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Libya Updates #26: October 2020 Week 1


こんにちは🕊
今週もリビアを巡る動きをまとめました。

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リビアのこれまで
40年以上続いたカダフィによる独裁体制が2011年に崩壊。新たな政府樹立を巡り、衝突が続いてきた。
現在は首都トリポリを拠点とし、国連の仲介で2016年に樹立した国民合意政府 (GNA)と、東部の都市トブルクを拠点とする政府 (HoR) が分裂している構図だ。
HoRが支持するハフタル将軍率いる勢力が2019年4月、トリポリへの侵攻を開始した。GNA側の民兵組織らが応戦し、武力衝突に発展。GNAにはトルコ、ハフタル勢力にはUAEやロシアなどがつき軍事支援などを行ってきた。
6月はじめにGNA勢力がトリポリを奪還し、ハフタル勢力は同地域より撤退。停戦へ向けた協議が進んでいるものの、現地での戦闘が続いてきた。

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1. 国内の動き

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GNA政府とハフタル勢力の軍部の停戦交渉へ向けた対話が再開することが決まった。

国連主導のもと6月初旬、GNA政府とハフタル両勢力の軍事部門では停戦に向けた協議が開始した。だがシルトを中心に衝突が続いていた。
国連の動きと並行してトルコやロシア、エジプトなども交渉を仲介している。いずれも効果的な停戦にはつながっていない。


だが、紛争の傷はあまりにも大きい。
タルフーナでは9月2日、首都トリポリ南部のタルフーナにある畑で新たに集団墓地が見つかった。
GNA政府は6月以降、タルフーナの複数の場所に集団墓地があることを突き止めており、これまでに女性や子どもを含む100〜200名の遺体が見つかっている。現時点で8か所にあると見られており、その数は最大で12か所に及ぶ可能性があるという。

現地では捜査のため、普段農業を行っている人びとが駆り出されているという。

GNA政府は「ハフタル勢力側の民兵組織が関連している」と見ている。


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リビア東部のサリール油田で29日、石油の生産が再開した。

ハフタル勢力は今年1月から9月までの8ヶ月間、油田につながる港を封鎖してきた。この結果、石油・天然ガスの輸出国であったリビアではディーゼル燃料などを輸入する状態が続いていた。全土で停電が頻発しており、8月末から9月にかけて西部、東部で市民の抗議運動を引き起こした。


2. 国際社会の動き

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リビアの停戦へ向けた動きを進めていたロシアとトルコであったが、今週は大きな動きは報じられていない。
アゼルバイジャンのナゴルノ・カラバフ自治区で衝突が激化しており、両国が関与していることが背景にあると見られる。


一方、UAEがハフタル勢力に対して武器の提供を続けてきたことが国連が出したレポートで判明した。
今年1月から4月までには同国から150以上の飛行機がハフタル勢力の支配地域へ向かったという。その他にもジェット燃料を船で輸出していることが分かっている

UAEは44名が死亡した2019年7月の移民・難民の収容施設への空爆のほか、翌年1月に軍士官学校の候補生26名が死亡した爆撃に関与したと見られている。

EUは先月10日、リビア北東部にあるデルナから150kmの国際水域を通行中のUAEの商船について、国連による武器禁輸措置に違反している可能性があるとして、捜査のため拿捕した。


3. 新型コロナウイルス 

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リビアでは1日(現地時間)時点で、累計34,525人の感染者が確認されいている。1週間の新規感染者数は4,428人1日に平均約630人以上の新規感染者が確認されている計算。
累計死者数は551名で、1週間で82名の増加。


感染者数は5月まで数十人規模で推移してきた。爆発的な感染拡大が始まったのは6月で、1週間の新規感染者数が前の週を大きく上回る状態が続いてきた。

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リビアの人口は665万人ほど。
情勢不安の続いてきたリビアでは、パンデミック以前より医療保険制度自体が弱い状態が続いてきた。感染者に対応するための病床や医療器具なども不十分だ。
4月から5月にかけては医療施設への攻撃も多発。6月以降は市民らが地雷の爆発に巻き込まれる事態が相次いでいる。


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