上場会社が自己株式を取得する際に開示する書類まとめ

上場会社が自己株式を取得することを決定した場合は、証券取引所や財務局へ提出する書類があります。


1.自己株式を取得する際の開示書類

自己株式を取得する際、株主総会(又は取締役会)にて、下記の内容を決議する必要があります(会社法第156条1項、第165条2項3項) 。

一 取得する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)

二 株式を取得するのと引換えに交付する金銭等(当該株式会社の株式等を除く。以下この款において同じ。)の内容及びその総額

三 株式を取得することができる期間(1年を超えることはできません。)


そして、上記の内容を決議したら、証券取引所及び財務局へそれぞれ資料を提出する必要があります。

①証券取引所へ提出する書類(東京証券取引所 会社情報適時開示ガイドブック第2編 会社情報適時開示実務上の取扱い5.自己株式の取得参照参照)

【自己株式の取得を決議した際】

→資料名:「自己株式に係る事項の決定に関するお知らせ」

提出時期:株主総会又は取締役会で自己株式を取得することを決定した場合は、直ちにその内容を開示する(上場規定第402条第1項e)。→決定をした当日もしくは翌日までに開示するのが望ましいとされています。

【取得期間中】

→資料名:「自己株式の取得状況に関するお知らせ」

提出時期:毎月1か月分の取得した株式の種類、取得総数、取得価額の総額、取得方法を、当月末もしくは翌月の月初1営業日までに開示するのが望ましいとされています。

【取得終了時】

→資料名:「自己株式の取得状況及び取得終了に関するお知らせ」

提出時期:取得期間終了日の当日もしくは翌日までに開示するのが望ましいとされています。


②財務局へ提出する書類

資料名:「自己株券買付状況報告書」

提出時期:株主総会もしくは取締役会決議があった月から取得期間が終了する月まで、1か月ごとの取得状況等を翌月15日以内に提出。

なお、取得期間前に取得が終了したとしても、当初に決めた取得期間分まで自己株券買付状況報告書の提出が必要です。


おまけ.自己株式を取得する際の四半期報告書等の開示について

<後発事象の注記>

自己株式の取得に際して、期末日~開示日までに自己株式の取得が決議された場合は後発事象に関する注記漏れに注意しましょう。

自己株式の取得は、株主をはじめとする利害関係者にとって重大な情報となります。

そのため、上記のケースでは重要性が乏しい場合を除き、後発事象の注記が必要です(監査・保証実務委員会報告76号「後発事象に関する監査上の取扱い」)。

以上


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