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大学教員採用における懲戒処分歴の確認

ヤフーニュースに気になる記事を発見しました。

大学教員を採用する際に、セクハラなどの懲戒処分歴を確認する流れができるようです。

記事によると、
「大学で起こる性暴力をめぐっては、文部科学省が6月、国立大86校を対象とした調査を実施。教員を採用する段階で、学生へのセクハラなどを原因とする処分歴の申告を「求めていない」と回答した大学は6割(50校)を占めた。」
だそうです。

確かに大学教員公募で、処分歴についてはっきり明記したものはあまり見かけません。

福島大学の教員公募では、
賞罰・処分歴等欄には、過去に学生に対するセクシュアルハラスメントを含む性暴力等を原因として懲戒処分若しくは分限処分を受けた場合には、処分の内容及びその具体的な事由を必ず記入すること。
とその旨を明記しています。

しかし、ほとんどの公募ではこのような記載は見かけません。


大学教員公募事情を知らない人が記事を読むと、セクハラでの処分歴のある人でも普通に教員として採用されるように読み取れてしまいます。

しかし、実際にはそのような処分歴を隠蔽して応募、採用されることは難しくなっていると思います。

というのも、大学教員公募では必ず履歴書の提出が求められますが、履歴書の賞罰の項目に過去に受けた処分を書かないといけないからです。


履歴書は、大学が指定する様式がある場合と、指定様式がない場合があります。

指定の様式には必ず「賞罰」の項目があります。
ですので、「罰」である処分歴を書かずに、採用された場合、経歴詐称となり、採用が取り消されることもあります。


様式の指定がなければ、一般的な項目(氏名、住所、生年月日、連絡先、学歴、職歴、資格、賞罰など)を応募者がWordでタイプして提出することになります。

あえて「賞罰」を書かなかった場合、もしかしたら、処分歴を申告せずに採用されてしまうかもしれません…

ですが、この項目は、「賞」のアピール欄でもあります。

学会賞などの過去の輝かしい受賞歴を列挙し、優秀な研究者であることを示す項目です。

賞罰の項目を作らないという選択肢はないでしょう。

一方で、前科のある応募者は、ここに過去の処分等を正直にかかねばなりません。

受賞歴をアピールしたいけれど、処分歴についても触れねばならないというジレンマを抱えると思います。

もしかしたら、「賞罰」ではなく、「受賞歴」という項目にしてしまい、「罰」を隠蔽しているのでしょうか…憶測の域に過ぎませんが。


記事は国立大についてですが、公立大学、私立大学も追従する形になりますので、今後はすべての大学教員公募に過去の処分について申告するように文言が加えられるのが定型になるのでしょう。

まぁ、大多数の善良な研究者にとっては特に何の影響もありませんが。


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