仕事を「疎結合化」デキる人(実践編1)
リモートワークにだいぶ馴染んできた頃でしょうか。周囲の話を聞いていると、リモートワークにして楽になったーという声と、残念ながらやっぱリモートワークムリだわ、という声が聞こえてきます。
なぜムリなのかを追求してみると、そもそも「リモート」がダメなのではなく、「ワーク」のやり方に問題があることが多いご様子。元々オフィスですらルール化がされず現場で「目配せでなんとかなっていた」ものがリモートにして通用しなくなり、問題として顕著化したのでしょう。
それを「リモート」ワークのせいだ!やっぱりオフィスじゃなきゃダメだ。。。という結論にしてしまうのは、もったいない気がします。
リモートワークが上手く行っているチームは、仕事が「疎結合化」されている、という記事を以前書きました。
※ 疎結合ってなに?という人はこの記事から参照ください。
ちょっと時間がたってしまいましたけれど、具体的にどうしたらよいかをnoteしてみたいと思います。長くなりそうなので、トピックをいくつかに分けます。
タスクを細切れにする
まずは、自分が抱えている「課題を完了するために必要な作業(タスク)」を全て書き出してみましょう。
例えば、「課題:会議の準備をする」という例を考えてみます。
会議の準備をするという課題だけでも、可視化するとこういった5つの作業(タスク)があることがわかります。
これを「タスク化する」と言ったりします。
重要なのはここからです。このタスクを更に細切れにするのです。これが疎結合化の肝になります。
「細切れタスク」とわたしは勝手に呼んでます。
「細切れタスク」を試してみよう
「細切れタスク」は目安として1時間以内に終わらせられる程度まで分割するのが良いと思います。
なぜ、細切れタスク化が重要なのでしょう。
前回も触れましたが、人間の脳は一度に複数の処理をするのが苦手です。無理やり並列処理をしようとすると、脳にものすごい負担がかかります。結果的に時間がかかってしまいます。
とは言え、仕事はチームで行うので、どうしても最中に緊急タスクが舞い込んできたりしてしまうものです。一旦保留して、あっちをやって、こっちもやって、もどってきて完了させる、、、戻ってきたら「あれ?どこまで処理したっけ?」なんて経験ありませんか?脳に負担がかって忘れてしまうから作業が出戻ってしまうのです。
◇
これを解消する手段が「細切れタスク」です。
重要なのは、1つの処理は1つづず最後までやりきること。これが効率化に最も重要で不可避な大原則です。
緊急タスクが舞い込んで来た場合に何が起こるかを想像してみましょう。
あなたがとれる道は2つしかありません。
今やっている作業があと10分で完了できるなら、さっさと終わらせてしまっても良いでしょう(この場合はあまり問題になりません。)
しかし、今やっている作業が、まだまだ3時間もかかる、となったら一旦中止せざるを得ません。すると、上述の通り作業が出戻ってしまうのです。
ところが、「細切れタスク」化されていた場合、突然優先度の高い仕事が割り込んで来た場合でも、影響が最小限に抑えられます。
タスクは1時間単位で区切っているので、さっさと完遂させてしまえる確率が高くなります。現状の「細切れタスク」を終わらせてから優先度の高いタスクに取りかかればよいのです。
それすらも許されないほど緊急性が高く、中断しなければならなかったとしても、出戻りは最大で1時間ですみます。割り込みに対しての影響が非常に少ないのがわかるでしょうか?
この「細切れタスク」が、仕事の疎結合化を進める上で重要な基本単位になります。
「集中タスク」を厳選する
とはいえ細切れにできない、またはしないほうがよいタスクも当然あります。例えば、プログラミングなど。プログラムもモジュールを小分けするなどの工夫をすることによって細切れにすることも可能ですが、ある程度の作業をひとかたまりにまとめて集中したい作業というのは必ずあります。
Google社ではスプリント タスクなどと呼んでいるそうです。スプリントとは、要は短距離走です。ダッシュするってことです。走っている最中に横槍がはいると速度が落ちてしまうので、スプリントの実行中は邪魔が入らないようにあえて集中室に籠もったり、取込中ステータスにして連絡を遮断するなど、まとまった集中時間を確保することに努めます。スプリントってちょっとわかりにくいので、わたしは「集中タスク」と呼ぶことにしています。
原則として課題はまず細切れタスク化します。そのうえで、あえて細切れにできない / しないほうがよい集中タスクを見極めましょう。「集中タスク」を見極めたら「細切れタスク」から切り出して、作業が分断されない環境を確実に確保します。
「集中タスク」を行う際は、絶対に中断されない環境を作って、はじめから最後まで走り抜けましょう。
そういった環境を意図的に作るためにこそチームワークが必要になってくるのです。
「集中タスク」をチームワークで確保する
「集中タスク」を分類したら、邪魔されない時間をきっちり確保することが非常に重要です。
例えば、わたしがコールセンターの業務設計をしていたときに実施した手法としては、チームを2部編成に分けました。実際にはもうちょっと複雑ですが、シンプルに表現すると以下のようになります。
コールセンターは電話を受ける場所と思いがちですが、実際には電話業務以外にもやるべき作業がかなりあります。例えば、ECサイトではキャンセル依頼は出荷前の定刻までに適切に処理をしなければなりません。こういった処理は通常、一連の作業としてコールセンターで処理していたりします。
電話業務と定刻作業がごちゃまぜのチームでは、定刻までに処理が間に合わなかったり、突然の電話対応に作業が中断されると、どこまでキャンセル処理を実施したのかがわからなくなってしまい、誤ってキャンセル注文を出荷してしまったりなどのミスが大量に発生していました。それをみんなでメモを残したり休暇シフト中のスタッフに電話で伝言ゲームで確認したりなどしてカバーしあっていたのです。まさに密結合の状態です。
「細切れタスク」と「集中タスク」が適切に管理されていないと、こういう事態が発生してしまいます。
◇
そこで、タスクを適切に分け、細切れのタスクを実施するチームと、作業に集中するチームに分けました。「集中チーム」はそれをやりきるまでは一切の作業を免除し、あらゆる電話や上司からの指示対応、依頼などは「細切れチーム」で引き受けます。
逆に「細切れチーム」は、集中チームがどんなに忙しそうにしていても、そこには手を貸しません。いつでも臨時対応ができるように、遊んでいることが仕事だと言い聞かせるのです。
一見スタッフの半数が遊んでいるように見える現場でしたが、それでも作業効率は30%〜40%ほども改善しました。画期的なできごとでした。
「集中チーム」と「細切れチーム」を定期的に入れ替えれば不公平も起きにくいです。
「集中タスク」は業務やビジネスによって様々ですが、チームとしてどのように集中タスクを担保するか、というのが効率化に欠かせません。
まとめ
まずは全ての業務をタスク化しましょう。そのうえで、タスクを更に1時間単位の細切れにします。そうすることで、出戻りを最小限にすることができます。
とはいえ、仕事が一連の処理として分断しにくいものは、集中タスクとして適切に切り出しましょう。そして、できればチームで集中タスクを持ち回りで確保しあえる環境を目指しましょう。
ここまでできれば、仕事の疎結合化は目前です。
次回は、タスクを細切れにするために、必要な心得について、詳しく見ていきたいと思います。
つづく
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