんど言ってくることなく、自分でどうにかしているようですし。
まあ勉強を教えることは子育てとはちょっと違いますね。

親になる前は子どもを育てるって「導く」系のスキルが必要なのかと思っていたんですが、子どもを産んでその子と毎日一緒にいると、日々自分の無力さに驚くばかりでした。今も。
子どもは勝手に育つものだって知らなかったので。
泣きっぱなしでこっちが泣きたいくらいだった赤子がいつの間にかキャッキャと笑ってる。親が手をかさなくてもある日突然歩き始めるし、毎日普通に話かけているだけでだんだんと言葉を覚えていく。転んでもちゃんと起き上がるし、教えてもいないのに抱っこして欲しいと自分でアピールすることもできる。自転車だって、親がどれだけわーわー言っても自分のタイミングで感覚を掴んであれよあれよとスピード上げて乗れるようになっちゃう。アドバイスはしてるけど、「育てる」なんて大仰なものではない。
私、見てるだけ。もしくはただの「お世話する人」。

そういうわけで、「子育て」って言葉はやっぱりしっくりこなくて
感覚としては「とっても愛おしい小さい人たちと同居してる」という感じ。
「育っていく人たちを一番近くで見守る係」みたいな。

同居人として大事にしてるのは「偉そうにしない」「決めつけない」「フラットに付き合う」「雑談をたくさんする」「相手に興味を持つ(知りたがる)」「話をちゃんと聞いて尊重する」などなどですが、それって結局大人同士でしていることと変わらない。
ごくたまに自分とは完全に別人格の個体だってことを忘れちゃう(エゴってやつですね)ことがあるので注意しています。

近ごろいちばん楽しくて子どもと暮らす喜びを感じるのは「雑談」している時です。
うちの小2男子はスクールバスで学校に行くのですが、家からバス停までの徒歩10分の間の話題がバラエティ豊かになってきました。学校での友達との会話だったりテレビだったりから聞きかじったことばかりだと思うのですが、親子の生活の中でだけでは生まれないトピックが飛び出します。毎朝思いもよらない話になって、つまんない大人と話してるより(悪口)よっぽど楽しいです。
気をつけていることは「こちらから話題を振らない」「どんな話題もうやむやにしない」のふたつです。

面白かった話題をメモしているので一部書き出してみるとこんな感じ。

『電気の自由化と水道の自由化と市場のニーズについて。鞄の中で倒れないお弁当箱の発明と特許と商標登録について。地球の自転と公転とうるう年とオリンピックについて。路上寝はあぶないねとキャバクラについて。アインシュタインのごみで地球が大爆発説についてと水の三態について。体温は温かいのに寒さを感じるのはなんでかについて。本屋さんで本を買うこととお金はメッセージだよねについて。酔っ払いと金属の成り立ちについて。アイフォンとアイフォーンについてとルールを守るに優しいを少し乗っけることについて。迷惑っていう言葉とその取り扱いについて。』

居酒屋だったら閉店時間まで喋れますね。
こんなにおもしろい友人はずっとそのままでいてもらいたいです。

親の技量に合わせて子どもは生まれてくると聞いたことがあるので、きっと私の「子育てスキル」はだいぶ低いんだと思います。3人ともしっかり私のキャパに合わせてくれてやって来ている気がしますから。
こんなに呑気に子どもと暮らせているのはとても運がいいだけなのかも知れませんが、我が家は今のところこんな感じっていう話。





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