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死んでも行きたい温泉宿

この前、友人と2人で千葉の下の方へ一泊2日の旅行に行った。

一人暮らしするなら畳の部屋がいい!という私は古くからある温泉宿を予約。

レビューはまあまあ良い。到着すればスタッフが暖かいし、地魚は美味しい。大好きなビールと一緒に生魚克服ができた。

確かに古臭いけれど掃除はしっかりとされていて昭和の雰囲気漂う素敵な宿だ。

友人とおばあちゃんちの匂いがするね、と盛り上がった。おばあちゃんちの匂いって全国共通なのかもしれない。匂いの元とは一体、、おばあちゃんの体臭か。。?あまり考えないようにしよう。

晩御飯をたらふく食べた私たちは大浴場に向かう。平日だからか、他のお客の気配がない。

大きな鏡と裸で向かい合いながら、気になる脂肪をつまんだりした。

髪の毛から足の指先まで、山登りでかいた汗を流す。私は一足先に髪の毛を洗い終え、頭からシャワーを浴びる友人の横で待機。

その時に脱衣所の方から話し声が聞こえた。女の人の声が2人分。

私たちのように女旅を楽しんでいる人たちが来たんだ!いいねえ、どんな人たちかな〜。と考える。

だけれど、いくら湯船に浸かっても私と友人以外の人はいないし来ない。

友人はあの声は聞こえてないようなので黙っておく。私、変に気が張る。

のぼせてきたところで友人と一緒に脱衣所にもどる。誰もいない。怖い。

普通に髪を乾かし、部屋に戻ろうと脱衣所と廊下をつなぐドアを押す。

ギイイイイイ、と背中の方からいかにもな音。脱衣所と大浴場をつなぐドアがゆっくり開く。誰もいないのに。

ひどく恐ろしい!!怖い!叫んで逃げの姿勢をとる私。

だけれど友人は冷静、風圧だよ〜〜と。

その後も廊下でラップ音のようなものが。。恐ろしい気持ちで部屋に戻る。

真夜中の旅先で聞こえてくる隣で寝てる人の寝息ほど自分を孤独にさせるものはない。その状況だけは避けたい!ましてやこの宿だし。。と思い、半ば眠そうな友人を無理やり起こし続けた。

布団が別々は怖いので友人の布団に潜り込む。ついでに枕も1つにしたら嫌がられた。

真夜中の3時半、友人の寝息が聞こえてくる。何かあった時は叩き起こしてやろうと思ったが、3年ほど前の冬にこの友人のドッペルゲンガーらしき女性とお話をしたことがあるので、横で眠っている人間は本物の友人かどうかも曖昧だ。

(ドッペルゲンガー、人違いの可能性もあるが完全に友人だと思い名前を呼んだら、「違うかもしれません。」って言われたのだ。私の脳内は、“かもしれません“への疑問が今現在も溢れているのである。)

そんなことを考えながら瞼を閉じると、昼間に乗り込んだロープウェイからの景色がグワングワン、と映し出され目が回るようにいつの間にか眠りについた。

気づけば朝の7時半。虫の鳴き声、量の多い朝食。ニュース映像。何にもなかったかのように1日は始まる。

チェックアウトはギリギリだ。ネバヤンの「なんもない日」を流し共に歌いながら急かせかと散らばった荷物をまとめる。

“ボロの家の床の上でダラダラと 冬は寒く 夏は暑いが 住めば都 悪くないさ“


私も老いたのちに死んだら、友人を連れてこの宿に遊びに行くだろう。

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