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【北米エンタメニュースまとめ】スクエニの海外版漫画アプリが黒塗りだらけ、サンディエゴコミコンでの漫画はプレゼンス低下も売り上げは増加、非中央集権的コミュニティの先行事例から私たちが学べること

北米エンタメ市場のニュースなどのまとめです。皆様の視点を広げる助けになれば。感想も歓迎です。


業界ニュース

映画「犬王」がファンタジア国際映画祭で「今敏賞」受賞

https://www.animenewsnetwork.com/news/2022-07-27/inu-oh-summer-ghost-my-broken-mariko-kappei-win-awards-at-fantasia-intl-film-fest/.188037

映画「犬王」の快進撃が止まりません。日本国内でも映画館で長期上映が続いている一方、海外ではファンタジア国際映画祭で「今敏賞」を受賞しました。「犬王」については作品そのもののすばらしさはもちろん、監督の力も大きいです。湯浅政明監督の海外でのフィーチャーぶりは以下の記事も参考になります。

【“湯浅フィーバー”の一端が垣間見えたアヌシー映画祭】


【アメリカの最新ブック事情】第1回「コミック・グラフィックノベル」

興味深い連載が始まったなと思ったら、第一回は日本の漫画関係者は見落とせない「グラフィック・ノベル」についてです。日本の漫画の多くは、北米市場では「グラフィック・ノベル」に分類されるからです。

記事によるとグラフィック・ノベルとは、絵と文字で成り立つ「長尺の本
」のこと。子供向けもあればヤングアダルト、大人向けと様々な世代をターゲットにした作品があります。日本の漫画はMangaとして受け入れられている一方、北米の書店向けジャンルではこの「グラフィック・ノベル」に入っています。


スクエニ漫画アプリが黒塗りだらけ 海外版に苦言相次ぐ

日本でも話題になったスクエア・エニックスの漫画アプリの修正。こちらは英語圏でもすごく話題になりました。

Twitter上でも修正されたものともとの漫画を見ましたが、かなり雑な修正でもありました。

この修正は性的表現だけでなく、国によっては政治的な表現でも問題になります。以下の記事は「東京リベンジャーズ」の「マンジ」の表現をめぐるドイツの状況です。

日本の「自由」な表現の海外進出が、特にアプリや配信サービスなどを通じて活発になればなるほど盛り上がる問題です。ドイツの事例をみればわかるように、この修正に対する態度は海外のパブリッシャーの中でも一貫しているわけではないようです。

サンディエゴコミコンの漫画、プレゼンス低下も売り上げは増加

7月下旬San Diego Comic-Conが開催されました。漫画の出版社の中には出店を見合わせたところもあり、全体のブースとしてのプレゼンスは低下したようですが、出版各社は記録的な売り上げを記録しているようです。興味深いのは一部の出版社は、北米以外の地域から英語版の出版物の引き合いがあるということ。英語版が、北米以外の市場も切り開いていることを示しています。

アニメや漫画の普及の中で、西海岸はファンの聖地に

https://datebook.sfchronicle.com/art-exhibits/as-appeal-of-anime-and-manga-widens-south-bay-continues-to-be-a-hot-spot-for-fan-communities

広大な土地である米国は、これまで様々な文化を産んできました。そのうちの西海岸はテクノロジーやスケートボードの聖地ですが、漫画やアニメにとっても聖地であります。前述のサンディエゴコミコンも西海岸の大きなコミコンのひとつです。こちらの記事ではサン・ノゼにフォーカス。すでに7月までに2つのコミコンが開催され、さらに配信サービスのCrunchyrollのイベントも予定されていると伝えています。

テクノロジーニュース

NFT、バドワイザーなどのブランドのロイヤルティープログラムに

様々なインターネットサービスやブランドとつながりつつあるNFT。この記事ではNFTがバドワイザーなど複数ブランドの顧客向けロイヤルティープログラムに導入されつつあることを伝えています。ブランドにとっては広告費の上昇などで新規顧客の獲得コストが上昇しています。その中で重要なのは既存顧客のLTVを引き延ばすこと。そのためにNFTというツールが注目されているようです。

ダミアン・ハースト氏の実験では、物理的芸術作品がNFTに辛勝

https://vc.morningstar.co.jp/011086.html

アートの世界では興味深い実験が行われていました。アーティスト、ダミアン・ハースト氏のアート作品「The Currency」はNFTが発行され、物理的な作品を受け取ってNFTをバーン(焼却)するか、トークンを保持するかの選択を迫られました。結果的にはバーンを選び、物理的な作品を手にする人の割合が多かったようです。

マイアミ市がNFTリリースでTIME・Mastercard・Salesforceと提携

NFTを活用する主体はどんどん広がっていますが、こちらはマイアミ市という公共団体によるNFTの活用です。マイアミ市発行のNFTコレクションの保有者は、マイアミ市内の地元レストランで行われるイベントや文化施設でのプライベートツアーなどの体験ができるといい、発行の背景には観光振興の狙いがありそうです。日本の山古志村のデジタル村民の取り組みもですが、バーチャル世界のファンを増やすためのNFTという取り組みは広がりそうです。

NFT取引量、7月は一段と減少

活用範囲が広がっているNFTですが、取引量は減少傾向にあります。こちらは7月のNFTが6月からさらに減ったことを伝える記事です。NFTは最初にメディアで注目されたとき、高額のイラストレーションなどが取引される「コレクティブ」として取り上げられましたが、最近は様々なユーティリティをNFTに付与して機能を持たせるものが増加。結果として1人がNFTを保有する期間は長くなり、取引量は減っているというわけです。

非中央集権的コミュニティの先行事例から私たちが学べること

https://mirror.xyz/bethanymarz.eth/AaD1J972TKT9xhzSNVFH7hCgfucB5BiQp4nWPwfyYho


今後のNFTの鍵となるのは、NFTを支えるコミュニティ。ということで非集権的コミュニティを先行して構築している好事例から学ぼうというのがこの記事です。「GameFi」「NFT」「DeFi」と様々なWeb3のジャンルから、うまいコミュニティを作っている事例をピックアップしています。「まず作って、戦略は二の次」「コアチームの重要さ」などいかにコミュニティを作っていくかがシンプルにまとまっています。

追加


この企画を始めるきっかけになった菊池健さんのマンガ業界関連の日々のニュースをまとめるマガジンです。

圧巻はWebtoonカオスマップです。この短期間で参入企業が急増しています。いくら拡大が見込める企業といえども、あまりにも急速ではと読者としては警戒してしまいます。新規参入で新作が増えていくことはありがたいのですが、参入企業の思惑はいろいろ。例えば数年以内に撤退となったときにそこで作られたWebtoonはどう「保存」されるのかが今から気になっています。紙の出版と違って物理的なモノはないわけですから、運営企業間でうまくデータのやりとり・引継ぎなどがなければ「あの作品はかつてはあったけれども今は読めなくなっている」ということが発生しかねません。Webtoonネイティブの作品を紙として出版することはあまり現実的ではないので、各参入企業さんがどううまく「後始末」をつけるのか注目したいです。

今週はここまでー。引き続きよろしくお願いします。

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