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相談までいかない話をただ聞く経験

患者さんの家族の話です。

毎年60家族くらいから話を聞いていました。

病院に勤務していた時のことです。
入院前にご家族に相談に来てもらって、当院へ転院したらどのような入院生活を送り、そして次の段階はどうなるのか説明していました。
同時にいきなり脳卒中や骨折となり、戸惑っているご家族の気持ちを聞くことになります。
そうすると、家族が入院してゆっくり話す時間が取れないのか、自分の思いをお話してくれることが多かったです。驚いたこと、自分も知らない糖尿病や高血圧症があったけれど治療を受けていなかったこと、職場で大切にされていた、思いのほか冷遇されていたことなど、家族の方のお話は続きます。

その時思ったのは、話を聞いてくれる機会は少ないということ、おそらく急性期病院のスタッフも相談にのりますとは言ってくれるのでしょうが、何を相談したら良いかわからない家族。

今、入院している病院のスタッフには話しにくくても、他の病院の人になら話しやすいということもあるかもしれません。
家族の方は思わず怒ったり、涙ぐんだりしながら、患者さんとの関係や思い出、これからの生活のことなどを話し続ける御家族。
話しながら、家族の間で意見が違うことがわかったり、お互いに聞いている事が違ったり。

時折、転院をお断りすることもありました。
ご家族の希望が明らかに高く、私には希望に沿えないと思った時です。全く元の通りにして欲しいと言われると、困ってしまい、お断りしたこともあります。
それでも私が話を聞いたことは、家族の方の何かに役に立ったと考えたいです。
また、断られたことで、現実とのすり合わせを考えるきっかけになるなんて、都合のいいことにはならないかしらと思っていました。

自分の思っていることを口に出すことが、頭の中を整理する第1歩です。
その後、コーチングを学び、もっと効果的に話を聞くことができたのではないかと反省した日々もありました。現在はあの日も無駄ではなかった、コーチングへの興味は患者さんや家族との面談の中で培われたと考えています。

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