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【まだ見ぬ鹿児島】なんでもないけどちょっと特別な“日常”を探して。ローカルにとけこむ枕崎旅

旅人にとって、巡り巡って行き着く最終目的地は、ありふれた日常が広がるローカルではないでしょうか。“日常”なんて、すぐそばにもあるけれど、どこか違う。飛び交う言葉、道端の草木、流れる時間、家庭料理の味付け…。五感を研ぎ澄ませて、その土地に潜むささやかな「特別」を見つける旅にでてみませんか。

九州のすんくじらで、訪れた者だけが味わえる驚きの“和”体験

「すんくじら」とは、鹿児島の方言で「端っこ」「隅っこ」を意味します。今回の旅の目的地は枕崎(まくらざき)市。九州の南端に位置し、「鹿児島といえば桜島!」というイメージをゆうに覆すほど端っこも端っこの小さな港町です。桜島が見えない代わりに、「薩摩富士」の異名に劣らぬ美しいフォルムが魅力の開聞岳を望むことができますよ。

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枕崎は知る人ぞ知るカツオの町。カツオ漁が盛んなのはもちろんのこと、かつお節の生産量は日本一を誇ります。町の至るところにかつお節工場(地元の言葉で「いでごや」と呼ばれます)があり、その数なんと40〜50軒にも上ると言われています。

その結果、どんな現象が起きると思いますか? ——— なんと、町中にかつお節の芳醇な香りが漂っているのです。もちろん日や時間帯によってその香りの強さは異なりますが、枕崎市に入ったことを示す看板を見かけた直後、車の中にまで香ってきて思わず笑ってしまった経験が筆者にはあります。

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枕崎時間にゆるり流され、迷子をも楽しむゆとりあるひととき

そんな、その場にいるだけで自然と嗅覚と食欲が刺激される町をお散歩してみましょう(もちろんドライブや、レンタサイクルもおすすめ)。ローカルを存分に味わいたいみなさんは、スマホの地図アプリにとらわれず、ぜひ心の赴くままに巡ってみてください。町全体はコンパクトにまとまっているので、迷子になってもなんとかなります。困ったときは地元の人に尋ねてみましょう。市外から来たことを伝えると、喜んであれやこれやと教えてくれますよ。癖の強い枕崎弁に面食らうのもローカル旅の醍醐味です。地元との違いを見つける、宝探しのようなひとときを楽しんでくださいね。きっと旅が終わる頃には、枕崎のディープな魅力だけでなく、地元の新たな魅力も発見しているはずです。

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ワンコインでお釣りがくる!絶景温泉で1日を振り返ろう

散策をたっぷり楽しんだ後は、地下1400mから湧き上がる天然温泉に浸かるなんていかがでしょうか。高台に位置する「枕崎なぎさ温泉」からは東シナ海と枕崎の町を一望することができます。夕方には、ゆっくりと落ちていく美しい夕陽、茜色に染まりゆく町並みと海の絶景が疲れを癒してくれますよ。こんなにも贅沢な体験が、大人400円でできるというのだから驚きです。地元の人も多く利用する施設なので、「裸の付き合い」でコミュニケーションを取ってみるのもいいかもしれません。

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旅先で出会う「母の味」をよりいっそう美味しくする地元民との会話

ローカル旅の締めくくりには、地元の人が集まるお店で晩酌を。細道が幾重にも交わった先に佇む『あじそめ』は、枕崎の人の第二の実家のような場所として親しまれています。座敷席はまさに実家のような居心地のよさ。接客をしてくれるのは、思わず「お母さん」と呼びたくなるほど気さくで笑顔が素敵な女性です(実際に「お母さん」と呼ぶ常連客も)。

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こちらでぜひ食べていただきたいのは、枕崎漁港で水揚げされた新鮮な魚のお刺身。その歯ざわりは「もちもち」「プリプリ」を通り越して、「ブリブリ」としか表現のしようがありません。九州南部ならではの甘めのお醤油とともに、その感動をぜひ味わってください。魚料理だけでなく、だし巻き卵やらっきょうの酢漬け、串焼き、豚カツなどの家庭料理も驚きの美味しさ。どこか懐かしく、ほっと心温まる味わいです。〆の半熟玉子入り味噌汁は注文必須ですよ。

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そんな絶品地元グルメとの抜群のコンビネーションを組むのは、薩摩酒造の芋焼酎「さつま白波」、そしてなんと言っても地元の人たちとの楽しいお喋り。ほろ酔いの地元のみなさんは、昼間よりもさらに心の扉が薄く軽くなっているはず。会話のきっかけには、魔法の言葉「だいやめしましょう!」を伝授しておきますね。きっとすごい勢いで「おー、すっどすっど!」と応えてくれることでしょう。「だいやめ」の意味を尋ねれば上機嫌で教えてくれますよ。

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今回おすすめする枕崎旅はここまで。知れば知るほど奥が深い、ローカルの魅力にふれてみてくださいね。それでは、お気をつけて。よい旅を!

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こちらの記事は、2019年に開催された「じゃらんニュース 47都道府県コンテンツクリエイターコンテスト」で『鹿児島県の優秀賞』に選ばれたものです。大人の事情?で結局どこにも掲載されなかったため、ここで成仏させてください。笑  枕崎に移住して半年でこんな記事が書けたの、なかなか誇らしいです。

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