移動する引きこもり
ひとり海外旅行は移動する引きこもりだ、と聞いたとき、なんて適切な言葉なんだろうと思った。これ以上にひとり海外旅行をうまく説明する言葉にわたしはまだ出会えていない。
わたしはよくひとりで海外旅行に行く、と言うと、外交的でオープンな心の持ち主なのだろうと思われることがある。そういう人もいるのだろうが、わたしはそうではない。むしろ自分の世界にこもるために海外旅行に行っている節すらある。
日本語も英語も話されない国に行くと、道ゆく人の言葉をわたしは一切理解することができない。これがいい。日本の街中を歩いていると、道ゆく人は日本語を話していて、わたしは聞き耳を立てなくても彼らが話していることが理解できる。興味もない他人の会話が強制的に耳に浴びせられて頭の中に入ってくるので、気が散る。自分が知らない言語が話される場所ではこれがないのがいい。考え事に没頭できる。自分の世界に引きこもることができる。
ひとり海外旅行に行くいちばんの理由がこれ、というわけではないのだけども、この「気が散らない」がわたしにとってひとり海外旅行のいいところであることには違いない。
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