【市役所の仕事】マイナポイント事業に戸惑う市役所
マイナンバーカード、お持ちですか?
日本に住む人は100%持とう!と国がおっしゃっています。
現在、普及率は50%を少し下回る程度です。
2人に1人は持っていないです。
マイナンバーカードを持てば5,000円分もらえちゃう、マイナポイントキャンペーン第1弾があって、この状況。
なぜでしょう?
カードを持たないと生活できない社会になってしまうの?
カードを持てば、超快適、超便利な生活がやってくるの?
いえ。
「そんな社会にもなりそうもありません」し、
「そんな超便利な生活にはなりそうもない」です。
なので、
カードを持とう!というインセンティブは、
ほぼポイントのみ。
5,000円分ポイントで心と体を動かされた人が50%、動かされなかった人が50%いた、ということです。
申請などの手続き方法を調べるのが面倒、みたいですね。
これがないと〇〇できない(旅行、運転、買い物など)もないなら、面倒なだけ、でしょう。
やってみたら、簡単なんですが。
でも、実は、
このマイナンバーカードがあれば、
コンビニで住民票と所得証明が受け取れるので、
大変、便利です!わーい!やったー!
住民票、欲しかってん♪
一枚、とっとく?(要手数料)
・・・
いったい1年間で何回、
住民票と所得証明が必要になるのか、わかりません。
それでも、国はあきらめていません。
マイナンバーカード所有100%、とおっしゃっています。
「マイナンバーカードを発行するのは市役所」とも言っています。
市役所がもっと頑張れと言っています。
毎月、毎月、交付率を地域別に公表して、競わせています。
マイナンバーカードを持つ人が少ないので、
マイナポイント事業第2弾として、
5000円分に加え、7,500円分×2で、
最大20,000円分のポイント付与制度を始めました。
このポイントを取得する作業自体は、
スマホや自分のPCでインターネット環境があればできるように国は設計していますが、その作業ができない人のために、「支援スポット」をつくる、と国は言いました。
大体の人は、たった1回の手続きのために、
よくわからない手続きを自分でするのは面倒だけど、
そのポイントは欲しいので、やってくれと、
多くの人は支援スポットを利用します。
そうなりますよね。
いま、その支援スポットは、
市役所が地域での一大拠点になっています。
地域によっては唯一でしょう。
私の住む地域では、手続きがすべて完結する市内の支援スポットは市役所だけです。
はい、ここでクイズです。
第1問
マイナンバーカードを持たせようと決めたのは誰ですか?
・・・国です。
第2問
マイナンバーカードを一人一人に発行するのは誰ですか?
・・・市役所です。
第3問
マイナンバーカードを普及させるためにマイナポイント事業を始めたのは誰ですか?
・・・国です。
第4問
マイナポイント事業でお困りの方一人一人を支援しているのは誰ですか?
・・・市役所です。
はい、全問正解。
市役所は、マイナンバーカード最後の手続き、
一人一人に対する事務を、国から一方的に押しつけられています。
市役所に対する圧力
マイナポイント事業として、5,000円とか20,000円のお金を配っても、普及率は50%。
今度は、
悲しいかな、市役所に対して圧力をかけようとしています。
国の得意技です。
国は、
「マイナンバーカードの交付率が低ければ、
市役所への地方財政措置を減らしちゃうかも~」と
言い出しました。
県は、
「マイナンバーカードの交付の進捗が悪い市役所に、
注意と説教をしに行く!」と言って、鼻息荒く、
実際に脅しに、いえ、注意しにお越しになります。
もうそろそろ次に進みません?
えーっと。
カードを取得しようかという人はもう取得したんじゃないですか?
20,000円がもらえるのに取得しないのなら、もうお金でつることはあきらめて、次に進むしかないんじゃないんですか?
それでもまだ取得させたいんだったら、
運転免許証と一緒にして、自動的に発行しちゃえば、
免許証の普及率くらいにはなるのは時間の問題じゃない?
さ、もうみんな取得したとして、
その、なんでしたっけ、
マイナンバーカードをつかった便利な生活とやらに進みませんか?
で、何それ?
で、何か変わるの?
カードつかって、何ができるの?
あのう、僭越ながら、
そこがないから普及しないんじゃないですか?
お金でつられる人は、もう持っています
連日、2万円のポイントが欲しいと鼻息を荒くして市役所にやってくる人の相手をしている、私達の市役所職員の身にもなってください。
お金につられる人は
もうカード取得しています。
マイナポイント支援スポットにやってくる人は、
5000円のポイントでも十分インセンティブを感じてカードを取得した人ばかり。
国も、2万円でなぜ取得が増えないんだ!って怒ってないで、この事実を受け入れたらどうかなあ?
市役所が悪いんですか?
お金でつろうとするなら、
2万円じゃなく、100万円なら取得するかもしれませんよ(-_-)
それでも取得しないかもしれませんけど、一度やってみますか?
いったい、
マイナンバーカードで何を便利に、
何を変えよう、何をしようとしているんでしょうね。
個人的には、
国民一人一人の所得と家族関係をがっちりつかみたい、
つまり、市役所が持っている個人情報を国がかっちりつかんで、
税金の取り逃しをなくそうという動機で、
導入を決めたんじゃないかと思ってます・・・
口座登録だって、国からお金が振り込まれる、おいしいことなんて、これからあるんでしょうか。
子育てする人には振り込まれるかな?
ベーシックインカムでも導入するのかな?
あんまり残高のない口座を登録するでしょうから、
5年、10年の間には口座解約してるかもしれませんよね。
いったい、なんなんでしょうね、この口座登録。
マイナポイント支援スポットにさせられている市役所の悲しさ
連日、マイナポイント支援をしていますが、
やってくる人は、市役所がやって当然、みたいな態度でお越しです。
本来、自分が国から付与されるポイント取得のための操作です。
マイナバーカードって、超超超機密性の高い個人情報が記載されています。
(正確には、マイナンバーは最も機密性の高い「特定個人情報」です。)
自分で操作することが大前提のはずです。
そのカードをつかった操作を支援するスポットが市役所にありますって、勝手に国が言うので、対応せざるを得なくなっているって、国も市民もご存知なんでしょうか・・・
スポット設置に要する経費は、交付金100%出すよって国は言いますが、
それなら、国の出先機関で直営でやってくれ、です。
国が委託事業者を見つけて、直接やってくれ、ですよ。
マイナポイント事業を考えたのは、国。
本来、個人がカードを操作して付与される制度なのに、
できない人がほとんどで、そしてその支援が市役所って?
国は市役所に迷惑をかけている自覚はありますか?
いつもの得意技、「地方は下請け」です。
その手続きに時間がかかったり、
わかりにくかったり、
行列ができて怒られるのは私たち市役所の職員です。
第1弾の5,000円の時には、
スーパーなど一部民間企業でも支援をしていました。
きっと、こんな、助けているのに怒られる仕事なんてやってられないと、
第2弾では、民間企業は協力することを断っているのかも。
だから、どこもどこも、市役所へ行け、の大合唱。
その結果、
市役所がこの面倒なマイナポイント支援を一手に引き受けている現状を、国はご存知なのでしょうかね。
・・・おとなしい下請け市役所のことは、知ったこっちゃないのでしょうね。
マイナポイント支援事業に戸惑う市役所
感謝されても、怒られる筋合いはないのに、
マイナンバーカードの交付率が悪いと、国や県から怒られ、
よくわからん何じゃこの制度は、と市民に怒られています。
ほんと、
いったいなんのための仕事なんだ?
と思いながら、毎日対応しています。
市役所の中でもどこが担当するか
実は、市役所の中でも、
どこの部署がこのマイナポイント支援事業を担当するのか、
ケンカ状態です。
市役所内でのケンカに負けた部署が担当している、
と思っていただいて間違いありません。
うちの市役所はどこかって?
・・・企画です。
私が負けました。
あまりにもどこの部署も対応しないので、
見るに見かねて、負けました。
↓
後日、表面化したマイナンバーカードひも付けトラブルについて