教員採用試験のボーダーフリー化により拡大する都市と地方の教育格差
去年、教員採用試験の不人気について記事を書きました。
地方自治体の教員採用試験の倍率はかつては10倍以上ありましたが、今や1.0倍に近くなり、教科によっては1.0未満、つまり、割れているそうです。
一部の自治体は採用試験の時期を繰り上げたり、人材確保に躍起になっているようですが、ほとんど効果がないみたいです。
高知県にいたっては、教員採用試験で、それなりの辞退率を想定して、130人の採用予定のところを2倍以上の280人に対して合格としたそうですが、実際は7割強の204人が辞退したそうです。
採用予定数の倍以上の合格者を出すあたり、これまでの辞退率が50%くらいだったのかなと推測します。
これだけでもすごい数字ですが、今回は辞退率7割越えで壊滅的な数字です。
高知県のような、地方の中でも大都市から遠く離れた地方では、教員採用試験が「ボーダーフリー」状態に突入しています。
このような地方では、近い将来、公立の学校の教員の質を保てなくなってしまうでしょう。
地方では私立の小中学校は非常に少なく、地域の子どもたちは全員が公立の小中学校に通います。
東京や大阪では私立の小中学校が多く存在し、お受験が盛んですが、辺鄙な地方では、教育の質の低下しつつある公立の小中学校に通うしか選択肢がないのです。
すでに学校の選択肢の幅の違いで、都市と地方とでは歴然とした教育の格差があるのに、このままではこの格差はますます拡大してしまいます。
教員採用試験の話題では、ほとんどの場合、教員のなり手がいなくて大変という話で終わってますが、都市と地方の教育の格差の拡大についても注目すべきでしょう。
生まれ育った場所で、受ける教育の質が変わることは、絶対に是正すべきことです。
そのためにも、教員の業務を根本的に見直し、待遇を改善することは喫緊の課題ですね。
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