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お正月休み、どうするの?/青春物語38

仕事納めの日、珍しく小林さんが私のところにやって来た。

「ねぇ桜田さんはお正月休み、どうするの?」
「ん?寝正月かな。あっ三日にお母さんの実家に行くんだけどね」
「お母さんの実家って俺んちの方だったよね?」
「そう言えばそうだったね。小林さんは帰省するの?」
「うん帰るよ。じゃあさ三日、向こうで会わない?」
小林さんの突然の言葉に私は驚いた。

「えっ?無理だよ。親戚の家に行くんだよ?」
「寿駅の近くだったよね?そこまで出て来れない?」
「無理、無理。だって足がないもん」
「お父さんに乗せて来てもらえば?美味しいお店があるんだ」
「無理だよ」
いくら恋愛感情がない小林さんでも親戚の家の方で会うのはばかれた。

「じゃあさ(橘)ってお店に連れてってもらうって言いなよ」
「橘?」
「そう。老舗の有名料亭だからお母さんも親戚の人も知ってると思うよ」
「高級なの?」
「まぁ普段は行けないね。親父の名前で予約しておくから」
そう言って彼は笑った。

小林さんはうちの会社の取引先の社長ご子息だった。
いつだったか永尾さんが、こいつ将来の社長だからここに修行に来てるんだよって言ったのを思い出した。

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