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徒然書評『自分は自分、バカはバカ。』

今回はひろゆきさんの『自分は自分、バカはバカ。他人に振り回されない一人勝ちメンタル術』を取り上げます。

毀誉褒貶はあるけれど

ひろゆきさんのスパチャ、たまにスマートシティや鉄道、地方などのテーマで見ています。知識が大雑把だったりたたかれたりすることもある一方、発想にはお手本になるところも多いです。

会社でのスルースキル

壁があったら、どうしますか?

第1章から第3章までは、主に仕事での人間関係が題材です。まず紹介されているのが、会社でのバカに振り回されない護身術。印象に残ったのが「前に出ること」と「周りを生き物として見ること」「役に立つかわからないスキルを磨くこと」の3つです。

前進、前進、前進進!

これは上司などにスケープゴートにされないための護身術。怒られたときに歯向かっても火に油を注ぐだけなので、謝りながら一歩前に出ることがポイントだそう。
怒られて一歩下がる人はいても、出てくる人はそうそういません。相手も意表を突かれて「何だこいつ」と気味悪がり、別の人をターゲットにするのでディフェンス成功!というわけです。

マナー生きものペディアin会社

もう一つは、やっかいな人間を「生きもの」として見ること。ここで思い浮かんだのが、JR西日本が取り組んでいる「マナー生きものペディア」です。

駅や車内でのマナー啓発:JR西日本 (westjr.co.jp)

最初は乗客を生き物扱いして!と思ったものの、イラストがかわいらしくて通勤電車のなかでついつい見入ってしまいます。
職場でもやっかいな人に出会ったら「こんな生き物もいるんやな~」と生態を観察してみましょう。人に何かされて怒ることはあっても、犬にかまれて犬に怒ることはないですよね。

パワハライオン、長期延タイ、持ち去リス、かんしゃクジラ…

どの職場でもこういう生き物、いるんじゃないでしょうか。なにも職場の中だけではないような、、
ただ、生き物だけあって、特性を踏まえて飼いならせば懐いてくれるものも一定数います。そう考えるとムツゴロウさん、どんな人とでもうまくやってけるのでしょうね(笑)

「用途不明のスキル」はむしろ武器になる

以前テレビで、群生のなかから四つ葉のクローバーを一瞬で見つける女性を見たことがあります。あなたも何かしら役に立つか分からないスキル、もっていませんか?
僕もnoteで変な投稿をする、気になる人に会いに行く、自己流のデザインを生み出す、バス停一つ歩いてお金を浮かすなどよくわからないスキルを持っています。特に三江線については何を聞かれても負けません。

価値のあるスキルは磨いたところでプロにはかないません。トレーダーはAIに淘汰されつつありますし、ピアノが弾けてもピアニストには遠く及びません。(でも多少役に立つので身につけてはいます。)

ドラマ「相棒」の杉下右京さんも、細かいところが気になるくせを事件解決に上手く生かしてます。後で述べますが、個性を知って磨くのはすごく大事。ひろゆきさん曰く、意外なところで武器になることがあるみたいです。

自分を育てるのは、『中国山地、過疎50年』で触れた農業に似ています。種をまいてから収穫するまで時間がかかり、水や肥料をやりすぎても成長が早まるわけではない。季節の営みにあわせてゆっくり見守る牛のような気長さで、自分自身と向きあいましょう。

Less is More 価値があるのは自分自身

自分というまちの資源に目を向けよう

第4章からは自分自身との向き合い方がクローズアップされます。
こう言われると僕も耳が痛いですが、ひろゆきさんが重視するポイントは、見栄やこだわりを捨て、視野を広げ、肩の力を抜くことです。

お金にとらわれない

お金はあるに越したことはないけれど、あればあるほど豊かというわけでもない。給料が上がっていい物件に引っ越すと、結局使えるお金は変わらないし、モノの維持費でむしろ減ってる気がする。ひろゆきさんは特に「モノを減らす、無駄買いをしない」ことを強調しています。

今を見つめる

過去のこと、これからのことが気になったら、とりあえず今目の前にあるものごとに集中してみること。電車に乗ってたら風景や線路の配線を観察する、お店で買い物をしていたら珍しい調味料を見てみるなどでしょうか。

こだわらない

例えばお寿司屋さんをやっていて、客足が遠のいたとしましょう。このとき「寿司一本で行くんじゃい!」ではなく、「じゃあ中華やってみようかな」と気軽に方針転換すれば、世界もチャンスも広がります。
一つの分野だけでなく、周りの人からいろんなアイデアを学んで世界を広げることは自分にとっても大きな糧になります。

少し視野を広げてみよう

そらとうみは、どこまでもつながってる

日本だけをターゲットにしていませんか?

ひろゆきさんは、人口減少が進むなかで国内をターゲットにしたビジネスを続ける限り、国民は豊かになれないと指摘します。ビール会社にしても、いろんな企業がCMをうって躍起になっているけれど売り上げは下がる一方。それは国内だけに目を向けてパイの奪い合いをしているからだと。
海外の考え方は?どんなものがトレンド?上手く行ってる取り組みがあるか?録りためた渋沢栄一の大河ドラマを見ても考えさせられます。

図書館員として

僕自身かつて「リスクをとらない」と先輩から言われていました。本書でも日本社会の特徴について次のように書かれています。

2010年代以降、手軽に飛ばせるドローンが注目を集めるようになってきました。…ところが日本では、ドローンが首相官邸に落下したりとか、祭などのイベントで衝突事故が起こったりしたことがきっかけになって、ドローンを規制しようという動きが進み、2015年には改正航空法が施行されてしまいました。これによって、その辺の公園や河原で気軽にドローンを飛ばして遊ぶことができなくなり、生まれかけていたドローン産業も消えてしまいました。

p.190

前例がない、失敗するかもしれない、事故が起こったらどうするのか。日本あるあるですね。
リスクはあっても「やってみなきゃわからんだろ」と少しの勇気をもって踏み出すのは、仕事しかり結婚もしかり、あらゆる場面で成功の種になると思っています。

図書館でも、動きながら考えることをよくアドバイスされます。
目的はなにかを考えながら企画を立て、仕事を組み立てる。「Why?」を突き詰めて考えると思考がブラッシュアップされていきます。

本を読む機会を増やす
(Why?)小さいころから本を読む習慣をつけるため
(Why?)調べ学習やレポートをまとめる力につなげるため。より良い未来や相手の気持ちを想像する力をつけるため
(Why?)大人になって仕事や社会をよりよくするために情報分析するスキルをもってもらうため
(Why?)自治体や日本、世界をよりよくする人材を育てるため

図書館の仕事ってこう考えると息が長いというか奥が深いというか、生き方をサポートするスケールの大きさがありますね。
中学生で読書が止まってしまう子も多い中、大学生や大人にどうやって情報を見極める力をつけてもらうか。これからの宿題です。

おわりに ―ひろゆきさんの「しないことリスト」

まとめとして最後に挙げられているひろゆきさんの「しないことリスト」を紹介して終わりにしたいと思います。

  1. 思い出し怒りをしない

  2. 物事の因果関係を誤解しない

  3. 自分に厳しくしない

  4. 舌を肥やさない

  5. 上を見ない

  6. 無料で楽しめることにお金を払わない

  7. 「やりたいこと」にこだわらない

詳しい内容が気になった方、ぜひこの本を借りてみてくださいね  ^^) _旦~~

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