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『となりのせきのますだくん』武田美穂

自分は、子どもにとって「ますだくん」になっていないだろうか。

みほちゃんの気持ちを聞かないで、
一方的にテリトリーを決めて、入ってきたら睨んだり、
苦手なものや嫌いなものを指摘したり、
頼まれていなのに縄跳びを教えてやるって言ったり、
断られて腹を立てて怒ったり、
最初は、この年頃の男の子って、こんなことするよね、
と、ほほえましい気持ちで読んでいた。

でも、いままで怪獣だった「ますだくん」が、
みほちゃんと人間の姿で並んでいる最後のシーンを見て、
ほほえましい気持ちが、すっと消えた。

怪獣の「ますだくん」は、みほちゃんが心で見ている姿。

子どもにあれこれ言って、かまっている自分の姿が、
子どもには怪獣に見えているかもしれない。

みほちゃんは、やだな、と思いながらも、
ますだくんの隣に座って授業を受ける。
ちゃんと学校に行くことができる、すごく、強い子だと思う。

子どもも、やだな、と思いながらも、生活しているのかもしれない。
でも、みほちゃんみたいに強い子だろうか。

子どもが心で見る親の姿はわからない。
どんな姿なのか、怖くて、聞けない。

みほちゃんのお気に入りのえんぴつを折るようなことをする前に、
怪獣に見えるような親にならないようにしよう。
もし、折ってしまっても、ちゃんと、鉛筆を直して謝れる親でいよう。

「ますだくん」になっていないだろうか、と、
時々、自分に聞くことにしようと思う。

<感謝の気持ち>
マルイマド 様、素敵なイラストありがとうございます。
後ろ姿で描かれているみほちゃんとますだくんの顔の表情について、いろいろな想像が膨らむイラストだと感じて使用させていただくことにしました。

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