見出し画像

日に日に主夫道を極めていく異星人夫を観察する(その2)


先日、転職が決まったばかりの夫が”まるで異星人”だと書いた。

あれから1週間が過ぎた。
その後、約1か月の有休消化を彼がどう過ごしているのか、ここに観察した記録を残しておこう。

結論から言うが、夫は何も変わっていない

朝は誰よりも早く起きて、24時間営業のジムへ行く。
私と息子が目を覚ますころには既にリビングの暖房がついて部屋が暖まっており、毎朝夫婦で飲んでいる白湯が準備されている。

いや、変わっていないというのは失礼だ。
主夫道を爆走しはじめている

これまで私の仕事だった毎晩の夕飯づくり(献立検討から買い物、調理まで)も担い始めたのだ。

いまこの記事をリビングダイニングでしたためている間、目の前でiPadを開いて何やら眺めながらメモを取っているので、勉強でも始めたのかと思い、「それなに?」と聞いてみた。

「ん?明日からの献立考えてる。明日の夜は、ロールキャベツでいい?」

なんと、ロールキャベツときた。

私がウン十年生きてきてまだ一度も作ったことないおしゃれなやつだ。
あれを”明日の夕飯につくる”と軽々しくいうではないか。
そんなことをいうのも悔しいので黙って聞いていたら、お次は

「あ・・・これもいいな~ でもローリエがない。ローリエ買わなきゃ」

ローリエだとぉぉぉぉ??

どこに売っているかもしらない葉っぱを買うと言いだすではないか。
けしからんにもほどがある。


しかしその顔は嬉々としている。
楽しくてたまらないという顔をしている。

夫は、人に愛情を注ぐのが好きな人だ。
そしてそれをどこか自分の存在意義みたいに思っている。

恐らく、これまで仕事に注いでいた時間と熱量を愛する家族に向けることができる余裕が出て、それを存分に楽しんでいるのだろうと思う。

私にとって料理は「家族を健康に保つ仕事」であり「仕事の合間にこなすもの」だが、彼にとってはいまそれが癒しの時間なのだろうと思う。

おかげさまで、私は毎日誰よりも遅く起き、髪ぼさぼさのまま息子を保育園に送り出し、そのまま在宅で仕事にまい進し、夫の作った夕飯をおいしい、おいしいと食べては寝る、ただそれだけの女になってしまった。

自分とはまったく性格の違う夫との結婚生活は楽しい。

そのむかし、父が「結婚するなら、価値観が一緒で性格が違うひとが良い」と言っていたのを思い出す。本当にその通りだったと思う。

そんな夫は、あす、少し遅めの送別会に参加してくるという。
私と息子の夕飯に例のロールキャベツをこしらえたあと玄関をでていく夫を想像して、ちょっと寂しい気持ちになる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?