日本の学生の人権意識の低さに衝撃を受けた話

こんな物騒なタイトルですみません。とにかく私は日本の人権教育の欠如、そして学生の人権意識の低さに衝撃を受け、危機感を覚えています。

経緯は以下の通りです。

私は大学で経営学部に所属しており、「企業におけるD&I」を学ぶ授業を今期受講しました。

より具体的には、実際に企業やNPOにてD&Iを取り組まれている方をゲストスピーカーとしてお招きし実例を学びつつ、少人数ディスカッションでD&Iについて考えるという授業内容でした。

D&Iとは、Diversity & Inclusionの略称です。つまり、女性や障害を持った人や前科のある人、マイノリティのある人々を尊重し、組織の中に取り入れて、活躍できる環境を整えようという考え方です。

この授業を受ける中で、色々と衝撃を受けたんです。

まず第一に、少人数ディスカッションの時に「マイノリティの事や、様々な属性を持った人を組織内で尊重する事など、今まで考えた事がなかった。意識したことも無かった。」という意見が続発しました。え!?殆どの人は二十歳を超えている大学生なのに今まで考えた事すら無かったの??と衝撃を受けました。企業内でなくとも、サークルやバイトなど、組織的に行動する機会は日常的に存在するのに、今まで、マイノリティの存在を考えた事もないと。例えば、お酒が飲めない学生が仲間内にいるとき、何も配慮しないのか? 身近にLGBT当事者がいる可能性を意識したことはないのか?と。

議論が進行するにつれて、「企業が多様性なんて考える必要ない」、「外国人を受け入れたら出生率が低下するから反対」など、D&Iは、導入する事による企業の利益やPR効果以前に、人権の問題であるという認識がない学生が続出して、これまた驚きました。例えば、人は誰でも障害を負う可能性があるのに、本当にD&Iを取り組む必要はないと言えるのか?なにか想像力が欠けてるんじゃないかなと。

さらには、なぜ日本でD&Iが進まないのかという問いかけに対しては、「日本は単一民族国家だから」という意見もチラホラ。いや、日本は単一民族国家ではどう見てもないでしょう……。個人的に一発アウトの発言です。

私の通っている大学は創立から外国と関係があり、おそらく割と国際色豊かですし、私の学部では所属学生の半数は留学必修で、全授業の7割を英語で履修しています。最難関大学では全くないですが、それなりに勉強してきた人が入学していて、大学の教育方針としてもリベラルアーツ、教養科目にかなり力を入れています。

そんな大学の学部生でもこの認識です。衝撃的です。

これ、日本の高校までの教育がおかしいんだろうなと思いました。高校までで「人権」やマイノリティの存在についてどれぐらい教えてるんだろうかと。日本の2020年度学習指導要領ではLGBT+の記述すらなく、「思春期になると異性に関心を持つ」という前提で授業が進みます。こんな教育だからこそ、「一人一人の人権を可能な限り尊重する」という価値観も育たず社会人や大学生となってしまい、マジョリティではない人は生きづらい世の中が形成されていく…。すべての元凶は教育にあるんだと思います。いろんな体質や宗教やバックグラウンドを抱えた人が生きやすくなるよう、可能な限り配慮するという価値観を持つことは、自身にとっても利益につながるのに、その事を考えられていない。私は講師にこの科目を必修化して下さいと頼みました。D&Iも人権意識も無いまま、将来経営をする側になるかもしれない経営学部生を社会に送り出していいのかと。

ちなみに、D&Iを取り入れる事は、企業にとって、人権的観点を除いてもコストではなく「利益」につながると最後に述べておきたいと思います。例えば、今となっては信じられませんが、某一流企業では数十年前まで女性の総合職を採用していなかったそうです。普通に考えれば、女性も採用したほうが、人数で2倍の人材が採用対象になるわけですから、より良い人材を採用できる可能性が高まります。組織に多様性があり、個々の性質が尊重されたほうが人材獲得にとっても、職場環境向上にとっても、意思決定という観点でも有益です。

学生身分が偉そうに。と読まれた方に言われるかもしれませんが、D&Iの考え方を社会に取り入れるのは、「法律を守る」のと同じぐらい倫理的に要請される事だと思います。。。

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