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パノプティコンって知ってますか?

スポットライトがつくと、そこには
黒づくめの影法師が三人。
涙にも、ひび割れたようにも見える頬のペイント。

歌い誘われると、私たち観客は
ある一人の女と出会うこととなる。

この舞台は、いつしか“女王蜂”と呼ばれるようになった(この経緯も作品内で明かされる)、
とある普通の女の一生の物語である。


改めまして、リカです。
いやー、またも面白い作品に出会ってしまいました。

独白劇×ミュージカル『パノプティコンの女王蜂』

困難な現状の中、対策バッチリ・私語禁止・客席数限定で上演されているミュージカルグループ
【Mono-Musica】さん。
(実際、めちゃんこ静かです劇場内)

こういった外側(運営)の素晴らしさはもちろん、
何より中身が素晴らしいので、
ファンなりにこの『パノプティコンの女王蜂』の素晴らしさをお伝えすべく、
出来るだけ客観的に、いや、ちょっとはモノムジカヲタクとしての気持ちもポロリしてしまうかもしれませんが、出来るだけ!出来るだけ冷静に!
今作のオススメポインツをまとめてみました。

初見後の記憶のみの拙い文章ですが、
さらっとさくっと目を通していただければ幸いです。
(私はヲタクなのであと三回程拝見します、てへ)

そして少しでも興味が湧いてきたならば、
是非ともモノムジカさん公式に飛んでいただければめちゃくちゃ嬉しいです。

その一、ストーリーがいい

この作品は約50分で一人の女の人生を知る旅です。

基本は女の自分語りですが、
影法師役の三人が様々な役割を果たし、彼女を取り巻く世界を見せてくれます。
出演者4名、出ずっぱり一本勝負。お見事。

この女【女王蜂】がとてもチャーミング。
くるくると変わる表情、
真っ直ぐと揺らぐことのない瞳、
重々しいドレスがぴたりと似合ったスタイル。

物語が進んでいく毎に、
ますます彼女を好きになっていく。

同時に、嫌悪とも抵抗感とも言えぬ気持ちも生まれてきます。
疑問、そして諦め。
ある種の憧れ。
きっと観る人によって異なる感想を抱くことでしょう。

彼女のその純粋さ故、真新しいスポンジのように吸収されていく毒とも気付かぬ毒。 呪いの言葉。

生きるとは何か、
愛とは何か、
彼女がたどり着いた終着点は、モノムジカ作品特有の余韻を残していきます。
この【余韻】が、クセになるんです。

シェイクスピア作品からの発想や、モデルとなる実在の人物を投影したキャラクターなど、
座付作演出のヤマケイさんにはいつも驚かされます(詳しくはパンフレットへGO)

その二、音楽がいい

シリアスな重苦しい話かと思いきや、そこはミュージカル。
【全曲オリジナル】で、しかも今回は曲調も様々、BGMも入れたら一体何曲作ったの、はっしーさん(驚)

私が数年前、大ファンすぎて、出演者に話しかけるよりも先に、劇場客席でお見かけした作曲家橋本かおるさんに話しかけに突撃した話、します???

そんなことより、ピアノ一本で多彩な世界を生み出す演奏を聴いていただきたいし、
作曲家として王道ミュージカルな曲から、オペラ風の曲、勿論ファンにはなじみあるモノムジカらしい繊細な曲もあり、
音楽面でも楽しめるポイントが沢山。 

耳に残るメロディーが、きっと誰しも一つはあるはず。
私はスープの歌がぐるぐるしてます(かき混ぜてるわけではない)

歌声は言わずもがな。
マイクなしの【生声】で堪能するミュージカルってのも面白いところ。

そして、モノムジカと言えば、
忘れちゃいけない【ハモり】。
今回は影法師を演じる三人(マナさん、みきさん、まなむさん)のハーモニー、掛け合いをガッツリ聴くことができます。
女王蜂役しひろさんとみきさんのデュエットも絶品です。

その三、キャストがいい

モノムジカファン歴◯年のワタクシ的ステキポインツをご紹介しちゃう。

■女王蜂役 しひろさん

実は生でお芝居を拝見するのは初。
ストプレの他劇団にも所属しておられます。

見た目は綺麗なお姉さんですが、
素晴らしい安定感と説得力をお持ちです。
以前『サランドラ』というモノムジカ作品で、
本物の女王様を演じられていたのですが、
第一声からして素晴らしかった(ご覧になりたい方はDVDで)

今作でもセンターで物語を引っ張っていきつつ、
しひろさんの普段のトークを彷彿とさせるようなお茶目さ、素直さ、自由さを感じられる役だなと思いました。
(作演出ヤマケイさんの当て書き力が発揮されておりますね)

■影法師/蛇女役 マナさん

ライトが当たった瞬間に飛び込んできたマナさんの姿で、一気に物語の世界に引きずり込まれます。
それほどに美しく異質な立ち姿。
薄い瞳の色が、まさしく蛇女。

女王蜂の生き方に大きな影響を与える人物を、美しく、恐ろしく演じています。
哀しい人でもあるかな。
呪いすら愛の言葉であったと信じたい。

マナさんはこれまでも何度も振付を担われてきてますが、今作は影法師トリオでの共同振付のようです。
三人ともダンスに長けたメンバーなので、
限られた舞台スペースの中(初のせり出し舞台で少しは広くなってますが)、縦横無尽に絡み合います。
しかし、三人合わせたら何役やってるんだろう…。

■影法師/婚約者役 みきさん

指、綺麗ですね!!(いきなり)
新たな発見です。
今回の衣裳は指先が引き立ちます。
当然、衣裳もオリジナル新調なので、毎回ビジュアル面でも楽しませてくれます。

歌もダンスもなんでもござれなみきさん。
今作では私の大好きな低音の歌声から、高音のコーラスまで、存分に歌声を堪能できます。
生声でコンパクトな空間なので、一人一人の声を聴き取れるのも嬉しいところ。
お好きな声の主を見つけてみてください(我、声フェチ也)

ファンタジーな役柄でも、どこか人間くささ、生々しさを混ぜ込んだような存在感が魅力です。

■影法師/奇術師役 まなむさん

観ていて、とても難しい役どころかな、と。
ここ数年のまなむさんは挑戦的な役が多いように感じます。きっと、期待の表れ。
そしてそれを見事に乗り越え進化していく姿に、いつもわくわくさせられっぱなしです。

今回はどっしりとした演じっぷりで、
コーラスで低音から支え、ダンスで体を支え、
最若手とは思えぬ力量で、個性的な面々を繋いでいきます。

ところどころ、かわいい表情ポインツがあるので見逃さないでほしい(個人的希望)

つまりは、観なきゃ損!

熱苦しくて申し訳ないですが、
とにもかくにもお伝えしたいのは

こんなにも素敵な舞台がやってますよ!!

ってことなのです。
(まだあと5公演ありますし、一ヶ月アーカイブありの配信もあります)
   

「小劇場なんて行ったことない・・・」
というミュージカルファンも、
「ミュージカルなんて観たことない・・・」
というストプレ派のあなたも、
「オリジナルミュージカルなんて大丈夫・・・?」
と過去の観劇経験から不安なあなたも、

大丈夫です!とにかく一度観てみてほしい!!


それでは、私はリピーターとなって2回目の観劇へ行ってまいります。
レッツゴー!パノプティコン!


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