見出し画像

デザイナーからプランナーへ。デザインを越境していく、インハウスデザイナーのキャリアの作り方 / デザインの現場に訊く #5

レバレジーズのデザイン戦略室のメンバーにデザインの裏側を訊く企画の5回目です!
今回は、デザイナーのキャリアについて取材しました。2017年に新卒入社したリンさんは、プロダクトデザイナーとしてそのキャリアをスタートさせ、その後はプロダクトマネージャーを経験し、現在はプランナーへと職種変更をしています。その背景やリンさんが目指すキャリアについて、ディレクターの名井が訊いてみました。

「ものづくり」をするために渡日、そしてレバレジーズへ

ー まず、学生の時の就職活動について教えてください。

大学はカナダの学校に通っていましたが、ある日本人のデザイナーのかたに憧れていて、就職は日本ですると決めていました。
大学卒業後はワーキングホリデービザを取得して渡日。1年ほどWeb制作会社でアシスタントディレクターとして勤務しながら、就職活動をしました。

ー 数ある日本企業の中から、なぜレバレジーズを選んだのでしょうか。

選考を受けている企業のなかで、一番対応の良かった企業がレバレジーズだったんです。学生だからといって上から目線で対応されることもなかったですし、メールのレスポンスもとても丁寧に対応してくれました。
また当時、担当をしてくださった人事のかたの影響も大きかったです。とくに用事もないはずなのに、「最近どう?」「日本には慣れた?」とこまめに連絡してくださったのが、とても嬉しかったです。
細かいところですが、この会社はほかとは違うなと思いましたね。

プロダクトデザイナーとしてスタートしたキャリア

ー 入社後は、リンさんが求めていたような「ものづくり」はできたのでしょうか。

当時の私のなかにあった「ものづくり」の定義が、「サービスを育てている感覚」があるかどうかでした。そういう意味ではギャップはなかったですね。
入社後は、ITエンジニアのフリーランス支援や転職エージェントを運営している「レバテック」という事業部のメディア運営チームに配置され、そこで専属デザイナーとして仕事をしていました。
1~2年目は先輩社員についてデザインとコーディング業務を担当。業務内容も制作中心だったので、「ものづくり」への思いは常に満たされていました。

ー 具体的にはどんなものを作っていたのでしょうか。

グラフィックデザインから、DTP、WEBデザインまで幅広く担当していましたが、年賀状、交通広告、ノベルティ(ポケットティッシュ、ホッカイロのパッケージデザイン)などの制作も担当しました。コーディングも担当していて、CSS設計や実装だけでなく、コードレビューや、コーディングガイドラインの作成など幅広く任せてもらいました。

note_画像_1

リンさんが当時作っていたデザイン

ー 当時の経験から、一番成長したと感じるのはどんなところですか。

「徹底確認力」です。
とくにユーザーの登録フォームの実装では、ひとつのミスが致命傷になることもあります。事業部にとって1コンバージョンの価値は極めて高く、フォームから1日応募できなかっただけでも、大きな機会損失に繋がります。そういったリスクに対する恐怖心から、自分の作業に対して徹底的に確認するようになりましたね。
また先輩社員も忙しいなか対応してくれていたので、レビュー後になるべく修正が発生しないよう確認には時間を使うようにしました。

ー 仕事の仕方やスタンスで影響を受けた人はいますか。

入社当時、開発チームにいたディレクターです。
そのかたは、仕事が本当に丁寧で......たとえば、デザインを依頼するときにも、Slackから仕様書を送って連絡するだけでなく、わざわざ口頭でもフォローしてくださるんです。その仕様書だけでも十分わかりやすいのに、「もし時間があったら口頭で説明させていただきたいのですが......」みたいな感じで、誰に対しても丁寧なコミュニケーションをされるかたでした。
私が渡日した理由のひとつですが、日本人は細かいところまで注意を払ったり、気配りしたりするのが上手ですよね。日本で仕事をしたら、そういう日本人の良いところも身につけられると思っていたので、最初のころは、人の動きかたやコミュニケーション方法など細かいところまで観察しながら仕事をしていました。

ー 当時、思い出に残っているプロジェクトを教えてください。

フリーランスエンジニア向け IT求人情報サイト「レバテックフリーランス」のエントリーフォーム改善プロジェクトを、同期のマーケターと協力してやったことです。
2018年にGoogleが開催した「UX デザインスプリント(※)」と呼ばれるワークショップに参加し 、「レバテック フリーランス」のGoogle アナリティクスのデータ分析から、メンバーで洗い出したアイデアをプロトタイプとして具体化して、モバイルサイトフォームのUI・UXを改善していくというものでした。
デザインスプリントを終えたあとは、実際にXDでプロトタイプを作って、社内のエンジニアにテストしてもらいながら、細部の文言の言い回しまで確認して、自分たちでブラッシュアップしていきました。

(※) デザインスプリントは、短時間でデザイン、プロトタイプ、開発、ユーザーリサーチを通じて、ビジネスの課題を解決するためのフレームワーク。

note_画像_2

「UX デザインスプリント」でのワークの様子

ー 実際に、成果としてはどうでしたか。

当時のエントリーフォームの課題であった登録完了率を1.6倍まで改善させることができました。Googleのブログにも事例が掲載されるなど、評価してもらえたことは嬉しかったです。
そしてなにより、チームがひとつになって同じ目標に向かう感覚に手応えを感じました。当時のプロジェクトには、営業、マーケター、デザイナーなど色々な職種のメンバーが7人集まっていたのですが、それぞれの得意領域を活かしながら協業してひとつのものを作り上げる経験は、大きなやりがいでした。そして、「自分はこういうことをやっていきたいんだ」と気づくきっかけにもなりました。

デザイナーからプロダクトマネージャーに

ー 4年目ごろからプロダクトマネージャーへとキャリアの幅を広げていますが、当時のことを教えてください。

入社してからずっとデザイナーとして事業部に関わっていましたが、当時は事業部が急拡大し、開発メンバーが一気に増えたタイミングでした。
「レバテック」では常に10以上のサービスがあって、開発メンバーが各プロジェクトを横断して関わっている状態でしたが、施策と開発のタスクの紐付けや、優先順位付けなどの管理業務を担える人はいない状況でした。
プロダクトマネージャーには、事業理解だけでなく、チーム体制やメンバー同士の相性、メンバーのスキルセットの理解が求められます。当時、私が一番チームに所属している年数が長かったこともあって、上司から「プロダクトマネージャーにならないか」と打診されました。
ただ、実際には、打診を受ける前から、デザイナー業務をしながら、プロジェクトマネージャーのような動きをしていたので、それも評価されてのことだったと思います。

ー プロダクトマネージャーを担当する前から、近しい動きをされていたのですね。

そうなんです。このパターンはレバレジーズには多いと思います。
私の場合、1~2年目でデザイナーとして独り立ちをし、3年目から少しずつディレクターの出す施策に対して提言するようになり、デザイナーとしての役割を越境して仕事をするようになりました。
最初は文言の修正といった小さなことから始まり、画面全体のレイアウトを提案するまで。その後、ABテスト後のGoogle Analyticsの分析や効果検証などもおこなうようになり、気づいたら自分の役割の幅も広がっていました。
4年目になるころには、自分で施策も出せるようになり、デザイン実装から効果検証まで自分一人で完結できるようになりました。
そのときどきで、必要なことをやっていたら、企画から制作までの一通りのスキルや経験が身についていった感じです。

ー もともと、プロダクトマネージャーの仕事には興味はあったのでしょうか。

興味はありましたが、まさか自分がなるとはまったく考えていませんでした。
デザインの業務を越境するようになった大きな転機は、先ほどお話したGoogleでのUXを改善したプロジェクトでした。
チーム全員が同じ目標に向かって一緒に成果を出すための方法を考えていたら、自然と足りないところに調整しにいっていて......
あのころの経験が、今の自分のキャリアづくりのベースになっていると思います。

リンさん_記事内写真_レタッチ済み

自分に足りないスキルを埋める、プランナーというキャリア

ー 現在、プランナーへとキャリアチェンジされていますが、どういった経緯だったのでしょうか。

プロダクトマネージャーになって半年が経ったころ、事業部の方針で新たに「LeSS」という大規模スクラム開発のフレームワークを導入することになったんです。
それを進めていくと、さまざまな調整業務や情報をプロダクトマネージャーに集約していくことになり、その結果、デザインやディレクター業務からも完全に離れなければなりませんでした。そのとき、上司から今後のキャリアについて考える機会を与えられ、1~2ヶ月ほど悩みました。
プロダクトデザイナーに戻るか、プロダクトマネージャーとしてのキャリアを積むか。「自分にとって一番プラスになる仕事は何か」を考えましたが、結局答えは出ませんでした。
しかし今後どちらでやっていくにしても、プロダクトマネージャーとして必要になるマーケティングスキルや事業経験などはもっと身につけておきたいと思ったんです。そのためには一度、ビジネス側の経験を挟む必要があると考え、プランナーという仕事を経験することにしました。

ー デザイナーから職種が変わることへの不安はありましたか。

不安がなかったわけではありません。
ただ私としては、デザイナーからキャリアを変えたという認識はなく、必要になるスキルを得るためにほかの職種を経験しているという感覚なんです。
自分の中では「フルスタックデザイナー」になることを目指していて、レバレジーズの定義ではプランナーという職種になりますが、広い意味ではデザイナー業務の一環をやっているという意識で仕事をしています。

ー プランナーとしての難しさや、やりがいがあれば教えてください。

数字や定量的なところに関してはもともと苦手意識があるので、そこは難しさを感じています。
直近だと、「レバテック」でマス広告を打ち始めたので、広告によるサービスの各媒体への影響をモニタリングしています。何の数字をどう出すか、どういう形で数字を資料にまとめたら良いかなどを考えていくのですが、今はツールの使いかたも慣れないし、出したあとの数字をどう活用するかなど、ひとつひとつの結論を出すまで時間もかかります。プロセスも長いぶん、成果が出るまでまだ時間もかかりそうです。
だから「これが楽しい」と言えるほどのやりがいはまだないですね。ただ、自分の足りないスキルを埋めることができているという意味で、仕事はとても楽しいです。

ー デザイナーの領域を超えキャリアアップを続けるなかで、よかったことがあれば教えてください。

制作業務に集中していた頃と違って、現在は、自分で施策の質をコントロールできるのでそこにやりがいを感じますね。施策をどこまでブラッシュアップするかを、スピードを重視しながら考えられるようになったのはよかった点です。

ー 最後に、これからどういうキャリアを目指していきたいですか?

プロダクトマネージャーに再挑戦するか、プロダクトデザイナーに戻るか、自分のなかではこの2つだと思っています。
プロダクトマネージャーは、プロジェクトや組織を俯瞰して開発に関わる仕事。「関わるすべての人が、楽しみながら仕事をして、きちんと成果も出せる」、その土台づくりのために自分の力を使うことにやりがいを感じています。一方で、デザイナーとして「ものづくり」に携わることへのこだわりもあります。
ただ、そのときにどういう職や肩書きになっているかは、時代や環境によって変わると思うんです。だからこそ今は、サービスや事業の根本の課題解決に向けて、そこに足りないスキルを埋めていきたいと思っています。

ー ありがとうございました 

林 愷紋 / Lin Kai Wen
レバテック プランナー

2017年レバレジーズに新卒入社。プロダクトデザイナーとプロダクトマネージャーを経験し、現在はプランナーとして「レバテック」のオウンドメディアのUX改善を担当している。

レバレジーズのデザイン戦略室では、デザイナー、マネージャー、ディレクターの方を募集しています。応募はこちらから。

デザインマネージャー候補
プロダクトデザイナー(リードUI/UXデザイナー)
プロダクトデザイナー(UI/UXデザイナー)
アートディレクター/グラフィックデザイナー

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?