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Vol.17 ぎんざNOW! ①概要編

バラエティ番組の革命

1972年から79年までTBSテレビで夕方の時間帯に放送されていたバラエティ番組です。
「銀座テレサ」というサテライトスタジオに観客を集め、そこから毎日生放送する「笑っていいとも!」のようなスタイルで、夕食時間(いわゆるゴールデンタイム)前の視聴率の取りづらい時間枠に学校から帰ってきた中高生をターゲットにすることで大ヒットしました。

関東ローカルの番組なのですが、実は先に関西で成功した「ヤングおーおー!」という番組が下敷きになっています。
当時若者の間で流行っていたラジオの深夜放送の手法をテレビ番組に持ち込むとうのが基本スタイルで、当時の人気ラジオDJである「せんだみつお」が初代パーソナリティとして抜擢され、長くこの番組のアイコンとなりました。

このスタイルはその後幅広く一般的になりましたが(夕やけニャンニャン、元気が出るテレビなど)、いわゆる「視聴者参加型」という視聴者と出演者(制作者)の距離が近い番組という方式のさきがけといえるものでした。

スピード感と多様性

カルチャーに敏感な若者が一気に増加した70年代に求められたスタイルでした。若者が欲しがる流行情報を以前とは比べものにならないスピード感でごった煮的に提供し、クオリティよりライブ感を優先するやり方です。

YouTubeがクオリティでは勝る(はずの)プロの作るTV番組から視聴者を奪い取ったという現象とよく似ているようにぼくは思います。
訓練と計算と投資で作品クオリティを高めてスポンサーを募るというプロフェッショナルなコンテンツ制作手法が、自由に手軽に誰もが多種多様な情報を発信・提供するというスタイルに負けてしまう。趣味嗜好が多様化する時代の現象のひとつだと思います。

ただそこには作品クオリティの低下という問題がつきものです。
「ぎんざNOW!」にもドタバタした勢いだけの低レベルなコンテンツが多くありました(というかほとんどでした)。
それでもその「勢い」こそが当時の若者が求めていたものであり、それにプロのテレビマンが取り組んだ結果がこの番組の意味であり、その後のテレビ史に大きな足跡を残すことにもなりました。
この番組をきっかけに成功をつかみ今でも活躍しているアーティストやタレントも数多くいます(けっこう意外な人もいます)。

次回からはそのあたりを書いていきたいと思います。

つづく。


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