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重宝される”電波の見える男”

IoTの時代がやってくる、と同時にハードウェア技術
者の活躍の場が増えると感じています。
IoT,Internet of Thingsでは全ての”物”、すなわち
椅子、机、その上にあるペン、ノート、ノートの
中身、部屋のドア、部屋にいる人・・・
までの全ての情報がインターネットに繋がる概念です。

一昔前は”ユビキタス”、まるで神がそこに居るが
ごとくの不思議な世界、と称していました。

不思議な世界の実現には全ての”物”がセンサーと
近距離無線通信の機能を持つように
既存商品に”組み込まれる”わけです。

私が社会に出た1980年はマイコンが登場した
ばかりで技術の対象はハードウェアだけでした。
マイコンが出来、CPU/MPUがチップサイズになり
高性能化した結果、ソフトウェア、アプリが商品の
意味の主体を担うようになり、
ハードウェアの影が薄くなってしまいました。

ある組織に登録する場面で技術力インベントリー
の項目があったのですが、JAVA,C++、・・・
ソフトウェア出来ないと技術者にあらず、と
言われている気がしました。

ハードウェアに傾注したスティーブ・ジョブスは
神様に思えていました。

話を戻して、15年ほど前から、Bluetooth, WiFi、
RFID(Radio Frequency Identification:電子タグ)
のリーダーなど近距離無線のモジュール、チップが
機器に組み込まれるようになってきました。
対象機器にとっては無線通信機能は
one of then でしかなく
体育館の片隅に追いやられたバスケットボールの
ような空間的環境で通信品質の確保をしなくては
ならない辛さがありました。
最後に詰めなくてはならないのは必ずアンテナ
性能でした。無線用チップは搭載場所と放熱環境
さえあればデータシート通りの性能が出ます。
しかし、アンテナは傍が金属だらけの空間で
組込めと言われても性能確保は厳しく、
性能が落ちてもまだトータルの通信品質を
確保できていることを目指すのが落とし所、
楽に設計して楽に性能を出すコツは設計力よりも
     機器内での場所取り
であったのは確かです。
RFIDの組込を数多く経験しましたが、900MHz,
2.4GHzと携帯電話と同様の高周波帯で通信をする
のにも関わらず、親機の設計者からは
”ただカードの情報を読むだけで何が難しいの?”
と思われていたようです。
システムの機能の多くがソフトウェアに依存した
昨今ではハードウェアは半導体チップを置かせて
あげればそれで良し、という風潮になっていた
のかな。
それでも最後は仕上げるのが技術者魂、という
動機だけに支えられてプロジェクトを完成させ、
TEAMからは電波が見える男としか思えない、

これ、褒め言葉? 
 技術者なのに念力で仕事しているとでも・・

というのが組込機器の世界でした。
シミュレータ設計全盛になってからも、
困難な環境の中で
動機だけで結果を出す技術者を何人も知っています。

IoTの時代が加速してどんな小さなものでもネット
につながる世界の実現には
少なからず
 ”電波が見える技術者”
が必要とされるでしょう。


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