「むりしなくていいんだよ」


#やさしさを感じた言葉  ってなんだろう?とかんがえたとき、以前勤めていた旅行会社を思い出す。

二度と戻りたくないとさえ思ってしまうほどに身体を壊した旅行業界。最初に配属された店舗での出来事である。

6月に配属され、8月には身体を壊した。今思えば、指導社員が合わない、のが理由だった。指導社員を変えてください、なんて新人の私が言える訳もなく、耐えた。

ちょっといけばパワハラになるんじゃないか、いや、パワハラだったのかもしれない。

店長や周りの先輩社員にも、大丈夫かと心配され、わたしは「これくらい、できない私が悪いので。大丈夫です」と返しながら、心の中では泣いている。そんな毎日だった。
明らかに、これは「身体が壊れているサイン」なのに。

仕事のある日は本当に体が重くて家を出る前は泣きながら準備したり、それでも休む訳にはいかないので毎日仕事していた。少しでも寝る時間を確保しようと、わざわざ遠回りになる(会社に認められていた特殊な事情でわたしは通勤定期を持っていなかった)ルートを選び通勤していた。

毎日のように死ぬほど辛かった。指導の顔を見れば息苦しくなって死にそうになるし仕事中も注意されるんじゃないかと毎日怯えていた。

こんな精神状態でもなお、接客をして、仕事をしていた。

8月半ばにはもう、耐えきれず、店長とも相談していた。店長はこんな何も出来ない役立たずの私の話を親身に聞いてくれたし、本社にも私の今の状況を報告してくれていたそうで「いまは、仕事に来ているから(相当しんどいと思うけど)大丈夫だと思うけど、何かの間違いで、ふとした時に自分で死ぬことを選んだら会社は責任を取れるのか」と、言ってくれていたとあとから聞いた。

結局、わたしはそれから1週間もしないうちに
「考えたけどもう仕事から距離を取らないと文字通り、死んでしまいそうで怖い」と泣きながら口に出し、その場で産業医面談を挟むことなく、休職した。

そのときに「そんなにむりしなくていのに」と言われた。
無理していないつもりでも、無理していたんだと思う。
そして、その言葉にさらに涙が出た。

いつもわたしの味方をしてくれた店長代理の先輩は、わたしの手が空いているときに「感覚にぶると困るからさ、今から言う航空券単品で出してくれない?」と練習に付き合ってくれたり、以前、苦戦したお客様の航空券について「復習ね、八丈島の空港のスリーレター教えてくれる?就航してる航空会社は?(HAC/ANA)」

いま、このお客様の旅行のキャンセルをやるんだけど、出来るかしら?とわざわざいろいろな旅行会社のキャンセルや登録手続きのお手伝いをやらせてくれたりした。

人には恵まれなかったとおもうけど、優しい言葉は沢山もらったし、それを今の仕事で返すつもりでいる。

私がかけて貰った優しいことば
「むりしなくていいんだよ」
「自分の環境にあう会社のために転職はいいと思う」
「若いんだからむりはだめよ」

この言葉を心に留めて、毎日生活している気がする。

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