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ミルキーをかみながら

2021年、8月も明後日で終わり。甲子園も終わり。

私は最寄りのローソンでミルキーを1袋買って家路に着く。言わなければならないことをなんとか話せた自分にご褒美だ。

あまい小さな物体は私の心をじんわりと包み込む。

これこそママの味ということ?

適当に流しているヘッドフォンではカネコアヤノが歌っている。

「光の方へ」のイントロ、ポンポンと優しく跳ねるベースの音。

彼女とミルキー。耳からは片足で生きている私への励ましの歌が、お口からは気持ちをトロントロンにさせる甘い甘い香り。

その2つと私は共存し、毎日通る帰り道の何年も見飽きた街灯が、なんてことない植木が味方に見えた。まるでそれはカートゥーンの世界。

或いはメリーポピンズ?ララランド?月の方へフワッと浮かべたらいいのに。

ちょこっとわざとらしく包み紙を解く。

ちょこっとわざとらしく歩く。

ちょこっとスキップしてみる。

自分の人生に酔いしれてみる。キラキラとした少女漫画の主人公のように。


おうちに着いたらあっというまに魔法は解けた。デニムのポケットに詰め込まれた5枚の包み紙はゴミ箱の中へ。




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