蒼春

生命の息吹を感じるこの季節、今年も逢えて嬉しい。
電車の窓から差し込む暖かい光は貴方の眼を輝かせる。
街行く人は足早に会社に駆け込み大嫌いな上司の人事異動の発表を待つ。
上京するあの娘は新幹線の中で母のおにぎりを食べながら一筋の涙。
校門の前には卒業証書授与式の看板の前で微笑む卒業生。
胸元には桜のブローチ。卒業証書は涙で滲んでいる。

そして、私。
私はただ何者でもない「学生」という肩書を背負って生きている。
「青春」とか「アオハル」とか蒼臭いなれない言葉を身に纏って
毎日生きている。

こんな私のもとにも毎年「春」はやってくる。
私の頬をそっと撫でる。
そして蒼いキャンバスに桃色の絵の具でお絵描きをする。


この蒼臭い感じが青春っていうの?





この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?