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(#34)円背と肩峰下インピンジメント症候群の関連性:LOHAS研究


是非こんな方に読んでほしい

肩峰下インピンジメント症候群(SIS)に関心のある整形外科医や理学療法士、運動療法に携わる医療従事者に向けた記事です。特に、姿勢の影響や脊椎の変形が肩の機能に与える影響を理解したい専門家に役立ちます。


論文内の肯定的な意見

  • 円背が肩峰下インピンジメント症候群(SIS)の発症に関与している可能性が示された。

  • LOHAS研究により、肩甲骨運動の制限がSISの発症リスクを高める要因となることが確認された。


論文内の肯定的な意見

  • 円背とSISの関連性が間接的なものであり、因果関係が完全に解明されていない。

  • 肩甲骨の動態評価が行われていないため、円背が肩甲骨運動に与える影響については不明な部分が残る。


論文の要約

Background

円背(脊椎の過剰な前弯)は、肩甲骨の動態異常(肩甲骨ディスキネシス)を引き起こし、肩峰下インピンジメント症候群(SIS)などの肩障害を引き起こす可能性があります。本研究は、円背とSISの関連性を調査することを目的として、LOHAS(Locomotive Syndrome and Health Outcome in Aizu Cohort Study)のデータを用いた横断的研究です。

【過去の報告】
- 肩甲骨ディスキネシスは肩の正常な動作を妨げ、肩峰下での圧迫を引き起こすことが報告されています。
- Thoracic kyphosis(胸椎円背)は肩甲骨を前方に引き、下方回旋を増加させ、肩の機能に悪影響を与えることが指摘されています。


Method

本研究には、2010年に健康診断を受けた40歳以上の参加者2144名が含まれました。円背の評価は、胸椎の「wall-occiput test」(WOT)と腰椎の「rib-pelvic distance test」(RPDT)を用いて行われました。SISは、肩挙上時の痛みとNeerまたはHawkinsのインピンジメントテストの陽性結果に基づいて診断されました。さらに、肩の挙上角度も測定され、150度未満を肩挙上制限(RSE)と定義しました。


Results

年齢と性別で調整されたロジスティック回帰分析により、WOT陽性の参加者はSISのリスクが1.65倍高いことが示されました。一方、RPDTとSISには有意な関連は見られませんでした。また、RSEとWOTの関連が強く、RSEはSISの発症に重要な役割を果たすことが確認されました。最終的に、胸椎円背は間接的に肩甲骨の動きを制限し、SISの発症に寄与している可能性があります。

Conculusion

円背、特に胸椎円背は肩甲骨運動を制限し、肩挙上を減少させることでSISの発症に関与している可能性が高いです。RSE(肩挙上制限)はSISの発症リスクを高める要因であり、円背の改善と肩甲骨運動の修正がSISの治療において重要です。今後の研究では、肩甲骨ディスキネシスの評価を含めたさらなる分析が求められます。


限界点

  • WOTおよびRPDTは脊椎のカーブを直接測定するものではなく、精度に限界がある。

  • 肩甲骨の動態評価が行われていないため、円背がSISにどの程度影響を与えているかの詳細なメカニズムが不明。

  • 横断的なデザインであるため、因果関係の証明はできない。


読者が得られるポイント

  • 胸椎円背が肩の機能障害に与える影響の理解。

  • 肩甲骨運動と円背の関連性に基づいたリハビリテーションの重要性。

  • 肩峰下インピンジメント症候群(SIS)のリスクを低減するための姿勢改善の必要性。


ブログの要約には間違いや個人的な解釈が含まれる可能性があります。
論文の詳細が気になる方、もっと詳しく知りたい方は、是非論文を一読ください。

論文情報
Otoshi K, Takegami M, Sekiguchi M, et al. Association between kyphosis and subacromial impingement syndrome: LOHAS study. J Shoulder Elbow Surg. 2014;1-8.
DOI: 10.1016/j.jse.2014.04.010.




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