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図書館司書 3 お仕事

 図書館司書のお仕事で基本中の基本”返本”について、前回比引き続きお話させていただきます。

 勤務初日から始めた返本作業ですが、もちろん、その後も毎日続けております。というか、終わることはありません。たとえ主任になろうとも、返本作業は続きます。主任どころか、ぺーぺーにすらなり切れていない私にとっては、仕事であり勉強である重要な作業です。
 と、いうわけで、初日、分類でいうと9類の文学。それも”よみもの”と呼ばれている913.6日本の小説。914.6日本の随筆。から始まり、3類。5類。6類。と、分類や棚ごとの配架の仕方を教えていただきながら、返本を繰り返していて、一つ重要なことに気づかされました。

 それは、図書館司書をする上で、非常に重要且つ私にとっては盲点であった事実でした。そして、それを理解しないで司書を続けるのは困難な場合すらあるという事実です。

 それがなんであるかを話す前に、勤務開始した頃の私の平均的な1日のスケジュールをご紹介します。


 朝、8時30分始業。10分程度の朝会。カウンター奥の事務室にて、早番のメンバー全員が集合して1日のスケジュールの確認や連絡事項伝達をします。

 朝会閉会後、予約回収。インターネットで前日の朝以降に予約されたほんの回収を手が空いている全員で行います。

 そののち、返本作業。私を指導してくれている主任に一人で返本してもよろしいと許可していただいた書架の返本作業、または主任と一緒にまだ教えてもらっている最中の棚の返本を行います。概ね10時までです。

 10時になったら、図書館が開館します。
 それに合わせて、10時より予約が完了した旨の電話でのお客様への連絡作業。これは概ね15分程度かかります。
 そののち、また、返本作業に戻ります。

 私の勤めているのはとある地方都市の市立図書館の本館です。同市にはいくつかの分館があり、どの分館でも市の所蔵している書籍を借りることができるので、毎日、本が各分館を行き来しています。その本は一時本館に集められ、そこから各分館に配送されます。その本の返却確認と各分館への分配は本館職員の仕事になります。
 この作業が11時半より始まります。基本は中番の人に仕事ですが、手の空いている職員はなるべくお手伝いするのが決まりです。私は毎日お手伝いしていました。

 この作業中に早番の私は昼休憩になります。12時から13時までです。

 13時より、研修タイムです。
 破損本の修理。レファレンスの仕方などの説明。出勤簿の書き方。新しい分類の棚の説明。利用者登録の仕方。本の予約の仕方。データベースの使い方。地下のお客様には公開しない閉架書庫への返本作業。新刊本のブッカーかけ。等々。図書館で働くうえで必要なあらゆることに説明があります。
 正直、いっぱいいっぱいで、実際にやるまでは殆ど覚えられませんでした。
 これは、概ね14時半から15時半程度までです。

 そして、終業17時までは、また、返本作業です。

 これが、私の平均的な日常でした。

 それで、結局、何が言いたいのかと申しますと…。

 図書館司書は肉体労働だ。

 という事実に私が気付くまでに、3日とかからなかったということです。
 実は、1日のうち、休憩時間以外で座っていられるのは予約確保の電話連絡のときと、研修の時間だけです。しかも、研修の時間は内容によって全く座ることができません。さらに返本作業中は本を抱えてずっと歩き回っている上に、棚の上は背伸びしないと届きませんし、下は膝をつくぐらいまで屈まないと綺麗に本を配架することはできません。
 図書館司書の基本中の基本”返本作業”は体力勝負でした。

 先輩司書さんたちが、『足。ぱんぱんになるよ』と、言っていたのは真実だったのです。実際、スマホの万歩計をONにして仕事をしたら、仕事中だけで9000歩歩いていたのでびっくりでした。
 皆さん、適度に座り仕事を挟んで脚パンパンは、回避しているようです。

 と。愚痴っぽく、書いてきておいて、申し訳ないのですが、実は私はそのことを全く不満に思ってはおりません。
 何故なら、前職をやめてからの3か月間のプータロー期間、1日平均20000歩のウォーキングを日課にしていたからです。もちろん、前述したとおり、図書館司書が体力勝負だと知らなかった私が、そのために身体を鍛えていたわけではないのです。その理由は長くなるのでまた、別の機会にお話できればと思っておりますが、これもなんだか、学生時代に夢だった職に就くために神様が巡り合わせてくれたのかななどと、夢見がちなことを考えてしまう今日この頃なのでした。

 ともあれ、最初の数日は本当にたくさんの先輩の方々が私の体力を心配して声をかけてくださいました。ありがとうございます。
 もちろん、私はやめたいとなんて思っておりません。それどころか、返本作業大好きです。予約回収も好きですが、素早くぴったりとはまる場所に本を返せた時のドヤ感が堪らないです。

 そんなことを考えて、内心にやにやしつつ私は今日も返本作業に勤しむのでありました。

 


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