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企画参加「フィフィの宝物」

フィフィはnolyさんの
大切ながちょうさんです。
そんな2人のこちらの企画に
参加させてくださいね♪

marmalade版
フィフィの小さな物語です。

天色をした抜けるような空に
一滴の韓紅をぽとんと落として
滲んでいくように
秋が密やかに訪れるころです。

nolyさんは今日は一日ご用があって
お出かけしてしまいました。

フィフィ、これおやつだよ

といって焼きたてのクッキーを
紙ナプキンに包んで
差し出してくれました。
とっても美味しそうで
フィフィは嬉しくなってしまいます。

さて、実はフィフィは
宝物を探しに行こうと
思っています。
それはとても大切なものでした。

卵の中でずっといっしょだった
「夢」があったんです。
殻を割ってフィフィが生まれてきたとき
ぴょんと一緒に外に飛び出して

またね!

といって風のように
どこかへいってしまったんです。
その夢がなんだったのか
フィフィは思い出せませんでした。

もちろんフィフィは幸せです。
毎日楽しくって仕方がありません。
それでも時々、それがなんだったのか
知りたくてたまらなくなりました。

フィフィはnolyさんのクッキーを
背中に背負って出かけました。

どこに行けばいいのかなぁ

と思いながらトコトコ進んでいきます。
ばったり、つばめさんに会いました。
あちこちをすいーすいっと飛び回る
つばめさんなら知っているかもしれません。

つばめさん、夢がどこにいったか
知りませんか?

つばめさんはちょっと首を傾げて
こう言いました。

それっておいしいの?

フィフィは美味しいかもしれないけど
食べられない気がしたので

おいしくて食べられないんです

といって、首を傾げたままの
つばめさんにお礼をいってまた進みます。

階段も登ります。
雨あがりの木々や植物たちは
いきいきとしてきれいです。
こんな時、フィフィはnolyさんが
恋しくなります。
きっとこれを見たら喜ぶだろうなって
思うからです。

すると、木陰から
カタツムリさんが現れました。
いつもこの場所でゆったりと
暮らしているカタツムリさんなら
知っているかもしれません。

こんにちは。
つかぬことをお伺いしますが
夢を見ませんでしたか?

でんでんむしさんは、ひゅいっと
角を伸ばして調べてくれました。

ふむふむ夢ね
それはもしかしたら
あのお方が知っているかも
しれませんね
あのお方?
それってどのお方ですか?

するとカタツムリさんは教えてくれます。

この階段を天辺まで上がって
一番背の高い木の上には
「あのお方」が住んでいて、
その方はなんでも知っていますよ

フィフィは早速その木を探すことに
しました。
なんだかドキドキしています。

階段の天辺まで登っていくと
そこには大きくて立派な木が
いくつも並んでいます。

どの木も空に大きく梢を伸ばし
小鳥たちを休ませたり
風と語り合ったりして
長い年月を黙々と過ごしてきたようです。

どの木かな?
この木かな?

とフィフィは話しかけます。
誰も返事をしてくれません。
サワサワと葉を鳴らしています。

するとどこからともなく
てんとう虫のドットちゃんが
現れました。

フィフィこっちだよ!

どうやらドットちゃんが知っているようです。
ついていくと一本のそれは立派な木の前に
つきました。

どうしてでしょう?
その木は見るからに大きくて
立派な木だったのに
フィフィには見えていませんでした。

こんにちは
「あの方」を探しているんです。
ご存知ですか?

早速木に話しかけてみました。

お、俺のことじゃな

といきなり、ボンっと
白ひげの小さなおじいさんが
現れました。

おじいさんがあの方ですか?
夢を探しているんです。
知っていますか?

フィフィはいつもnolyさんが褒めてくれる
ピンク色の足元を見ながら
思い切って切り出しました。

ああ、どうやら俺があの方じゃ。
ふむふむ。
君は夢を探しているんじゃな。
なあに、簡単だ。

え!かんたん!?
そんなあっけなく?
フィフィはびっくりしました。
そして丁寧にお願いしました。

じゃあ教えてください!
お願いします。

おじいさんはニヤリと笑って

あれじゃな
そういうのはやっぱりほれ
あれが必要じゃ!
あれ!

と言いながら、腕をパタパタ
させます。

あれってなに?
フィフィにはわかりません。

ほらほら、
そんな惚けていないで。
この服の袖が
こんなに膨らんでいるのが
見えないのか?

やっぱり、お願い事を
するときにはあれじゃあれ。
その背中に背負っているのは
何かな?

フィフィはよくわかりませんでしたが、
どうやら、このおじいさんは
お腹が空いていて
nolyさんのクッキーを狙っています。

フィフィは悩みましたが、
どうしても夢の行き先が
知りたかったので思い切って
おじいさんにクッキーを
渡しました。

うまいうまい

とムシャムシャと食べながら

あれじゃな
大事なものは
いつも羽の下だな

おじいさんはさらりと
そう言うと

ボンっと消えてしまいました。

一体なんだったんでしょう。
これが答えなんでしょうか?

フィフィはキツネにつままれた
気分になりました。
けれど何故かスッキリしています。

すると途端にお腹が空いてきました。

おじいさんにあげてしまった
クッキーですが、
フィフィは念の為、一枚だけ
隠しておいたんです。

そう、羽の下に
そおっと隠しておいたんですよ。

それを大切に取り出して
食べていると
とても幸せな気持ちになりました。

美味しいクッキーを
食べているとnolyさんの笑い声や
フィフィっと呼ぶ声が聞こえてくる
ようなそんな気がします。

早くおうちに帰ろう
nolyさんが帰ってきたら
美味しいお茶を淹れてあげよう

そう思いながら
スタスタと家に向かって歩き始めました。

あれ?
そうだ!

夢ってもしかしたら
これじゃないのかな?
nolyさんの作った美味しいお菓子に
美味しいお茶で
みんなが集まる素敵な場所を
作ること

いつもnolyさんと
その話をしていることを
思い出しました。

大切なものは
いつも羽の下じゃな

おじいさんの声が
聞こえてくるようです。

フィフィは嬉しくなって
スキップしながら帰ったんですって


いただいたサポートは毎年娘の誕生日前後に行っている、こどもたちのための非営利機関へのドネーションの一部とさせていただく予定です。私の気持ちとあなたのやさしさをミックスしていっしょにドネーションいたします。