経済力で勝利した織田信長『センゴク外伝 桶狭間戦記』
マンガ度 ★★★
オカネがわかる度 ★★★
リアリティ度 ★★
メガネ度 ★
『センゴク外伝 桶狭間戦記』(宮下英樹氏)
【あらすじ】
宮下英樹 さんの「センゴクシリーズ」のひとつ。織田信長と今川義元がぶつかった「桶狭間の戦い」を、両者を金銭面から支援する商人の動きを交え、経済面から描いた作品。
【オカネポイント】
どんなに派手な戦いも、オカネがないとできないーー分かっているけれども歴史を勉強しているときには忘れがちなことをエンターテイメントを交えて描いています。
そもそも織田信長の出身である織田家とはどういう家だったのか。このマンガでは、伊勢を中心に活躍していた商人、津島家と熱田家(あの熱田神社の関係ですね)から勢力拡大の資金を得ていたとされています。
が、同時に商人側も自分たちの貸したお金の返済を確実にするため、どの家の人間にオカネを出すのかぎりぎりと最後まで考え抜きます。その意味でも当時の信長は、自ら街を歩き、本人を知ってもらうことでぎりぎりのところでオカネを出してもらえたと描かれるのも興味深いところ。まるで投資家から資金を獲得するスタートアップ企業のよう。桶狭間の勝利直後、信長とその家臣へのオカネを貸しているという証書を商人らが我先にと求める描写もわくわくします。
一方で今川義元は子供の頃からその非凡な才を師匠に見抜かれ、ある種領地経営の英才教育を受けます。しかし資金調達がぎりぎりなことから、織田家の領地に攻め入る=伊勢地域がほしかった。それだけ当時の伊勢周辺の資金を生む力は大きかったことを示しているといえそうです。
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