見出し画像

マウント義母さんは無年金!篇

夫も変人だが、義母は強烈である。
一言で言うと、「エキセントリック」

見かけの印象も強い。
この間、ひさしぶりに家族で食事に行ったときには
上も下も全身黄色のコーディネートで登場し、ばっちりフルメイク。
アイラインは上まぶたにもしっかり引いて二重を作っているのが特徴。
いつ見ても、76歳とは思えない生命力を感じる。

結婚前に夫から最初に紹介された時には
「チャッキチャキの江戸っ子かあさん」というイメージでした。

江戸っ子
(えどっこ)

都市江戸で生まれ育った,きっすいの江戸の人の意。根生いの江戸住民であることを自負・強調する際に多く用いられた。それも武士ではなく,おもに町人の場合である。江戸っ子は,物事にこだわらず金ばなれがよく,意地と張りを本領とし正義感が強かったが,反面,けんかっ早くて軽率だといわれた。江戸っ子といった場合,江戸者,江戸生れ,江戸人,江戸衆などというより,もっと根生いの江戸住民であることを強調する言葉としての響きが強い。(改訂新版・世界大百科事典

辞書で調べてみたら、確かに”江戸っ子”に当てはまる箇所が多い。
「見栄坊」「向こう見ずの強がり」「喧嘩っ早い」「金離れがよく、細かい事にはこだわらず、意地っ張り」「人情家で義理難く正義感がある」……大体合っている。ひとつだけ、「義理がたい」を抜かせばだけど。
なんていうか、良く言えば、もっと合理的な方なのです。

江戸っ子が、家族代々江戸に生まれた出自を誇りしているように、
お義母さんは、鎌倉に生まれ育ったことを最大の誇りにしている。
お義母さんに会うと毎回、よその地域から鎌倉を訪れる観光客の愚痴大会からスタートする。

「もう大河ドラマのせいで、コロナ関係なく表通りが馬鹿みたいに混んじゃって….!」「歩道だけじゃないのよ~。この間もトロットロ走ってるバカな車がいて、どうせXXXとかXXXナンバーだと思って見たら、やっぱりそうだった!田舎者だってわかってた!」

「鎌倉」に関する話になると、文句の勢いが数段階上がってヒートアップしてしまう。

そもそも服も学歴も住む場所も、世間で通用する「ブランド」やその価値がよくわからず興味もないまま大人になってしまった私にとっては、最初ずっと「そんなに嫌なら、もっと田舎に引越しすればいいのにな」と思っていたくらいだった。が、これはマウントだったのだ。
(最近気づいたという、ていたらく…)

気づけは、話のほとんどがそのトーンである。
夕食で鍋を作る手伝いを申し出て青ネギを切っていたら
「ああっ、青いところは入れないのよ。そんなものは食べるモノじゃないわ」と制されたり、私の両親が引退をして群馬に住んでいることをたびたび話題に上げては「群馬だとアレでしょ?よくお野菜とか送ってくるんじゃない?畑ばかりだから」と(野菜をくれという)催促なのかマウントなのかわからない話をよく振られるので、そのたびに「いやぁ、うちの両親は田舎暮らしをしたくて群馬に越したけど、なぜだか畑仕事はやってないんですよねえ、ガーデニングだけで」と返したりしていた。

以前、「お義母さん、ケータイはDOCOMOですよね?格安ケータイ、おすすめですよ。使用料かなり安くなるし、電波も安定しているし」とLINEを送ったら「めんどう」と一言だけ返ってきたこともある。

話をしているとたいてい「あそこの鮨が美味しい」とか、行きつけの高級ブランドショップで買い物をしたという話も多くて、平野ノラもびっくりなほど、バブル的なブランド志向が強い。

そして「鎌倉」という出自にプライドと愛を持っているものの、ご近所にある「鳩サブレ」のことは、まるで犬のエサを人間がおやつに食べているという話くらいにバカにしている(苦笑)。(なぜだか理由はまったくわからないです)(ごめんなさい豊島屋さん)(文句言ってるわりにはしょっちゅう買っていて、お土産にもたせてくれるのでよくわかりません)

そもそも「鳩サブレ」という正式名称すら口にしたくないのか、「鳩」と省略する(笑)。「いったい何が美味しいのかしらと思うけど、”鳩”はお土産に喜ばれるのよねぇ(ため息)」。

「さぞかし”お嬢様”で育ったんだろうなぁ」と思いつつ、夫と同様「ふーん」と適当に相槌を打って聞き流すのが常ですが、このたび、衝撃の夫から衝撃の告白があって頭を抱えています。

それは義母から夫に「今年9月から毎月10万円を仕送りしてほしい」という直々のお願いがあったとのこと。

えええーーーつ!!!

”セレブお嬢なおばあちゃん”じゃなかったの?!
夫から話を聞くと、義母は10年前に二度目の結婚の旦那さんと別れて以降、
貯金を切り崩して生きていたという。
以前は英会話の教師として働いていたこともある才女ですが、
これまで国民年金はもちろん国民健康保険はにも加入せず、
「無年金にして無保険」という、なかなかパンクな、江戸っ子気質で生きてきたとのこと。そして夫が義母のために民間の健康保険を支払って加入しているとのこと。ひーーーーーーーー!!!!!
(介護保険に加入しているのかは、怖くて聞けなかった….)

続く。





いいなと思ったら応援しよう!